Association between a history of periodontitis and the risk of systemic lupus erythematosus in Taiwan: A nationwide, population-based, case-control study
Yi-Da Wu、et al
Division of Allergy, Immunology and Rheumatology, Department of Internal Medicine, Taichung Veterans General Hospital, Taichung, Taiwan
PLoS One. 2017 Oct 23;12(10):e0187075.
<セッティング>
・台湾レジストリー(NHIRD)
<研究デザインの型>
・retrospective case control study
<Population、およびその定義>
・NHIRDに登録されている住民(全住民の98%をカバー)
<主な要因、および、その定義>
・SLE発症前に歯周病の診断をうけた方
・歯周病定義→ICD9 (523.3-523.5)+抗生剤にて加療or年に3回以上ポケット計測
・重症度:①受診回数、②治療費
<Control、および、その定義>
・1:10
・受診日にてマッチング(SLEと診断された方が初めて外来受診した受診日を基準)
<主なアウトカム、および、その定義>
・2007-2012年間の新規SLE発症
・SLEの定義→ICD9(710.0)
・除外:SJSとRA合併例
<交絡因子、および、その定義>
年齢、性別、糖尿病、歯周病以外での歯科受診回数
<解析>
・単変量:カイ二乗
・多変量解析:conditional logistic analysis
・交互作用:年齢、性別、糖尿病にて層別解析
・欠測対処:未記載
<結果>
・多変量の結果、SLE発症はOR1.21(95%CI 1.14-1.28)【table2】
・歯周病の定義を替えて検討→OR1.13-1.20(すべて有意差あり)【table3】
・歯周病にて歯科に受診した最終日からの日数からSLE診断日までの期間が短期であればSLE発症率が高い。3M以内:OR1.83(95%CI:1.61-2.09)、3-6M:OR1.23(95%CI:1.05-1.43)、6M-1y:OR1.16(95%CI:1.03-1.31)、1y-3y:OR1.08(95%CI:0.99-1.77)【table4】
・歯周病にて歯科受診した回数が多いとSLE発症率が高い。【table4】
・歯周病治療コスト高いとSLE発症率が高い。【table4】
・サブグループ解析では、糖尿病がある場合には有意差がつかず【table5】
<どのように臨床に活かす?どのように今後の研究に活かす?>
・歯周病自体がSLEを誘発するのみでなく、ACSなど他の疾患を誘発するため治療はすべき。
・歯周病治療介入がSLE発症を予防できるか、などの研究が必要
<Limitation>
・SLE診断前に元々歯科にかかっていている人がPDと診断されやすい(SJSなどの乾燥症状などにて)
・歯周病の2大原因の一つの喫煙が検討できていない
・SLEでの歯周病の有病率は高いため、歯周病にて受診開始時にすでにSLEが発症していた可能性
・レセプトベースの研究だとどうしてもexposureやoutcomeでも誤分類が生じる
・臨床情報の欠如
<この論文の弱点>
・ステロイド量が歯周病に影響する可能性もあり交絡にいれるべき
・解析の部分に、定義を替えての検討、重症度の関連の検討をしているが、この根拠の論文が掲載されていない
・時間依存関係については、受診最終日より初回受診日の方が、より時間依存関係を説明できると考える
・マッチングしているデータの解析は単変量ではマクマネー検定
<この論文の好ましい点>
・データベースの信頼性が、専門家2人にて担保されている
・さまざまな切り口にて関連性があることを検討しようとしている(しかし、methodには同様の記載はないことが残念)
担当:矢嶋宣幸