Journal Club【20130918】免疫抑制療法中のCMV-pp65抗原のカットオフ値は?

Cytomegalovirus infection during immunosuppressive therapy for diffuse parenchymal lung disease.

Respirology. 2013 ;18 :117-24.

Arai T, Inoue Y, Tachibana K, Tsuyuguchi K, Nishiyama A, Sugimoto C, Sasaki Y, Kagawa T, Matsuda Y, Hayashi S.

Department of Respiratory Medicine, Diffuse Lung Diseases and Respiratory Failure, National Hospital Organization Kinki-Chuo Chest Medical Center, Osaka, Japan.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22978348

免疫抑制療法中のCMV-pp65抗原のカットオフ値は?

 

 

【背景・目的】

・移植領域、HIV患者ではGCVを投与すべきCMV-pp65抗原のカットオフ値は検証されている

・しかし、免疫抑制療法を施行するびまん性肺疾患では十分に調べられていない。

・この研究では免疫抑制療法中のびまん性肺疾患患者におけるCMV感染の臨床的特徴や予後を調べ、症候性CMV疾患を診断するためのCMV-pp65抗原のカットオフ値を求め、その管理戦略を提案することを目的とした。

【方法】

・2004年8月から2008年8月までの4年間に国立病院機構近畿中央胸部疾患センターに267人のびまん性肺疾患患者(特発性肺線維症65人、膠原病肺を含むIPF以外の特発性間質性肺炎81人)が入院し、GCおよび免疫抑制剤での治療を行った。

・そのうち154人に進行性白血球減少、IgG減少、CRP持続高値を認めた場合にCMV感染症の除外のためCMV-pp65抗原値を検査された。

・初回検査でCMV-pp65抗原は85人で陰性で、69人(25.8%)が陽性でCMV感染と診断され、陽性例の39人急性/亜急性発症、30人は慢性発症・疾患別としてはIPF::17、non-IPF:29、CVD-LDs:23人(約40%)(PM/DM:7、RA:6、MPA:4、特発性肺胞出血3、SjS:2、SSc:1)であった(Table1)

・これらCMV感染患者を対象に後ろ向き縦断観察研究を行った。

・無症候性CMV-pp65抗原血症、症候性CMV疾患に伴う検査異常を認める症例を含め、CMV感染と定義

・その発症はCMV-pp65抗原が初めて検出された時、CMV疾患に伴う臨床症状もしくは検査異常を認めた時と定義

・CMV疾患はLjungmanらの基準で診断した。

【結果】

・CMV-pp65抗原が初めて検出された時点で、20人が症候性CMV疾患と診断され、49 人は無症候性CMV抗原血症であった。

・無症候性CMV抗原血症患者のうち3人が血小板減少症(2人)、腸炎(1人)に進展した。

・最終的には症候性CMV疾患23人(血小板減少症12、好中球減少症4、貧血2、肺炎6、肝炎5、HPS2、腸炎1)、無症候性CMV抗原血症が46人に認められた。

・CMV感染発症時のCMV-pp65抗原量は症候性CMV疾患群で有意に高く、好中球数は低値であった(Table1)。

・GC開始からCMV感染発症までの中央値で47日であった。

・CMV感染は急性/亜急性発症のDPLDs群(34日)で慢性発症群(137日)より早期に発症していた。

・CMV感染とされた患者群(69人)は、CMV-pp65抗原が検出されなかった群(85人)より初回CMV抗原測定時のLym数とIgG値が有意に低かった。・CMV感染発症のリスク因子を多変量解析した結果、急性/亜急性発症群とAaDO2高値(≧60mmHg)が上位に抽出された(Table2)

・ROC曲線で求められた症候性CMV疾患を示すCMV-pp65抗原値のカットオフは5万細胞中7.5個超で、感度100%、特異度89.1%、陽性尤度比9.20、陽性的中率82.1%、陰性的中率100%あった(Fig.1)

・初回検査で陽性であった69人中、44人が7.5個/5万以下で、そのうちGCVを投与されなかった28人は再検査され、24人は自然と検出されなくなり(Fig.2a)、そのうちの23人では7-14日後には抗原量が有意に低下した(Fib.2b)

・CMV抗原陽性で≦7.5個/5万であった患者のうち3人は抗原値が上昇するとともにCMV疾患に移行し、初回検査時の末梢血Lym数が非移行例と比較し有意に低値であった(Fig.2c)。

・初回検査でCMV-pp65抗原>7.5/5万であった25人のうち22人がGCVで加療され、12人は検出されなくなったが、7人は1ヶ月以内にCMV-pp65抗原が消失せず死亡した。

・CMV抗原陽性患者の34人がGCVで抗原陰性まで(中央値11日間)治療され、19人は治療によりCMV抗原が陰性化したがそのうち5人は再度陽性化し、GCV治療が行われた。

・症候性CMV疾患12人の血小板値はGCV治療により改善した(Fig.3)

・CMV-pp65抗原値によりCMV感染症と診断した患者において抗原値とCRP値, 免疫抑制剤の使用の有無が死亡率と相関していた(Table3)

【考察】

・末梢血Lym数の減少、血清IgG低値はCMV抗原血症に発生を示唆する。

・重症呼吸不全(AaDO2≧60mmHg)症例においてCMV感染が多いのは、これまでの報告と一致する。

・びまん性肺疾患の免疫抑制療法においてCMV-pp65抗原値が7.5個/5万超ならGCVなど投与をすることを推奨する。

・CMV-pp65抗原値が低い場合は7-14日毎に抗原量を厳重に監視するか、予後不良を示唆する臨床所見(Lym≦300/μL、CRP≧1mg/dL、急性/亜急性発症のびまん性肺疾患、重症呼吸不全、CMV抗原が検出されたあとの免疫抑制療法の強化)がある場合はGCVを投与すべきかもしれない。

・Limidation: 免疫抑制療法前の血清抗体価が評価されていない。後ろ向き研究である。CMV-pp65抗原測定系が十分に標準化されていない。

 

担当:若林邦伸

 

 

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