Journal Club【2015218】トシリズマブは全身性強皮症に効くのか?

Treatment of systemic sclerosis with tocilizumab

Marisa Fernandes das Neves1,2, Susana Oliveira1, Marta C. Amaral1,2 and José Delgado Alves1,2

Rheumatology (Oxford). 2015 Feb;54(2):371-2. doi: 10.1093/rheumatology/keu435. Epub 2014 Dec 5

 

 http://rheumatology.oxfordjournals.org/content/early/2014/12/05/rheumatology.keu435

 

〔背景〕

全身性強皮症は非常に多彩な臨床像を持ち、活動性の評価が難しい。

また様々な薬が試されているが、効果のある免疫抑制薬は少ないのが現状である。

そんな中、全身性強皮症患者のIL-6の過剰発現は証明されており、vitroではSScの線維化においてIL-6は強く影響していることが分かっている。

臨床においてもTCZの効果はSSCの関節炎に対して証明されている。

Annals of the rheumatic disease、2013

‘Outcomes of patients with systemic sclerosis-associated polyarthritis and myopathy treated with tocilizumab or abatacept:a EUSTAR observational study’より

(27人のSSc関節炎を持つ患者に対し、15人にTCZ、12人にABT使用した結果、優位に関節炎の改善が認められた)

その他、症例報告レベルでは皮膚硬化に対する効果も示唆されている。

今回、難治性のSSc患者3人に対する効果を報告する。

〔方法〕

難治性のSSc患者3名に TCZ(8 mg/kg every 4 weeks)を投与し、TCZ投与時と投与6カ月後の血液検査、臨床データと9カ月後の肺CTを評価した。

以下に症例を示す。

 

・Patient 1(55歳女性 )発症より3年

イロプロスト、ボセンタン、エンドキサン、イムラン、ヒドロキシクロロキン、ステロイドによる加療を受けている患者。

当初は治療反応があったが、エンドキサン終了、イムラン変更2カ月後に肺活量の悪化があり、

CT上、スリガラス影・線維化が悪化した。指尖潰瘍が再発し、急激な体重減少を認めた症例。

胃食道逆流症、吸収不良症候群の合併あり

 

・Patient 2 (42歳 女性)発症より8年

トポイソメラーゼ抗体陽性、ステロイド、ボセンタン、エンドキサン、イムランに抵抗性の症例

胃食道逆流症あり

 

・Patient 3 (54歳 女性)発症より1年

SScとRAのoverlapした症例、MTX、ハイドロキシクロロキン、ステロイド、エタネルセプト、アダリムマブで加療された患者。

コントロール不良な関節炎があり、進行性の肺活量の悪化がある。

RF、抗CCP抗体、抗PM-Scl100抗体、トポイソメラーゼ抗体陽性

 

 

〔結果〕

患者の包括的評価尺度(pGAS)は30 (70 to 40), 40 (70 to 30) and 50 (60 to 10)と三例とも改善した。

modified Rodnan skin score は patient 1 (from 17 to 10) 、 patient 2 (from 41 to 25). Patient 3 (from 7 to 5)と改善した。

指尖潰瘍のあった2症例において潰瘍は改善した。Hb、ESR、CRPは三例とも改善した。

間質性肺炎に関してはPatient1,Patient2に関しては進行は止まり、Patient3に関してはDLCO、CT[画像共に悪化した。

またPatient3の関節炎は改善した。(DAS28 decreased from 3.82 to 2.87 in 6 months)

総じて、TCZは有効な結果を示し、全ての患者で 日常生活の活動量において改善を認めた。

 

 

〔結論〕

TCZのリスク、ベネフィットついて注意して考える必要があるが、総じてSSCに対するTCZの効果が示唆された。

今後SScに対するTCZの臨床試験が必要となるかもしれない。

 

 

 

 

 

担当:石井 翔

 

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