Seza Ozen, Erkan Demirkaya, and for the FMF Arthritis Vasculitis and Orphan Disease Research in Pediatric Rheumatology (FAVOR)
家族性地中海熱(FMF)の患児へのコルヒチン投与は、1日1回と2回で効果に差があるか?-ランダム化非劣勢試験
・PECO
P: FMF患者
I:1日1回コルヒチン投与
C: 1日2回コルヒチン投与
O: 疾患重症度
・ランダム割付されているか?ーBrock randomizeation
・ITT解析か?-YES
・マスキングはされているか?ー?
・症例数は十分か?ーサンプルサイズの計算あり
症例数は各群43、
イベント発生率:1日1回で60%、1日2回で70%
noninferiority limit 15%
α:0.05 power:0.8 症例数は少ない
【目的】FMFの患児に対し、1日1回のコルヒチン投与と1日2回のコルヒチン投与で効果と安全性において比較検討を行う。
【研究デザイン】トルコの10施設からなる小児リウマチ学研究グループによって行われた他施設ランダム化比較試験
【対象】新規にcriteria of Yalçınkaya et al. or Livneh et al.によって診断された。ヘテロ接合性またはホモ接合性突然変異を有することが遺伝子解析によって確認された患者を登録した。体重は15-30㎏、5歳-16歳の未治療の患者。
除外:先天性奇形、妊娠のリスク、臓器移植、肝障害、慢性腎疾患、アミロイドAアミロイドーシス、甲状腺疾患などの慢性疾患、FMF以外のリウマチ疾患
【要因】コルヒチン1日1回投与または2回投与
【Main Outcome】疾患重症度を軽減
Secondary outcome 安全性、忍容性の比較
3か月に1回の訪問診察、採血(血球、尿、ESR、CRP、BUN、Cr、ALT、AST、SAA)
Mor scoring systemで疾患重症度を評価
発作の定義:腹痛、胸痛、関節の紅斑および/または腫脹などの嘔吐を伴う38℃を超える発熱および急性期応答を示す検査所見を伴う発熱の臨床所見を示す
【結果】92人の患者が選出され、79人の患者が観察期間を完了した。 1日1回投与群に42人、1日2回投与群に37人が割り付けられていた。1日1回の群では、発作頻度および期間の減少、症状および重症度スコアの改善に関して、1日2回の群と比較し劣っていないことが示された。ESR、CRP、SAAなどの炎症を示す検査所見の変化は両群で同様であった。薬物副作用の割合は、1日1回の群ではわずかに下痢が多かったが、それ以外では類似した結果であった。
【結論】臨床症状、血液検査、疾患重症度はコルヒチン投与1日1回および2回の間に差はない。
【limitation】24週という観察期間は安全性評価には不十分である。
<スタッフの感想>
・下痢の副作用で困ることが多いコルヒチンだけど、一定期間待てばおさまるのですね。ただ、実際には分割投与にかえることが多いですよね。
・最近はY先生がよく研究のデザイン、方法について教えてくれるので、抄読会がとても充実してます。(今回は前回に引き続き、RCTについて勉強しました。)
<上級医のコメント>
・メインアウトカムの解析にrepeated ANOVAは使用されている。最近はmixed modelが使われる傾向にあるため、この解析でのどうなったかが気になる
・ブラインドについては記載がない。プロトコールを確認するとinvestigatorのsingle blindとなっているかの記載がないことを考慮すると、これが遵守されていなかった可能性があり、biasが生じているかもしれない
・マージンが15%と設定されており、この設定の根拠の記載がない。もし10%であった場合には、かなりのサンプル数となる。
担当:三浦瑶子
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