抗TNFα薬は悪性リンパ腫を増加させるか、否か【Journal Club 20160914】

Ann Rheum Dis doi:10.1136/annrheumdis-2016-209389

Risk of lymphoma in patients exposed to antitumour necrosis factor therapy: results from the British Society for Rheumatology Biologics Register for Rheumatoid Arthritis

Louise K Mercer,et.al.

 

抗TNFα薬は悪性リンパ腫を増加させるか、否か

http://ard.bmj.com/content/early/2016/08/08/annrheumdis-2016-209389.full

 

【目的】
関節リウマチの患者は悪性リンパ腫のリスクが一般の健常者より高い。そんな中、治療薬である抗TNF薬は悪性リンパ腫のリスクを高くするかもしれないと考えられている。しかし、関節リウマチで悪性リンパ腫のリスクが高くなる理由として慢性炎症が関与しているとも考えられており、抗TNF薬は炎症を抑えることによって悪性リンパ腫のリスクを逆に低くするかもしれない。この研究の目的は、関節リウマチの患者において、抗TNF薬使用患者と非使用患者間で悪性リンパ腫のリスクを比較することである。

【方法】
対象…リウマチ専門医によって診断された関節リウマチの患者でBritish Society for Rheumatology Rheumatoid Arthritis Register(BSRBR-RA)に登録された患者
観察期間…登録後から最初の悪性リンパ腫発症まで、または死亡するまで、または2013年9月30日まで。
Primary outcome…The primary outcome measure for this analysis was first verified lymphoma per subject.
使用した抗TNF薬…IFX、ETN、ADA
統計ソフト…Stata V.12.1

【結果】
Figure 1:患者数
登録されている20500人のうち、生物学的製剤非使用群3774人と使用群16726人に分けた。
その患者群から内科医以外によって診断された者、過去にリンパ腫の既往のあるもの、DAS28≦3.2の者は除外した。
最終的に上記条件で6か月以上フォローできた生物学的製剤非使用群3367人と使用群11931人で比較検討した。

Table 1:患者背景
抗TNF製剤使用群の方が有意差をもって、平均年齢が若く、女性の割合が多く、疾患活動性が高く、罹病期間が長かった。

Table 2:悪性リンパ腫の特徴
悪性リンパ腫の組織型としてはDLBCLが一番多かった。(次点、FL、CLL)

Table 3:抗TNF製剤と悪性リンパ腫の関係
修正前のハザード比は0.61であるが、修正後は1.00であり抗TNF製剤使用群と非使用群で差がない。
Table 4:それぞれの抗TNF製剤と悪性リンパ腫の関係
悪性リンパ腫を発症した患者数はADA 34人、ETN 29人、IFX 21人でそれぞれの群間に差はなし。

【考察】
Strength
・関節リウマチの患者において抗TNF製剤と悪性リンパ腫との関係を示した規模の大きい研究である。
・関節リウマチの治療において、初回の治療から抗TNF製剤を使用している患者もいる。
・観察開始6か月以上前から抗TNF製剤を使用している患者は除外している。
・観察開始から6か月以内の悪性リンパ腫発症の患者は除外している。
(関節リウマチの治療開始前からリンパ腫を発症していた可能性があるため)

Limitation
・疾患活動性の影響を考慮できていない。

【結論】
関節リウマチの患者に抗TNF製剤使用することで悪性リンパ腫のリスクは上昇しない。

(以前のBSRBR-RAを用いた研究において生物学的製剤非使用患者でDMARDs治療を受けているRA患者と健常者群で比較したものがあり、それではRA群の方がリンパ腫の発症率が高かったか。今回はより免疫を抑えるTNF製剤ではさらにリンパ腫のリスクが上がる可能性も考慮されていたが、結果としては、リスク上昇はなかった)

 

担当:西見 慎一郎

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