Ann Rheum Dis doi:10.1136/ard.2010.137216
EULAR recommendations for vaccination in adult patients with autoimmune inflammatory rheumatic disease.
S van Assen.et.al
http://ard.bmj.com/content/early/2010/12/03/ard.2010.137216.full
自己免疫炎症性リウマチ性疾患の成人患者における予防接種のEULAR推奨
【目的】自己免疫炎症性リウマチ性疾患(AIRD)における予防接種について、ヨーロッパリウマチ学会(EULAR)がエビデンスに基づいて推奨する
【方法】EULARの委員会はヨーロッパの11か国を代表する17人の専門家(リウマチ専門医8人、臨床免疫学者4人、リウマチ専門医・臨床免疫学者1人、感染症専門医1人、腎臓内科専門医1人、小児科医/リウマチ専門医1人、臨床疫学者1人で構成された。
検索は2008年と2009年のEULAR会議と2007年と2008年のACR会議の抄録、1966年から2009年10月までのMedlineで構成された。エビデンスレベルはⅠ~Ⅳ、推奨度の強さはA~Dで格付けされた。委員会の合意の程度をDelphi法で投票したスコアで示した。
【結果】自己免疫炎症性リウマチ性疾患の患者におけるワクチンについての8つの主要な質問事項と13の推奨が考案された。それぞれの推奨度の強さが決定づけられた。Delphi投票は専門家の間での推奨度のとても高いレベルを示した。最後に、研究課題を提示した。
【結論】自己免疫炎症性リウマチ性疾患の患者におけるワクチンの推奨度は、現段階では入手可能なエビデンスと専門家の意見に基づいて提案されている。今後はとくにワクチンで防止できる感染症の発症率と、自己炎症性リウマチ性疾患の患者におけるワクチンの安全性についてさらなる研究が必要とされる。
1) AIIRDの患者の初期評価で、ワクチンの接種状況を確認する
2) ワクチンはAIIRDの患者の状態が落ち着いているときに接種されることが望ましい
3) 弱毒ワクチンは免疫抑制状態ではできるだけ接種しない(麻疹、ムンプス、ポリオ、風疹、腸チフス、水痘/帯状疱疹、黄熱)
4) 抗リウマチ薬や抗TNFα阻害薬使用下でもワクチン接種は可能であるが、B細胞除去生物学的製剤は使用前の投与が望ましい
5) 不活化インフルエンザワクチンはAIIRD患者に強く接種が勧められる
6) 23価肺炎球菌ワクチンはAIIRD患者に強く接種が勧められる
7) AIIRD患者においても健常人と同様に破傷風ワクチンを接種する
8) herpes zoster vaccineはAIIRD患者に接種が勧められるかもしれない
9) ヒトパピローマウイルスワクチンは一部のAIIRD患者に接種が勧められる
10) 小脾臓、無脾臓のAIIRDでは、インフルエンザ、肺炎球菌、インフルエンザ桿菌、髄膜炎菌のワクチン接種が勧められる
11) HAV/HBVワクチンはあAIIRD患者で感染の危険のある一部の患者に勧められる
12) AIIRD患者では旅行先に応じたワクチンが勧められる(弱毒ワクチンを除く)
13) BCGワクチンはAIIRD患者では接種は勧められない
担当: 斎藤 麻由
****************************************
・昭和大学リウマチ膠原病内科では、毎週水曜日にJournal Clubを通じ新しい知見を得る機会を設けています。
・昭和大学リウマチ膠原病内科では、若手医局員の教育に注力しております。詳細はこちらをご覧下さい。
・昭和大学リウマチ膠原病内科では、研究するための時間を確保するprotect time制度を開始いたしました。こちらをご覧下さい。
・昭和大学リウマチ膠原病内科では、他医療機関での研修を年に1週間行っております。こちらをご参照ください。
・昭和大学リウマチ膠原病内科では、広い視野を持てる医師を育成したいと考えております。医療コミュニケーションや教育理論の勉強会を行っております。
・昭和大学リウマチ膠原病内科では、手稲渓仁会病院の岸田先生による感染症専門医による感染症コンサルテーションを年に3−4回行っております。詳細はこちらをご参照ください。
・昭和大学リウマチ膠原病内科では、ケースベースの膠原病勉強会を行っております。こちらをご覧下さい。