ANCA関連血管炎患者の雇用、仕事における障害とQOLについて。【Journal Club 20170809】

Employment, work disability and quality of life in patients with ANCA-associated vasculitides. The EXPOVAS study

Benarous, B. Terrier, H. Laborde-Casterot, A. Bérezné, B. Dunogué, P. Cohen, X. Puéchal, L. Mouthon, L. Bensefa-Colas, L. Guillevin, for the French Vasculitis Study Group (FVSG)

 

Clin Exp Rheumatol 2017; 35 (Suppl. 103): S40-S46.

 

ANCA関連血管炎患者の雇用、仕事における障害とQOLについて。

 

P

E:ANCA関連血管炎の患者

C:一般フランス人/末期腎不全患者/EUVASコホートのAAV患者

O:①雇用に差はあるか ②QOLに差はあるか

 

  1. セッティング:どのような場所で研究したか?

期間:2013年1月から9月

施設:National Referral Centre in Cochin Hospital, Paris, France

 

  1. 研究デザインの型:

cross-sectional study

 

  1. Population、およびその定義

ACRのcriteriaを満たしているGPAまたはEGPA and/or

EMAのアルゴリズムを満たしている and/or

Chapel Hill のMPA、GPA、EGPAの定義を満たしている成人のANCA関連血管炎の患者

 

  1. 主な要因、および、その定義

上記

 

  1. Control、および、その定義

・French general population (2002年-2003年の全国調査、20574人、45歳平均年齢、53%女性)

・patients with end-stage renal disease (ESRD) (773人、平均67歳、59%男性)

・AAV patients from the EUVAS cohort

 

  1. 主なアウトカム、および、その定義

仕事/QOL

アンケートでの回答

アンケートの内容:人口統計学的特徴、治療法、教育水準、職業上のステータス、SF-36

職業はFAP-2003(職業を使用スキルごとに分類する、フランスの雇用省が定めたもの。)を用いて分類

work disability:60歳未満(フランスの定年=60歳)で障害者向け生活手当や障害年金を受けている、または障害者向け職業をしている

QOLはSF-36を使用

 

  1. 交絡因子、および、その定義

記載なし

 

  1. 解析

質的変数:Fisher’s exact test、連続変数:Mann-Whitney U-test

多変量ロジスティック解析

 

  1. 結果(箇条書きで、大事なところのみ)

・531人のAAV患者にアンケートを送付し189人から回収(36%)、そのうち全部記載してあるのが108人(女性が57%、年齢の平均は59±14歳)、189人の詳細はtableⅠ参照。

 

[employment and work disability]

・189人のうち94人が60歳未満のworking age、その雇用状況がfig1参照、職業内容がtableⅡ

・23%の患者が病気によって質的にその仕事の性質が制限されていると感じており、43%は自分ができる仕事の量を制限していると感じていた。50%は病気が彼らのキャリアを妨げていると思っており、43%はサラリーの減少をもたらしたと考えていた。

・33%は仕事をしておらず、うち60%は健康的問題が理由としていた。

・その一方で、60歳以上の患者の10%が専門職を継続していた。

・88人の患者のうち35人(40%)が仕事障害を有していた。 仕事障害と有意に関連した唯一の変数は、より長い病気期間[OR 1.01(1.00-1.02)、p = 0.015](補足表)であった。

 

[QOL]

・French AAV<general population(Fig2A)、French AAV>ESRD(Fig2B)、PFでFrenchAAVの方がEUVASよりよく、MHでEUVASの方が良い(Fig2C)、AAV間での違いはなし。

・QOLに影響を及ぼす可能性のあるもの

PH(tableⅢ):罹病期間*、EGPA*、末梢神経障害、ANCA陽性(少) (*多変量で有意差)

MH(tableⅣ):ENT症状、心血管病変、失業* (*多変量で有意差)

 

  1. どのように臨床に活かす?どのように今後の研究に活かす?(箇条書きにて記載。論文中の記載から抜粋、および、自分考えたものを記載)

・雇用に関しては雇用状況、社会的背景が日本と異なるため、実臨床にそのまま反映は不可能。

・神経障害、呼吸器障害がMHに影響を与えることを考慮した治療を行う。

 

  1. Limitation(箇条書きで)

・横断研究のため因果関係がはっきりしない

・アンケート形式、返答率が低い

・治療内容との関連が不明

・基礎疾患(特に精神疾患が不明)

 

  1. 自分で考えた交絡因子

・治療内容、基礎疾患

 

  1. この論文の弱点(自分で考えたものを記載)

・主要outcomeが宣言されていないこと。

 

  1. 理解できなかった点

・この返答率で良いのか?検討する因子はこれで十分なのか?

・PECOの形にならない論文?

 

  1. 好ましい点

治療が寛解に至ったのちの社会的側面に着目している点。

 

【上級医のコメント】

l  患者さん由来のデータであり、とても大事な視点での研究と思われる。

l  しかし、この論文には二つの大きな弱点がある。

l  1つ目は、大きな選択バイアス(未回答者バイアス)があること。531人に研究の依頼し、189名のみしか質問紙回答を。質問紙未返却の人は、仕事についていない人などoutcomeについて答えたくない、ある一定の特徴をもった患者である可能性があり、就業状況が過大評価されているかもしれない。

l  2つめは、logistic regression analysisにて臨床的な必要な項目が含まれていない。先行研究でBVASやVDIとの関連性がQOLとあったと記載があるものの含まれておらず、また年齢、性別もp<0.1でないものの因子としていれるべきである。

 

 

 

担当:三浦 瑶子

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