Predictors of work disability after start of anti-TNF
therapy in a national cohort of Swedish patients
with rheumatoid arthritis: does early anti-TNF
therapy bring patients back to work?
Predictors of work disability after start of anti-TNF
therapy in a national cohort of Swedish patients
with rheumatoid arthritis: does early anti-TNF
therapy bring patients back to work?
T Olofsson,1 I F Petersson,2 J K Eriksson,3 M Englund,2 J A Nilsson,1 P Geborek,1
L T H Jacobsson,4 J Askling,3 M Neovius,3 for the ARTIS Study Group
1Section of Rheumatology,Department of Clinical Sciences Lund, Lund University, Lund,Sweden
Ann Rheum Dis. 2017 Jul;76(7):1245-1252. doi: 10.1136/annrheumdis-2016-210239. Epub 2017 Jan 10.
P:RAの仕事ができない人と仕事がフルにできるひと
E:罹病期間5年以上
C:罹病期間5年未満
O:仕事ができるようになった割合、仕事ができなくなった割合
1.セッティング:どのような場所で研究したか?
Swedenのbio registry(ATIS)とSocial Insurance Agencyの情報を使用
Longituidinal Integration Database/ Labor Martket Studies・・・教育、職業 Nationwide Prescribed Drug Register・・処方情報National Patients Register・・併存疾患Swedenのbio registry(ATIS)とSocial Insurance Agencyの情報を使用
2.研究デザインの型:RCT、横断研究、前向きコホートなど
過去起点コホート
3.Population、およびその定義
16-62歳のRA(ICD10で定義)、1stbio使用者、2006-2009年
①仕事ができない人:bio開始3ヶ月前に“90日間の病欠”か“3ヶ月間の障害年金受給”がある人
②仕事ができる人:bio開始3ヶ月前に“90日間の病欠”か“3ヶ月間の障害年金受給”が全くない人
Follow up期間:イベント発生まで、転居、36ヶ月followのいずれか
4.主な要因、および、その定義
RA罹患期間が5年以内
5.Control、および、その定義
RA罹患期間が5年以上
6.主なアウトカム、および、その定義
①仕事ができるようになった:月に15日未満の病欠か障害年金受給
②仕事ができる人:bio開始3ヶ月前に“90日間の病欠”か“3ヶ月間の障害年金受給”が全くない人
7.測定変数、および、その定義
年齢、性別、教育、就業状況、HAQ、DAS28、治療(csDMARDs、ステロイド)、合併症(うつ、不安障害、ACS、悪性腫瘍、HT,DM、膝/股関節置換術)
8.解析
ANOVA(連続変数)、カイ二乗(順序変数)
生存曲線:Caplan-Meier
予測因子解析:COX回帰モデル
まず単変量でp<0.1である因子を探して、因子として組み込む
ただし、単変量では、年齢、性別、HAQ,DAS28、は含まず
罹患期間と障害年金との関連性:ロジスティック回帰
9.結果(箇条書きで、大事なところのみ)
- 登録時に仕事ができなかった人は753例、仕事がフルでできた人は1048例
- 仕事がフルでできた人の中では、罹患期間5年未満:512人(49%)、仕事ができなかった人で罹患期間5年未満: 264人(35%)(p<0.001)
- 単変量解析では、仕事ができなかった人の中で罹患期間5年未満の方は、治療後3年間で35%が50%以上仕事できるようになり、罹患期間5年以上の方では14%であった(HR3.0、95%CI 2.1-4.2)。
- 感度解析として、100%仕事ができるようになった場合の検討を行った。仕事ができなかった人の中で罹患期間5年未満の方は、治療後3年間で24%が仕事ができるようになり、罹患期間5年以上の方では8%であった(HR3.7、95%CI 2.3-5.7)。
- 治療後3年間で50%以上仕事できるようになるための予測因子としては、罹病期間、性別、年齢、人工関節置換歴、治療開始時の職の有無が抽出された。
- 上記の変数に障害年金の有無をいれ多変量解析を行うと、障害年金受給(HR14.3)と年齢が若いこと(HR1.5、10歳で)が有意な変数として挙げられた。
- 罹病期間と障害年金との関係では、罹病期間が長くなればなるほど、障害年金の受給率は多くなる。
- 仕事がフルでできていた人の検討では、仕事ができなくなった方の割合は、罹患期間5年未満・以上の間にて差はなかった(28% vs 25%)。
10.どのように臨床に活かす?どのように今後の研究に活かす?
- 早めのBio導入が仕事に早く復帰しやすい可能性がある(しかし、RA発症1年以内であった場合は差がなし)
11.Limitation
- 病欠、年金受給のみが仕事できていないとの定義となっている。実際には、この定義以外でも仕事ができていない方もいることが想定される。
- 14日以内の病欠、年金受給は、除外してしまっているため、短期間の労働ができないことは反映されていない。
- 就業時間、仕事の種類、仕事環境、変形、喫煙、肥満などの重要な交絡が調整できていない。
- Swedenの手厚い社会福祉制度があるため、一般化可能性が低い。
- 障害年金を変数としていれて解析がされているが、アウトカムの定義自体にこの項目が入っており共線性の存在は無視できないと思われる。
12.この論文の弱点
- レセプト研究であり変数の定義がすべて妥当性があるものが使用されているかは不明
- Methodの解析の部分に、感度解析について記載されていない
- 病欠、年金受給がそもそもRAによるものかは、不明
担当:矢嶋宣幸