Trial of Atorvastatin in Rheumatoid Arthritis (TARA):double-blind,randomised placebo-controlled trial
David W McCarey et al.
Centre for Rheumatic Diseases, University of Glasgow, Glasgow Royal Infirmary, Glasgow, UK.
Lancet 2004; 363: 2015–21
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15207950
アトロバスタチンはRAの活動性を押さえられるか?
[背景]
・RAは炎症性滑膜炎、血管病変、動脈硬化を来す。
・HMG-CoAは非炎症性疾患の血管リスクを低下させるが、免疫系を修飾する可能性を秘めている。
・スタチンがRAの炎症を抑え、血管リスクに影響するかを調査する。
[目的]
・アトルバスタチンをRA患者に使用するとRAの活動性が改善するか検証する
[方法]
・グラスゴ王立インフィルマリ病院のRA患者116人をアトルバスタチン40㎎と偽薬の2群に無作為化。
・対象18-80歳。
・DMARDsを使用していても活動性高し(TJC≧6、MS≧30分、ESR≧28mm/h)
・RAの診断:1987ACR。実施期間:2001年9月から2002年11月。フォロー:6か月間
・罹病期間不問。DMARDsの使用でマッチング。
・他、年齢、性別、RF陽性率、喫煙率、ESR, CRP, TJC, MS, DrVAS, SJC, PGA, HAQ, Chol, TG, LDL-c, HDL-c, Fib, viscosity, vWF, ICAM-1, IL-6を測定
・除外基準:DM, 家族性HL, 心血管イベント危険性3%以上、脂質降下薬使用中、スタチンで副作用、PSL≧10mg, CKD, AST/ALT/CK≧正常上限*2、4週以内のステロイド静注・筋注
[結果] (6か月後)
・DAS28
スタチン :-0.5 (95%CI, -0.75 to -0.25)
偽薬 :0.03 (95%CI, -0.23 to 0.28)
群間比較 :-0.52 (95%CI, -0.87 to -0.17, p=0.004)
・DAS28で反応あり
スタチン :18/58(31%)
偽薬 :6/58(10%)オズ比3.9(95%CI, 1.42-10.72)
・ESR, SJC, CRP, Fib, viscosity, IL-6はスタチン群のほうが有効。
・TJC, MS, DrVAS, PGA, HAQ, vWF, ICAM-1は2群で変わりなし。
[議論と限界]
・スタチンはRAの急性期での抗炎症作用がある。
・ついでにDAS28も有意に改善させる。
・ただし、HAQなどは改善させない。
・更に大規模研究での検証が望まれる。
・推定機序としては、滑膜でのT細胞や線維芽細胞様滑膜炎を抑制するかもしれないが不明。
・アトルバスタチンは単にコレステロールを低下させるのみならず、血管炎症、滑膜炎症の抑制に寄与する可能性を秘めている。
・limitation:小規模。単施設。IL-6が低下するので、CRPが低下するのは当然。アトルバスタチンは1st lineで使用するものではないが、DMARDsと併用下であれば、RAの疾患活動性を制御できる可能性がある。
[結論]
・アトルバスタチンは自己免疫性疾患に臨床的に抗炎症効果があり、血管危険性を低下させる可能性がある。
担当:三輪裕介
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