Journal Club【20131009】アトロバスタチンはRAの活動性を押さえられるか?

Trial of Atorvastatin in Rheumatoid Arthritis (TARA):double-blind,randomised placebo-controlled trial

David W McCarey et al.

Centre for Rheumatic Diseases, University of Glasgow, Glasgow Royal Infirmary, Glasgow, UK.

Lancet 2004; 363: 2015–21

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15207950

 

アトロバスタチンはRAの活動性を押さえられるか

[背景]

・RAは炎症性滑膜炎、血管病変、動脈硬化を来す。

・HMG-CoAは非炎症性疾患の血管リスクを低下させるが、免疫系を修飾する可能性を秘めている。

・スタチンがRAの炎症を抑え、血管リスクに影響するかを調査する。

 

[目的]

・アトルバスタチンをRA患者に使用するとRAの活動性が改善するか検証する

 

[方法]

・グラスゴ王立インフィルマリ病院のRA患者116人をアトルバスタチン40㎎と偽薬の2群に無作為化。

・対象18-80歳。

・DMARDsを使用していても活動性高し(TJC≧6、MS≧30分、ESR≧28mm/h)

・RAの診断:1987ACR。実施期間:2001年9月から2002年11月。フォロー:6か月間

・罹病期間不問。DMARDsの使用でマッチング。

・他、年齢、性別、RF陽性率、喫煙率、ESR, CRP, TJC, MS, DrVAS, SJC, PGA, HAQ, Chol, TG, LDL-c, HDL-c, Fib, viscosity, vWF, ICAM-1, IL-6を測定

・除外基準:DM, 家族性HL, 心血管イベント危険性3%以上、脂質降下薬使用中、スタチンで副作用、PSL≧10mg, CKD, AST/ALT/CK≧正常上限*2、4週以内のステロイド静注・筋注

 

[結果] (6か月後)

 

・DAS28

スタチン                 :-0.5 (95%CI, -0.75 to -0.25)

偽薬                       :0.03 (95%CI, -0.23 to 0.28)

群間比較               :-0.52 (95%CI, -0.87 to -0.17, p=0.004)

 

・DAS28で反応あり

スタチン                :18/58(31%)

偽薬                        :6/58(10%)オズ比3.9(95%CI, 1.42-10.72)

 

・ESR, SJC, CRP, Fib, viscosity, IL-6はスタチン群のほうが有効。

・TJC, MS, DrVAS, PGA, HAQ, vWF, ICAM-1は2群で変わりなし。

 

[議論と限界]

・スタチンはRAの急性期での抗炎症作用がある。

・ついでにDAS28も有意に改善させる。

・ただし、HAQなどは改善させない。

・更に大規模研究での検証が望まれる。

・推定機序としては、滑膜でのT細胞や線維芽細胞様滑膜炎を抑制するかもしれないが不明。

・アトルバスタチンは単にコレステロールを低下させるのみならず、血管炎症、滑膜炎症の抑制に寄与する可能性を秘めている。

・limitation:小規模。単施設。IL-6が低下するので、CRPが低下するのは当然。アトルバスタチンは1st lineで使用するものではないが、DMARDsと併用下であれば、RAの疾患活動性を制御できる可能性がある。

[結論]

・アトルバスタチンは自己免疫性疾患に臨床的に抗炎症効果があり、血管危険性を低下させる可能性がある。

担当:三輪裕介

 

 

 

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