Presence of multiple spondyloarthritis (SpA) features is important but not sufficient for a diagnosis of axial spondyloarthritis: data from the SPondyloArthritis Caught Early (SPACE) cohort
Z Ez-Zaitouni. Et al.
Ann Rheum Dis. 2017 Jun;76(6):1086-1092.
<背景>
axSpAは様々な臨床症状を呈する
2009年に提唱されたSpondyloArthritis International Soiety(ASAS)の分類基準は専門医の診断に勝るモノではないとの意見が多い
診断基準にのっとるとoverdiagnosisが増えるとの見解もある
画像変化が生じる前の早期診断のツールがない
<セッティング>
Netherlands (Amsterdam, Gouda, Leiden), Norway (Oslo) and Italy (Padua).
診断によらず、リウマチ科医が診察した慢性腰痛患者のリストSPondyloArthritis Caught Early (SPACE)を使用(2009年設立)
<研究デザインの型:RCT、横断研究、前向きコホートなど>
横断研究
<Population、およびその定義>
SPondyloArthritis Caught Early (SPACE)に登録された慢性腰痛患者
(3ヶ月以上、2年以下)
45歳以下
<主な要因、および、その定義>
ASAS分類基準(Fig 1)
MRI:T1およびSTIRシーケンス 4mm幅
画像は他施設で共有し、複数の意見をもとに診断精度を高めた
HLAタイピング:HLAB27陽性
<Control、および、その定義>
45歳以下、CBD+
ASASの診断基準は満たすが、臨床医の診断でSpAから除外されたモノ
<主なアウトカム、および、その定義>
SpAの臨床診断(ASAS、MRI、Xay、HLAタイピングを全例)
定義:上記情報をもとに臨床医の判断をprimary outcomeとする
<交絡因子、および、その定義>
なし
<解析方法>
Data analysis was performed using STATA SE V.14. p Values ≤0.05 were considered statistically significant.
ASASの感度特異度を算出
各項目の臨床診断への寄与を多変量解析
その他詳細は記載なし
<結果>
500例のCBPが解析の対象
臨床医の診断をもとにするとASAS分類基準は
感度:76% 特異度:84%
単変量解析、多変量解析ともに診断に寄与した因子は
HLAB27陽性(OR5.6)
画像異常(単純orMRI)あり(OR34.3)
<Limitation>
診断に関する質の評価だが、ゴールドスタンダードを臨床医診断にゆだねている
単純に臨床医の診断とASAS分類基準のギャップを指摘したに過ぎない
CBP自体の定義(3ヶ月以上2年以下 45歳以下)が曖昧 外傷後なども含まれる
多変量解析の記載がない
HLAB27の人種差を考慮していないため、HLA保有率の低い本邦では別の結果になる可能性も
そもそもHLAB27の関連性の少ない疾患(乾癬性関節炎など)の考察がない
<どのように臨床に活かす?どのように今後の研究に活かす?>
SpAの分類基準の有効性を再度見直す警笛となる
ASASのOverdiagnosisが多いという視点に加え、臨床判断がunderdiagnosisになっている可能性も考えるべき
臨床判断は画像やHLAB27に依存する傾向にあることも認識すべき
診断後のfollow、診断に中~長時間を要する可能性も頭に入れておく
タイトフォローを要する患者の振り分け評価も行っていくべき
<自分で考えた交絡因子>
なし
<この論文の弱点>
Limitationの記載がない
臨床医の診断根拠の記載がない
CBPのentryの幅が広すぎる
画像評価が客観性に欠ける
<この論文の好ましい点>
実臨床の判断と簡易化されたスケール比較で問題提起している点
多症例ですべてにMRI、HLAタイピング検査が行われている点
担当:髙橋良