Increased Burden of Psychiatric Disorders in Rheumatoid Arthritis
Ruth Ann Marrie et al.
Arthritis Care Res (Hoboken). 2018 Feb 13. doi
P:RA患者(10206人)
E:
C:年齢、性別、居住地域をマッチさせた 5:1 カナダ人(50960人)
O:精神疾患の発症率
<セッティング>
・The World Health Organization’s Anatomical Therapeutic Chemical (ATC) Classification System.を使用
・1985/4/1-2012/3/31までのデータベースがある。
・データベースには、出生日、死亡日、医療保険情報、性別、6桁の郵便番号に基づく居住地、入院病院、入退院日、ICDに基づく25疾患の医療記録
・実施期間 April 1, 1989 からMarch 31, 2012.
<研究デザインの型:RCT、横断研究、前向きコホートなど>
Retrospective matched cohort study
<Population、およびその定義>
・精神疾患の定義。ICD-9とICD-10(カナダ版)を使用
<主な要因、および、その定義>
・うつ病、不安障害、双極性障害、統合失調症
<Control、および、その定義>
・年齢、性別、居住地域をマッチさせた 5:1 カナダ人
<主なアウトカム、および、その定義>
・精神疾患の発症率
<交絡因子、および、その定義>
・年齢、性別、居住地域
<解析方法>
・診断の正確性については、マニトバ州で予備的研究を施行。感度77.12%、特異度90.3%と良好。
・年齢、性別をマッチさせた。
・年齢は18-24、25-44、45-64、65-に分けた
・SESは5段階に分けた
・農村と都市に分けた
・2項ロジスティック解析を使用。
・統計ソフト:SAS V9.4
<結果>発症率 (Table 2)
・うつ病 95%CI 1.71(1.15-2.55)
・不安障害 95%CI 1.21(0.82-1.79)
・双極性障害 95%CI 1.30(0.63-2.68)
・統合失調症 95%CI:0.97(0.62-1.52)
他、生涯有病率、年次期間有病率もあり。
(Table 3)
・男性よりも女性のほうが発症率が高い
・年齢上昇とともに発症率が上昇する
・SESが低い乏しい人ほど発症率が高い
・農村よりも都市で発症率が高い
(Figure 1)
・年齢別解析。うつ病:25歳以上で高率。不安障害:25歳以上で高率。双極性障害:中年で高率。統合失調症:一定の傾向なし。
<メカニズム>
・記載なし
<Limitation>
・マニトバ州の医師の診断は1つのみ限定されている
(精神疾患が複数合併しているものの解析はできていない)
・診断が管理コード(精神科医による診断ではない)
・カナダのマニトバ州に限定されていること
<どのように臨床に活かす?どのように今後の研究に活かす?>
・これまで、RA患者にはうつ病の合併が多いことは知られていたが、不安障害は多くないと認識されていたが、否定されたので、不安障害も多いことを認識する。
・双極性障害、統合失調症は、一般人とかわりなし。
<自分で考えた交絡因子>
・ステロイド量、DMARDなどの治療歴
・他の精神状態に影響を及ぼす疾患(DM、HT、CKD、喘息、心血管疾患、脳血管障害など)が入っていない。
・精神疾患の家族歴、学歴、人種
<この論文の弱点>
・転帰に影響を及ぼす因子についての解析はない
・マニトバ州の医師の診断は1つのみ限定されている(合併しているものの解析はできていない)
・診断が管理コード(精神科医による診断ではない)
・4つ以外の精神疾患について検討されていないこと
<この論文の好ましい点>
・うつ病のみならず、不安障害、双極性障害、統合失調症について調査したこと。
・これまでのコホートは数千人規模。今回の研究は万の規模。
・発症率のみならず、生涯有病率、年次期間有病率も解析していること
<この論文にて理解できなかった点>
・過去の台湾の研究と全く逆の結果が出ていること
(不安障害は影響しない)
・男より女が悪い結果
・論文が未編集状態で掲載されていること
担当:三輪裕介