『Influence of age on the outcome of antitumour necrosis factor alpha therapy in rheumatoid arthritis』
B J Radovits, W Kievit, J Fransen, M A F J van de Laar, T L Jansen, P L C M van Riel, R F J M Laan
ABSTRACT
Objective: To investigate the influence of age on the effectiveness and tolerance of antitumour necrosis factor alpha (TNFa) therapy in rheumatoid arthritis (RA).
Methods: 730 patients of the Dutch Rheumatoid Arthritis Monitoring (DREAM) register were categorised into three groups according to their age at initiation of anti-TNFa therapy (,45, 45–65 and .65 years). Effectiveness of anti-TNFa therapy was primarily assessed by longitudinal analysis of the DAS28 during the first 12 months of treatment.
Results: Improvement in disease activity and physical functioning was significantly less in elderly patients, correcting for relevant confounders. Elderly patients reached the EULAR categories of good responders and remission less often than younger patients. Drug survival, co-medication use and tolerance were comparable between the three age groups.
Conclusion: Anti-TNFa therapy significantly reduced disease activity in all age groups of patients; however, it appeared less effective in elderly compared with younger RA patients.
P:DREAM registry に登録された,First抗TNFα:IFX,ETN,ADAを導入された関節リウマチ患者
E: 年齢でわけられた3群
C:
O:12ヶ月間のDAS28
- セッティング:どのような場所で研究したか?
2003年2月から2007年1月の間にオランダの11病院に継続して通院し,DREAMに登録された患者
- 研究デザインの型:後ろ向きコホート
- Population、およびその定義
DREAM: Dutch Rheumatoid Arthritis Monitoring register (RA patient starting first time anti-TNFα treatment)に登録された患者730名.
- 主な要因、および、その定義
- Control、および、その定義
治療開始時の年齢によって45歳未満:若年群,45〜65歳:中年群,66歳以上:高齢群の3群に分けられた.
- 主なアウトカム、および、その定義
主要評価項目 12ヶ月間のDAS28
副次評価項目 12ヶ月時点のDAS28,導入時から12ヶ月のΔDAS28,
12ヶ月時点のEULARのgood responder,寛解基準に達した者の割合,
12ヶ月間のHAQ・SF-36
薬剤継続率(薬剤の中止率と有害事象)
MTX使用の有無,経口・筋注PSL使用の有無
- 交絡因子、および、その定義
導入時のDAS28,導入時のHAQ,罹病期間,リウマチ因子,性別,最近のMTX,経口PSL服用量
- 解析
- 患者背景の解析にはANOVA検定,Kruskal-Walis 検定,カイ二乗検定が用いられた.
- 12ヶ月間のDAS28,HAQ,SF-36は回帰分析の混合効果モデルが用いられた.主要評価項目に関しては連続変数として年齢で解析の後, 3グループにわけた解析を行った.
- 12ヶ月時点でEULAR基準のresponder, good responder, remissionに達するオッズ比はロジスティック回帰分析が用いられた.
- 薬剤の継続率の解析はカプランマイヤー法を用いた.
- 結果
- 登録患者730名の内,45歳未満が146名,45歳〜65歳が388名,66歳以上196名だった.Table1
- 交絡調整行っても12ヶ月間のDAS28は年齢で有意に影響された(p=0.000).
- 年齢を3群にわけた解析でも疾患活動性の改善は若年群,中年群と比較して高齢群で最も悪かった.Fig1A
- responderの割合は3群とも同様だったが,good responder, remission の割合は高齢群で低かった.Fig2
- HAQの改善率も高齢群で有意に低かった(p<0.005) Fig1B
- SF-36のphysical functioning , role-physical の改善率が高齢群で有意に低かった(p<05)
- 薬剤の継続率は各群で有意差を認めなかった(p=567)
- 210名7%が観察期間中に薬剤中止した.
- 抗TNF-αのDose changeや中止理由,重篤な有害事象は3群ともに同等であった.
- MTXは3群に有意差を認めず,経口PSLは高齢群で使用率が高かったが,使用量増量,減量に関して有意差を認めなかった.
- 2ndBioへの変更は有意に高齢群で低かった.(高齢15.8% n=31, 中年9% n=108,若年31.5% n=46)
- DMARDsに関しても高い確率で高齢群が同様の処方が継続された(高齢8% n=25 ,中年6% n=23,若年5.5% n=8 p<0.005)
- どのように臨床に活かす?どのように今後の研究に活かす?(箇条書きにて記載。論文中の記載から抜粋、および、自分考えたものを記載)
- 導入時DAS28や罹病期間,HAQなどで交絡調整を行っていて,有意な結果が得られた.
- 過去のETNのおけるRCTでも高齢者への有効性が検討されたが,RCTでは高齢者の割合が実臨床と比較して低かった.本研究では実臨床と合わせた高齢者の割合を使用している.
- Limitation
- 自分で考えた交絡因子
- RA関節外病変(肺,皮疹,腎)の有無,変形性関節症の有無,SES,SDS
- この論文の弱点(自分で考えたものを記載)
- 3ヶ月目までの治療反応性はどの群でも良好であり,以降の改善が乏しい点,Bio製剤変更例が高齢群で少ない点からは治療反応を確認する時期が至適ではない可能性が挙げられる.
- 年齢を3群にわけた根拠,評価項目の定義の記載が乏しい.
- 理解できなかった点
- Interaction were tested between age gender and disease duration.
- MTX,経口PSLの交絡の入れ方 (MTX and oral PSL use were dichotomized to indicate current use at the time of disease activity evaluation and were handled as time varying confounders.)
- 多重検定の場合の説明変数,症例数が適当かどうか
- 好ましい点
- Primary outcomeを宣言している.解析法が詳細に記されている.
上級医のコメント
l Participantsが施設により45-100%の登録割合とばらつきがある。何らかの理由があってレジストリー未登録の可能性がありうる。
l 未測定の交絡因子として、RF・ACPAの陽性割合、関節外症状、骨びらん、MTX以外の併用DMARDSがあり、これらの調整も必要であったと考える。
l 治療の強さに関する調整がMTXおよびPSLの使用の有無のみと不十分であるため、年齢のみの影響で今回の結果を説明できるかは注意が必要ではないかと考える。高齢のため併存疾患を多くかかえていることが予想され、若年者と比較しMTX量やその他DMARDs治療が多く併用できていなかったことが想定される。
担当:小黒 奈緒
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