強皮症に伴う間質性肺炎に対するMMFまたは経口CYでの治療効果の比較検討:無作為割り付け,二重盲検,並行群間比較試験 【Journal Club 20170823】

『Mycophenolate mofetil versus oral cyclophosphamide in scleroderma-related interstitial lung disease (SLS II): a randomised controlled, double-blind, parallel group trial』

Tashkin DP1, Roth MD2, Clements PJ2, Furst DE2, Khanna D3, Kleerup EC2, Goldin J4, Arriola E5, Volkmann ER2, Kafaja S2, Silver R6, Steen V7, Strange C6, Wise R8, Wigley F8, Mayes M9, Riley DJ10, Hussain S10, Assassi S9, Hsu VM10, Patel B9, Phillips K3, Martinez F3, Golden J11, Connolly MK11, Varga J12, Dematte J12, Hinchcliff ME12, Fischer A13, Swigris J13, Meehan R13, Theodore A14, Simms R14, Volkov S15, Schraufnagel DE15, Scholand MB16, Frech T16, Molitor JA17, Highland K6, Read CA7, Fritzler MJ18, Kim GHJ4, Tseng CH2, Elashoff RM19; Sclerodema Lung Study II Investigators.

 2016 Sep;4(9):708-719.

 

P 合衆国14施設で基準を満たした強皮症患者

I : MMFを24ヶ月投与

C: 経口CYを12ヶ月,その後プラセボ12ヶ月投与

O: 治療開始後3ヶ月〜24ヶ月の%FVC

 

  1. セッティング:どのような場所で研究したか?

2009年9月28日〜2013年1月14日の間

14の合衆国医療施設

 

  1. 研究デザインの型:無作為割り付け,二重盲検,並行群間比較試験

 

  1. Population、およびその定義

Inculusion criteria)

18〜75歳で同意が得られている限局皮膚硬化型全身性強皮症またはびまん皮膚硬化型全身性強皮症

FVCが正常予測値の45〜80%(初回測定値から10%以内の再現性)

Mahler BDIのMagnitude of Task componentが労作時息切れGrade2以上.

HRCTにおいてGGOが認められるもの.患者のレイノー以外の強皮症初期症状が7年以内.

Exculusion Criteria)

FVCが正常予測値の45%未満.一秒率65%以下.高度の閉塞性肺障害を有するもの,心臓超音波検査または

右心カテーテル検査で肺高血圧と診断され,高度な薬物治療を要するもの.DLCO40%未満,SScに起因しないHRCTでの高度な肺陰影,6ヶ月以内の喫煙,持続する要因不明の血尿(10/HPF以上),持続する白血球減少(4000/μl未満),血小板減少(15万/μl),貧血(10g/dL),トランスアミナーゼまたはビリルビンが正常上限の1.5倍,現在のカプトプリルの使用,血清Cr2.3mg/dL以上,コントロール不良のうっ血性心不全,妊娠中または授乳中,8週以上のMMFまたは経口CY使用歴,2回以上の経静脈的CY投与歴,無作為割り付け30日以内のMMFまたはCYまたは両薬の使用歴,(MMFやCYの使用により悪化する可能性のある)活動性の感染症,重篤な合併症(例:悪性腫瘍),強皮症以外の慢性消耗性疾患,薬物乱用などの本試験の信頼性を損なうもの,妊孕性があり(55歳未満の女性で閉経して5年以上経過しておらず,卵巣や子宮摘出術をうけていないもの)避妊していないもの,併用禁忌薬を使用している,割り付け前30日以内に疾患修飾しうる薬剤(Dペニシラミン,アザチオプリン,メトトレキサートなど)を服用したもの,10mg/日以上のPSL使用.

 

  1. 主な要因、および、その定義

24ヶ月間MMFを1日2回投与された.500mg1日2回から開始され最大量1.5g2回まで増量された

  1. Control、および、その定義:

2ヶ月経口CYを1日1回(朝実薬,夜プラセボ),その後12ヶ月間プラセボ投与された.体重により50-150mg/日から開始され,最大量1.8〜2.3mg/kgへ増量された.

 

  1. 主なアウトカム、および、その定義

主要評価項目 3ヶ月から24ヶ月時点の%FVC

副次評価項目 3ヶ月から24ヶ月時点のDLCO,TDI,mRSSと24ヶ月時点のHRCTスコア

 

  1. 交絡因子、および、その定義:なし

 

  1. 解析

αレベル5%,power80%を達成する24ヶ月時点で4%のの差を生じるためサンプルサイズは150名とした.

治療失敗例や脱落例もアウトカムが測定されITT解析が行われた.

安全性,忍容性をみるためにそれぞれの群のカプランマイヤー曲線を描いた.有害事象の発生率と重篤な有害事象を比較する目的でカイ二乗検定,Fisher検定が行われた.

 

  1. 結果
  • 2009年9月28日から2013年1月14日198名がスクリーニングされ142名(MMF69名,CY73名)が登録された.
  • CY群のうち36名が治療を中止(2名死亡,2名失敗,32脱落)だったがMMF群では20名(1名死亡,19名脱落)
  • 脱落群のうちCY群で9名追加し11名死亡,MMFで5名死亡した.
  • 参加者の平均年齢は52歳で74%が女性だった.SScの罹病期間は平均2.6年で58%がびまん型であった.平均FVCは66.5%,TLC:total lung capacity:65.8%,DLCOは54%であった.Table1
  • 24ヶ月を通した%FVCは両群で有意差を認めなかったp=0.24.figure2
  • Baseから24ヶ月時点の両群の差はみられず主要評価項目において有意差が得られなかった.P=0.56Table2
  • 両群ともにBaseと比較すると有意に%FVCの改善を12ヶ月,18ヶ月のみならず21ヶ月24ヶ月時点で認めた.24ヶ月時点での改善率MMF群で2.19%,CY群で2.88% Table2
  • mRSS,TDIに関しては両群の24ヶ月の改善率に有意差は認めなかったが,baseからの改善率はmRSS,TDIともに各群改善を認めた. Table2
  • DLCO,DLCO VAに関してはMMF群では改善見られず,CY群では悪化した.Table2
  • HRCT定量肺繊維化スコアは両群ともに有意差を認めなかった.
  • 24ヶ月の各個人の正常予測%FVCの変化率に関してはFigure2のjoint modelと結果が類似し,MMF群で3.3,CY群は3.0でほとんどの患者が改善を示した(7% vs CY64.7% p=0.55).Figure3A
  • 改善した群のみで%FVC変化率みるとMMF群38名で7.5,CY群34名で7.1であった.一方悪化した群に関してはほとんどが薬剤を中止したが,24ヶ月後の評価に戻されたものだった.
  • Figure3Bでは治療完遂したものをみているがMMF群では37/49(76%),CY群では29/38(81%)でFVCの改善を認めた.Figure3Cで脱落群のみのFVC変化率をみておりMMF群では3/4(75%),CY群では10/15(67%)の悪化を認めた.
  • Figure4でmRSSにおいても各群とも低下し,改善を認めた.MMF群で38/53名でスキンスコアの改善を認め,CY群で39/53名で改善を認めた.
  • 正常予測DLCOのみ両群の有意差が得られMMF群の方が拡散能の改善が得られる可能性が示唆された.
  • table3でおおな有害事象として貧血,白血球減少を認めた.CY群ではMMF群と比較し有意な白血球減少を認めた.(30vs4 p<0.05).血小板減少はCY群でのみ見られた.
  • 重篤な有害事象はMMF群の方が若干CY群よりも多かったが,治療関連はCY群が多かった.
  • 脱落や治療失敗までの期間はCY群の方が有意にMMFより早かった.
  • 全16死亡例がありMMF5例,CY11例であった.

 

  1. どのように臨床に活かす?どのように今後の研究に活かす?(箇条書きにて記載。論文中の記載から抜粋、および、自分考えたものを記載)
  • 両群で主要評価項目であるFVCの改善率に有意差を認めなかったが,治療効果が不十分という結果ではなく,両群ともに治療効果を得られており,SSc患者の間質性肺病変でMMFによる治療効果報告した最初の多施設RCTである.
  • 血管リモデリング抑制など動物実験での報告が見られる点,観察研究で肺高血圧例での有効性の報告があり,今回DLCOで有意な改善を認めたことから有効である可能性が示唆された.
  • MMFは比較的,忍容性がある可能性が示唆された

 

  1. Limitation(箇条書きで)
  • 全薬プラセボの群がないこと
  • 脱落例が比較的多い
  • 初期のCT画像がなく,除外された患者がいたこと.データ欠損があったこと.
  • IVCYではなく経口CYで試験をしたこと(でもIVCYでは盲検困難)
  • SScの病態に吸収不良がありMMFやCYの薬剤吸収不良の可能性
  • 消化管有害事象を集計しなかった

 

  1. 自分で考えた交絡因子:なし

 

  1. この論文の弱点(自分で考えたものを記載)
  • IVCYでないこと

 

  1. 理解できなかった点
  • ITTの詳細,post hoc analysis, longitudinal joint model
  1. 好ましい点
    • Primary outcomeを宣言している.
    • Limitationをある程度擁護できている

 

 

担当:小黒 奈緒

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