Journal Club【20170222】TNF製剤使用中の関節リウマチ患者における悪性リンパ腫のリスクについて

『Risk of lymphoma in patients exposed to antitumour necrosis factor therapy: results from the British Society for Rheumatology Biologics Register for Rheumatoid Arthritis』

Louise K Mercer,et al

1Arthritis Research UK Centre for Epidemiology, Centre for Musculoskeletal Research,Manchester Academic Health Science Centre, The University of Manchester, Manchester, UK

ARD 2017;76:497-503

『TNF製剤使用中の関節リウマチ患者における悪性リンパ腫のリスクについて』

 

P:RA 

E:生物学的製剤使用(bio群)

C:生物学的製剤の抗リウマチ剤使用(csDMARDs群)   

O:悪性リンパ腫発生

 

  1. セッティング:どのような場所で研究したか?

英国

BSRBR-RAのDBを使用

2001年から作成しているRA bio使用者のNational database

1st bioのみ

 

  1. 研究デザインの型:RCTなど

前向きコホート研究

 

  1. Population

DAS28が3.2以上のRA

除外基準:以前にリンパ腫orリンパ増殖性疾患の罹患歴がある、

以前のbio使用

 

  1. 主な要因

生物学的製剤使用(IFX、ETA、ADA)

 

  1. Control

生物学的製剤以外のDMARDs使用

 

  1. 主なアウトカム

悪性リンパ腫の発生

定義:病理レポートからの報告、癌レジストリーからの報告

(死亡診断書のみでの報告は除した)

 

*開始後、6か月以上から経過した以降より発生の観察開始

*観察終了:リンパ腫の発生、死亡、2013.11.30の観察終了日

非bio群ではTNF開始日

  1. Potential confounder

年齢、性別、喫煙状況、人種、人種ごとのリンパ腫発生、癌の既往歴、合併症数、RA重症化指標(DAS、罹患期間、以前のDMARDs数、ステロイドの有無)、BSRBR-RAへ登録した時期(2004.6月)

 

  1. 解析デザイン

人年には、治療開始後6Mからカウント開始

多変量解析:一般線形化モデル(ポアソン分布)

交絡調整:上記の因子を、propensity scoreを算出し、10分位に

stratificationを行い解析した。

欠測値対処:multiple imputation

二次解析・感度解析:TNFを使用している人のみ、癌レジストリーからの報告のみ、リンパ腫の種類別での解析、TNF製剤の種類分類しての解析

 

  1. 結果
  • Bio群は11931例、csDMARDs群は3367例
  • 女性の割合は、Bio群76%、csDMARDs群は74%
  • 悪性リンパ腫発生は、Bio群で84例/11931例(10万人年あたり88例)、csDMARDs群は30例/3367例(10万人年あたり154例)
  • 多変量解析の結果は、csDMARDs群をrefとすると、Bio群で差は認められなかった(HRは××、95%CI ××―○○)
  • TNFを使用している人のみ、癌レジストリーからの報告のみ、リンパ腫の種類別、TNF製剤の種類別でのそれぞれの解析でも差は認められなかった。

 

 

  1. Limitation
  • 開始後の6か月は除外されていること
  • TNF使用中は登録されないこと
  • 非bio群が高齢で男性が多く影響がありうる
  • 多い交絡調整があるにも関わらず少ないアウトカムでありPSを使用したこと。

 

 

  1. この論文の弱点
  • 6-8年でのリンパ腫の発生は見れたが、さらに長期のことは不明
  • 重要な交絡因子であるシェーグレン症候群、MTX投与の調整がされてない

 

〈スタッフの感想〉

今回はTNF製剤使用下における悪性腫瘍発生リスクに関する論文を読むとともに、標準偏差・標準誤差の使い方や重回帰モデル、一般線形化モデルに関しての勉強をしました。

 

担当:矢嶋 宣幸

 

 



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