Long-term outcomes of autoimmune pancreatitis: a multicentre, international analysis.
Gut. 2013 Dec;62(12):1771-6. doi: 10.1136/gutjnl-2012-303617. Epub 2012 Dec 11
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23232048
自己免疫性膵炎の長期予後について
〔背景〕
AIPは1995年にYoshidaらによって提唱され比較的新しい疾患概念。
ステロイド漸減中や中止後に再燃するが、その再燃率については15-60%と幅がある。また、再燃についての明確な治療法はない。長期間のデータを集めた検討はほとんどされていない。本研究は、AIPの長期間アウトカムについてまとめてみた。
〔方法と定義〕
31施設から参加を募り、最終的に10か国、23施設が登録した。東京都立駒込病院とメイヨークリニックがコーディネートセンターをした。既存の患者データを使い、欠損データがあるときはカルテ・電カル・または患者に電話をしてデータを補った。AIPの診断はICDCに従った。
〔治療レジメン〕
ステロイド療法:PSL0.6㎎/㎏/dayまたは30-40㎎/dayのどちらかを採用していた
漸減の仕方:1-2週間でPSL5-10㎎の減量スピードであった
総じて、アジア諸国はPSL2.5-5mgの維持療法が多く、欧州諸国は3ケ月で中止していた。多施設で維持療法として免疫抑制剤を使用していた。
〔結果〕
<母集団>
1064例(type1 API 978例、type2 API 86例)が登録された。
平均年齢はtype1 API が61.4歳、type2 APIが39.9歳。
<初期治療反応>Table1 successful remissionを参照
<再燃>
PSL漸減中の再燃:15% PSL維持中の再燃:18% PSL中止中の再燃:67%
<再燃の予測因子>
ステロイド治療中にIgG4高値の群と基準値内の群で再燃率に違いはなかった(32.7%vs31.4%、p=0.77)。
膵炎がび漫性の群と限局性の群で再燃率に違いはなかった(32.3%vs32.3%、p=0.99)。
IgG4関連硬化性胆管炎がある群とない群ではある群の方が再燃率が高かった(56.1%vs25.7%、p<0.001)。
<再燃の治療>
ステロイド療法210例でもっとも多く、寛解率したのが95%(201/210)
アザチオプリンを追加している症例が68例で、寛解率が85%(56/68)
その他18例、寛解率86%
<type1AIPの長期合併症>
膵石の合併は7%(46/659)
膵石の合併はAIPが再燃している群で有意に高かった(14.4%vs4.0%、p<0.001)
<type1AIPの長期合併症>AIPの診断後の偶発癌の発生症例 table3参照
〔Discussion〕
ステロイド中止群で再燃が多かった
膵石の合併はAIPがuncommonだが、再燃群では多い
AIP診断後の偶発癌については今のところuncommon
より長期間の検討が望まれる・・・
〔limitation〕
最終データが2012年1月1日との記載はあるが具体的に各々の症例の期間が記載されていない。期間の平均値の記載がない。
AIPの偶発癌について結論がuncommonだとしているが、比較対象がないのでuncommonと結論付けている根拠が乏しい。
担当:関 慎也
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