Journal Club【20141217】リツキシマブはEGPAに効くのか。

Rituximab for the treatment of eosinophilic granulomatosis with polyangiitis (Churg–Strauss)

Mohammad AJ, et al. Ann Rheum Dis 2014;0:1–6. doi:10.1136/annrheumdis-2014-206095

 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25467294

 

〔背景と目的〕

・これまでの通常のEGPAの治療はステロイド±免疫抑制剤であった。

しかし、効果が十分ではない場合や毒性、再燃率の高さが問題視されていた。

リツキシマブはGPAやMPAに使用可能であり、EGPAでの有効性を検証する

 

〔方法〕

・デザイン:後方視研究

・対象患者:リツキシマブ使用したEGPA患者41人(女性:21人、男性:20人)

・EGPAの診断:1990年ACR基準

・対象施設:血管炎を扱う4施設(USA, French, Germany, UK)

・実施時期:2003年から2013年

・実施期間:12カ月間(3, 6, 9カ月間でも評価)

・測定項目:BVAS

・有効性評価:寛解はBVAS=0、部分寛解はBVAS≧50%の改善

・再燃の定義:EGPAの症状の出現、免疫抑制剤の追加やステロイド増量、BVAS悪化。

・プロトコール:初期治療375mg/m2/w for 4wks (n=10), 1000mg*2 (n=30), 800mg*2(n=1)

継続治療375mg/m2/w for 4wks (n=3), 1000mg*2 (n=2), 1000mg*1 (n=16), 600mg*1 (n=1)

・pre medication: hydrocortisone:100mg + chlopheniramine:10mg or diphenhydramine:50mg + acetaminophen:1g(RTX使用時に全例全回使用)

・調査項目:Disease Extent Index (DEI), PR3-ANCA, MPO-ANCA, CD19+ B-cell, BVAS

・免疫抑制剤:使用歴は36/41(88%)、開始時併用はMMF:7, AZA:3, CYC:3, MTX:2, IVIg:1

12カ月後使用は、AZA:5, MTX:5

・解析方法:Fisher’s exact test, χ2, Student-t, Mann-Whitney U

・解析ソフト:IBM SPSS V.22.0

・倫理規定、IC:個々の施設の規定に従った

 

〔結果〕

・治療抵抗性:15人、再燃:21人、新患:5人(IVCYができなかった人)

・1コースのみの投与:19人、繰り返し投与:22人

・BVAS:11→2(6カ月)→1(12カ月)(p<0.001)

・6カ月の時点での評価。寛解:34%、部分寛解:49%(合計83%が寛解)

・12カ月の時点での評価。寛解:49%、部分寛解:39%

・ステロイド量:15mg→8mg (6カ月後)→8mg(12カ月後)。(p<0.001)。全員が減量できた。

・ANCA(+)例は、高率(12/15:80%)に12カ月で寛解に至った。Cf. ANCA (-):8/21(38%)

・副作用は合計31人。うち感染症:15人(重症:6人)

〔議論〕

・4施設、41人のEGPAに対し、リツキシマブを使用して、良好な寛解率を達成した。

・ステロイドも減量できた。

・フランス血管炎研究会では、52/66で寛解

・ANCAの値と有効性を議論した報告はない。

〔限界〕

・後方視研究のため、データの欠落も多い。

・多施設のため、リツキサン使用のプロトコールが違う、免疫抑制剤の使用について統一性がない

・選択バイアスがある

・国が異なる

〔結論〕

・EGPAに対するリツキシマブ治療は寛解率もよく、ステロイドも減量できた。リツキシマブはEGPAに対する治療になる可能性も示唆される。

 

担当:三輪 裕介

 

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