Short term use of oral corticosteroids and related harms among adults in the United States: population based cohort study.
Akbar K Waljee, Mary A M Rogers, Paul Lin, Amit G Singal, Joshua D Stein, Rory M Marks, John Z Ayanian, Brahmajee K Nallamothu
BMJ. 2017 Apr 12;357:j1415. doi: 10.1136/bmj.j1415. 2017;357:j1415.
P:健康保険に登録している18-64歳男女
E:corticosteroidsを合計30日
C:corticosteroidsを内服前の-5—180日
O:敗血症・静脈血栓症・骨折
1.セッティング:どのような場所で研究したか?
2012年から2014年における米国全土の医療保険記録と外来処方箋をリンク
2.研究デザインの型:後ろ向きコホート、自己対照ケースシリーズ
3.Population、およびその定義
研究開始1年前(2011年)より健康保険に登録している18-64歳男女1548945人
除外基準:
2011年のcorticosteroids内服・非経口corticosteroids投与・ブデソニド内服・
臓器移植・骨髄移植・悪性疾患・敗血症・静脈血栓症・骨折、研究期間内に合計30日
以上corticosteroids内服)
4.主な要因、および、その定義
Corticosteroids内服を4-30日以内した群、31-90日内服した群
5.Control、および、その定義
corticosteroids内服前の5-180日間
6.主なアウトカム、および、その定義
敗血症・静脈血栓症・骨折:ICD-9-CMにて定義
7.交絡因子、および、その定義
遺伝的傾向、健康習慣、併存疾患、他の薬剤の使用の時間的変化
➡︎自己対照ケースシリーズでcorticosteroids投与以前と投与後における比較
8.解析
2群間比較:χ2検定 studentのt検定
9.結果
- 327 452 (21.1%)人がcorticosteroidsを処方された
- 処方例は上気道炎、脊椎疾患、アレルギー疾患で多かった。
- E群:骨折(21.4/千人年)>静脈血栓症(4.6/千人年)> 敗血症(1.8/千人年)
- C群:骨折(14.3/千人年)>静脈血栓症(2.4/千人年)> 敗血症(1.0/千人年)
- corticosteroidsの内服開始30日以内で敗血症(RR 5.30, 95% CI 3.80 to 7.41), 静脈血栓症 (3.33, 2.78 to 3.99), 骨折(1.87, 1.69 to 2.07)であった。31-90日ではいずれも発症は低下
10.どのように臨床に活かす?どのように今後の研究に活かす?
- 臨床に活かす不必要なステロイド処方を減らす
- ステロイド使用に関して短期使用でも副作用のフォローをする
- 今後の研究
- ステロイド内服5-30日と31-90日では副作用発生頻度は減っているがどれくらい長期に影響を及ぼすか
11.Limitation
- 保険に登録しているヒトに限られる
- 65歳以上が含まれていない
- 極少量のcorticosteroidsの処方例がまれで、副作用との関連は十分に言えない
- 3つの重大な有害事象のみを評価しており、すべての有害事象を評価していない
12.この論文の弱点
- 除外基準のcorticosteroids内服・非経口corticosteroids投与・ブデソニド内服・臓器移植・骨髄移植・悪性疾患・敗血症・静脈血栓症・骨折が研究開始前年のみでいいのか
- そもそもステロイドを投与しなければならなかった患者は、基礎疾患などを有する状態が悪い方が多かった可能性がある。
13.好ましい点
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- 交絡因子をなくすために自己対照ケースシリーズでcorticosteroids投与以前と投与後における比較もしている
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担当:細沼雅弘