RAにBIOを使用することはCKDの低リスク【Journal Club 20180801】

Treatment of rheumatoid arthritis with biologic agents lowers the risk of incident chronic kidney disease

Keiichi Sumida et al.

Division of Nephrology, Department of Medicine, University of Tennessee Health Science Center, Memphis, Tennessee, USA;

2018 May;93(5):1207-1216

P:RA患者
E:BIO use
C:BIO no use
O:eGFRの変化量

<セッティング>
・米国。退役軍人のコホート

<研究デザインの型:RCT、横断研究、前向きコホートなど>
・前向きコホート

<Population、およびその定義>
・期間:2004/10/1-2006/9/30
・eGFR≧60
・RA
・除外基準:研究開始後6M以内にBIO開始例。

<主な要因、および、その定義>
・生物学的製剤を使用したRA患者(IFX、ETA、ADA, ABT, RTX, GOL, CZP, ANA, TCZ)

<Control、および、その定義>
・生物学的製剤非使用RA患者

<主なアウトカム、および、その定義>
・eGFR<60, eGFR<45の発生、event-freeのeGFRの推移

<測定因子、および、その定義>
・年齢、性別、喫煙状況、人種、もともとのeGFR、高血圧の有無、DMの有無、CHDの有無、CHFの有無、CVDの有無、末梢動脈疾患の有無、慢性肺疾患の有無、認知症の有無、肝疾患の有無、悪性腫瘍の有無、HIVの有無、うつ病の有無、既婚/未婚、社会保険の有無、収入、高住宅ストレス地域居住の有無、低学歴地域居住の有無、低就業率地域居住の有無、持続的貧困地域居住の有無、BMI、収縮期血圧、血清アルブミン値、年間の関節進行、RAS使用の有無、スタチン使用の有無、MTX使用の有無、HCQ使用の有無、SASP使用の有無、他の非BIO DMARD使用の有無、NSAID使用の有無、ステロイド使用の有無
・病名の調査はレセプト。(Supple Table 6, p9-10)
・社会背景因子の定義。(Supple Table 7, p11)

<解析方法>
・上記の因子を投入しpropensity matchinng

・cox比例ハザードモデル(CKDの発生)、多項ロジスティック回帰モデル(eGFRの推移)

<結果>

  1. 今回の研究のフローチャート。(Supple Fig 4, p16)
  2. もともとのエントリー数 BIO No:16140人 vs. BIO Yes:4617人(Supple Table 1, p2-4)
  3. 使用した生物学的製剤の種類はETNが60.2%(Supple Table 2, p5)
  4. BIOの継続率。(Supple Fig 1, p12)
  5. 生物学的治療を受けていないRA患者と比較して、生物学的治療を受けた患者は若く、男性とアフリカ系アメリカ人ではなく、ベースラインeGFRと一人当たり所得が高く、肝疾患やHIV / AIDS以外の併存疾患の罹患率は低く、社会サービスを享受する可能性が高い。また、RAに関連した関節処置施行率が高く、non BIO DMARD、NSAID、およびステロイドを使用する可能性が高く、レニン-アンギオテンシン系阻害剤およびスタチンを使用する割合は低い。
  6. propensity scoreを算出し(Supple Table 3, p6)、
  7. stratificationし解析の結果、両群とも4041人(Table 1)
  8. eGFR:85.9 ± 14.4 (BIO No) vs. 86.6 ± 14.4 (BIO Yes)
  9. 1年間のeGFRの推移:-1.0 ± 2.4 (BIO No) vs. -1.0 ± 2.3 (BIO Yes)
  10. 他の因子も両群でのバランスはよい(Table 1)
  11. CKDの推移。eGFR<60とeGFR<45に分けて、BIO useとnoに分けて解析。BIO userのほうがevent freeの率が高い。(Figure 1)(Supple Table 4, p7).
  12. HR:0.83(0.72-0.96)(eGFR<60群) HR:0.42(0.32-0.56)(eGFR<45群)
  1. eGFR<60になる予測因子としては、黒人(Figure 2)
  2. eGFR<45になる予測因子としては、CHDの有無 (Figure 2)
  3. eGFRが3以上低下する因子としては、特定の因子なし(Figure 3)(Supple Table 5, p8)
  4. eGFR低下は調整すると有意差あり。(Supple Fig 2, p13)
  5. eGFRの変化はTNFと非TNFで違いはない。(Supple Fig 3, P14-15)

<メカニズム>・CRP持続陽性では、CKD発症リスクが高まる
・RAのような慢性炎症状態→アテローム性動脈硬化→腎機能障害 をブロック
・抗TNF薬は腎機能を安定化させる
・血管内皮機能、インスリン抵抗性、脂質代謝にBIOが有効
・BIOによるADLの改善が代謝プロファイルを改善し、腎機能にも好影響
・NSAID、D-ぺニシラミン、シクロスポリンなど腎機能障害をきたす薬剤使用量の減少

<Limitation>
・米国退役軍人のデータであること(外的妥当性の問題)
・BIO user内でのMTX使用の有無を比較していないこと。

<他の交絡因子>
・他の膠原病疾患の合併
・腎臓の形態学的異常の有無
・腎疾患の家族歴
・生活習慣(塩分、蛋白摂取量、糖分など)
・喫煙歴
・普段の運動習慣

<この論文の弱点>
・MTXの使用率が約55%。(MTXの有無では解析されていない)
・日本ではあまり使用しないHCQやLEFの使用率が多いこと
・NSAIDは使用率のみで、使用量、種類が記載されていないこと
・病名の追跡がレセプトベースであること(保険病名?)
・平均BMIが29.0程度のやや肥満患者であること(日本人RAはもう少しスリム)
・アジア人が含まれていないこと
・RAの疾患活動性の評価がなされていないこと

担当:三輪裕介

<コメント>
bio使用が腎機能を改善させたとのメカニズムも理解しやすい。RAの活動性が腎機能に影響するとの報告がありこの調整が必要であるが、今回の論文では活動性の指標として一般的なDASや炎症反応などは利用せず、年あたりの関節に対する処置数にて代用をしているため調整しきれていない可能性がある。
methodはとても丁寧に記載されており実際に論文を記載する際にとても参考になる論文である。また、COX比例ハザートの前提である比例ハザード性を検討するシェーンフィルド残差、薬剤疫学で重要であるimmortal time biasについても言及しており参考になる。

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