Association between tobacco smoking and responseto tumour necrosis factor α inhibitor treatment
in psoriatic arthritis: results from the DANBIO registry
Højgaard P, et al.
Ann Rheum Dis 2014;0:1–7. doi:10.1136/annrheumdis-2014-205389
http://ard.bmj.com/content/early/2014/07/25/annrheumdis-2014-205389.abstract
PsA患者における喫煙と治療アドヒアランスにおける関係
【背景と目的】
・PsA患者にfirst Bioを使用する際に、喫煙歴の有無が治療のアドヒアランスや疾患活動性に影響するか調査した。
【方法】
・デザイン:観察的コホート研究
・対象患者:DANBIO registryに登録されたPsA患者(1388人)
・実施期間:2012/1/1から開始
・測定項目:喫煙の状態(現在あり≧1本/日、既往あり、なし)と治療のアドヒアランス
年齢、性別、BMI、罹病期間、過去現在のMTXやDMARDs治療。
DAS28, CRP, VAS(疼痛、患者全般、倦怠感)
・効果判定:ACR20/50/70 responseとEULAR good response
・サブ解析:性別、使用したTNF-I (ADA, ETN, IFX)
・除外因子:GOLや他のTNFを使用した患者、TNFがfirstでなかった患者
・アドヒア:①副作用(感染症、死亡、癌)、②無効、③その他(妊娠、外科手術、フォローし忘れ、寛解、その他)の3つに分けた。
・解析方法:ソフトSPSS, χ2, Kruskal-Walls, Mann-Whitney, Kaplan-Meierなどを使用。
・倫理規定、IC: 記載なし
【結果】
・1388人のうち、喫煙の調査可能であったのは1148人。240人は喫煙状況不明。
・現在あり:33%、なし:41%、既往喫煙:26%
・フォロー期間の中央値:1.22年
・既往喫煙の人は、BMIが低く、罹病期間が短く、腫脹関節数が少なく、患者VAS、倦怠感スコア、HAQスコアが喫煙なしの人より高かった。
・現在喫煙の人は、治療のアドヒアランスが低い、6ヶ月のEULAR-good-response/ACR20/ACR50の達成率が低く、男性に多かった。
とくにIFXとETNのアドヒアランスが悪かったが、ADAのアドヒアランスは悪くなかった。
【議論と限界】
・強み。これほど大規模なPsAを対象としたTNFに関する研究は少ない。喫煙がRAの予後不良因子であるが、PsAも同様のことが言える。
喫煙者は治療のアドヒアランスが低いからこそ、6ヶ月のEULAR-good-responseやACR20/ACR50の達成率が低いのではないか。
喫煙という行動をとる人が、その生活習慣からアドヒアランスの低下につながるのか。
喫煙が合併症の増加、抑うつ状態、社会経済、生活習慣を悪化させることが関与する可能性。
・限界。喫煙の状況のみであり、pack-yearなどの計算を行っていない。
デンマークでは男性のヘビースモーカーは多いお国柄がある。
デンマーク限定であり、全世界で同様の結果になるとは限らない。
【結論】
・PsAにおいて、喫煙は患者評価を悪化させ、治療アドヒアランスを低下させ、TNFの治療反応性が悪い。この傾向は男性でINFかETNを使用する患者にみられる。
担当:三輪 祐介
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