RA患者における骨粗鬆症治療介入の決定はGIOPリコメンデーションのみで十分か?【Journal Club 20180502】

Are glucocorticoid-induced osteoporosis recommendations sufficient to determine antiosteoporotic treatment for patients with rheumatoid arthritis?

1
Department of Internal Medicine, Inje University Ilsan Paik Hospital, Goyang, Korea.
2
Department of Rheumatology, Hanyang University Hospital for Rheumatic Diseases, Seoul, Korea.

2014 Jul;29(4):509-15.

P:骨粗鬆症治療を必要とするRA患者
O:GIOPとNOFおよびVFスクリーニングとの差異 

GIOP:ACR2010勧告  NOF:米国骨粗鬆症財団ガイドライン

<セッティング>
・韓国 漢陽大学病院(単施設)

<研究デザインの型>
記述研究

<Population、およびその定義>
・2011.4~8までに韓国・漢陽大学を受診しACR1987分類基準を満たす50歳以上の女性RA患者100人

<主な要因、および、その定義>
年齢、身長、体重、病歴(罹病期間、喫煙の有無、飲酒の有無、骨折の既往、家族の骨折歴)をアンケートにて聴取⇒FRAXスコアを計算
⑴GIOPにてリスク分類
⑵NOF-GLにて再評価・X-rayにてVFの有無を確認

<主なアウトカム、および、その定義>
GIOP基準とNOF、VFでの差異率を確認

  1. ステロイド使用患者をGIOPでの適合の有無を確認後、NOFで再確認
  2. GIOPで骨折リスク分類した後、NOF、VFスクリーニングを追加しリスク分類の再評価

<解析方法>
単変量:Student t検定
多変量:カイ2乗検定、κ係数にてGIOPとNOFの一致度を確認

<結果>
・ステロイドの平均投与量 2.8㎎、平均投与期間は56.7ヶ月
・ステロイド使用患者と未使用患者において有意差を認めるものはRAの疾患活動性、骨折歴、FRAXによる10年後骨折リスク
・ステロイド使用患者(57人)のうちGIOP、NOFとも基準を満たすのが35人、GIOPのみ4人、NOFのみ2人)➡二つのガイドラインの一致率は高い(κ=0.76)
・全患者をGIOPにてリスク分類すると、高リスク23人、中リスク16人、低リスク18人、リスク無43人であり、高・中リスクの計39人が骨粗鬆症治療対象者
・GIOPは適合しないがNOFにて治療対象となるのが計56人
(本文中およびTable3の記載は56だがTableの数値を計算すると60)
・GIOP、NOF、VFスクリーニングいずれか1つの適合での要介入患者は計67人

<Limitation>
・単施設研究
・骨折リスクがFRAXによる重症度分類のためステロイドの用量が検討できていない(GIOPの弱点)

<どのように臨床に活かす?どのように今後の研究に活かす?>
・RA患者の骨粗鬆症治療介入はGIOPのみでは不十分であり、GIOP、VFスクリーニングで低リスク、リスク無し患者におけるNOFの適応は早期治療介入に役立つ可能性がある
・RA罹患自体でも影響をうけるため、疾患独自の骨粗鬆症の包括的ガイドラインが必要ではないか

<この論文の弱点>
・男性症例がいない➡患者選択にバイアスがかかっている可能性がある
・骨粗鬆症治療の内容には触れていない(GIOP2017では推奨治療薬が明記された)

担当:櫻井康亮

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