Alcohol Consumption and Risk of Incident Rheumatoid Arthritis in Women: a Prospective Study
Bing Lu, MD, DrPH, Daniel H. Solomon, MD,MPH, Karen H. Costenbader, MD, MPH, Elizabeth W. Karlson, MD
Arthritis & Rheumatis DOI 10.1002/art.38634
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24729427
<背景と目的>
・飲酒がRAの発症リスクになるか検証する。
<方法>
・デザイン:コホート内ケースコントロール研究
(コホート名:Nurses’ Health Study (NHS & NHSⅡ)
(対象人数:NHS:121701人, NHSⅡ:116430人)
(対象年齢:NHS:30-55歳, NHSⅡ:25-42歳)
(人種:Caucasianが90%以上)
(脱落率:年5%以内)
・対象疾患:飲酒の有無
・RAの診断基準:膠原病質問票とカルテから診断
・選定基準:このコホートに登録されている全例
・実施期間:
NHS : 1980-2008年
NHSⅡ: 1989-2009年
・測定項目:年齢、家族全体の収入、喫煙、BMI、身体活動強度(METs)、12歳以前初経、経口避妊薬使用、出産経験、12カ月以上の授乳、閉経、閉経前後のホルモン剤使用、総カロリー摂取量、RF、CCP
・測定時期:
NHS :1980, 1984, 1986, 1990, 1994, 1998, 2002, 2006
NHSⅡ:1989, 1991, 1995, 1999, 2003, 2007
・飲酒は食事調査とともに調査。酒の種類は、麦酒、ワイン、蒸留酒に分けた。
飲酒量はグラス、瓶か、麦酒は缶、ワインは、蒸留酒はショット単位で計算
麦酒:13.2g/瓶or缶、ワイン:10.8g/グラス、蒸留酒:15.1g/標準飲料
平均飲酒量:0, <5.0g/d, 5.0-9.9g/d, >10g/d
飲酒割合:0, <1/w, 2-4/w, >5/w
・解析方法:COXハザードモデル (DerSimonian and Laird random-effect modelを使用)
・調整因子:年齢、収入、喫煙歴(pack-years)、BMI(<25, 25-30, >30kg/m2)、身体活動強度(0-3, 3-9, 9-18, 18-27, >27)、初経年齢(<12, 12, >12)、授乳歴(なし、1-12カ月、>12カ月)、閉経、閉経前後ホルモン剤使用、総カロリー摂取量
・倫理規定:Partners Health Care Institutional Review Board
・インフォームドコンセント:書面にて取得?
・解析ソフト:SAS 9.2
<結果>
・NHS :580人がRAと診断。約190万人年
・NHSⅡ:323人がRAと診断。約178万人年
・多変量解析では、RAの発症リスクは
5.0-9.9 g/dayの飲酒群でHR=0.78 (95% CI, 0.61-1.00)
その中でRF陽性群では、HR=0.69 (95% CI, 0.50-0.95)
・飲料種類別の解析では、
婦人において、週に2-4回の麦酒飲酒は、非飲酒と比較して31%発症リスクを軽減させる
・他の項目に有意差なし
<議論と限界>
・飲酒がRAの発症に影響するか否かをこれほどの大規模前向き観察はない。
・麦酒はリスクを軽減させるが、ワインや蒸留酒には軽減効果はない。理由不明。
・メカニズムは不明であるが、アルコールがTNF-α、IL-6, IL-8, マクロファージ、単球に影響及ぼすことか。
・鼠に飲酒させると関節破壊を修復させるとの報告がある。
・限界。①RAの診断基準が曖昧。偽診例が含まれる可能性あり。②観察研究であり、ランダム割付ではない。倫理的にランダム割付はできない。③飲酒量調査が自記記入式のため、記入間違いがある可能性あり。
<結論>
・アルコール飲用はRAの発症リスクを低下させる。
担当:三輪 裕介
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