高齢者における疲労と転倒の関連性の検討【Journal Club 20180725】

Longitudinal Association Between Subjective Fatigue and Future Falls in Community-Dwelling Older Adults: The Locomotive Syndrome and Health Outcomes in the Aizu Cohort Study (LOHAS).

著者 Tsukasa Kamitani, Yosuke Yamamoto, Noriaki Kurita, Shin Yamazaki,Shingo Fukuma, Koji Otani,

Miho Sekiguchi, Yoshihiro Onishi, Misa Takegami, Rei Ono, Shinichi Konno, Shinichi Kikuchi, and Shunichi Fukuhara

2017 Jul 1

P:LOHASに登録されている高齢者
E・C:主観的疲労を四分位範囲分類し比較
O:転倒の発生(率)

<セッティング>
LOHAS(Locomotives Syndrome and Health Outcome in Aizu Cohort Study)
福島県只見町、南会津町の住民40~80歳の健康診断情報をまとめたデータベース

<研究デザインの型:RCT、横断研究、前向きコホートなど>
縦断研究、前向きコホート

<Population、およびその定義>
LOHASに登録された患者のうち、2008年の時点で60歳以上
2008~2010年で計3回の健康診断のうちすべてを受診
除外基準は上記を満たしていれば除外なし

<主な要因/control、および、その定義>
・SF-36 Vitality subscaleによって主観的な疲労度を4つ(mildest,mild,moderate,severe)にカテゴリー分類し、評価
・「felt worn out」 「felt tired」と直接2項目を質問し、同様に4つのカテゴリー分類し、評価

<主なアウトカム、および、その定義>
・転倒の発生率:2年間で1回以上の転倒歴をアンケート形式にて聴取

<交絡因子、および、その定義>
・年齢、性別、抑うつ、睡眠障害、合併症、身体活動能力(片足立ち、握力)、BMI、転倒歴

<解析方法>
・多変量解析:ロジスティック回帰分析
・交絡調整:上記の因子を連続変数の平均値、標準偏差、カテゴリー変数の数、割合として表
しオッズ比を計算
過去2年間の転倒発生率を従属変数、主観的疲労度のスコアを独立変数
・欠測対処:multiple imputation
・二次解析・感度解析:1つ以上の交絡因子のデータ欠損があった208人(21.7%)

<結果>
・3回の健康診断歴のあった1010人のうち、SF-36のデータ欠損が51人
1つ以上の交絡因子のデータ欠損が208人であり残りの751人で主要解析を行った(Fig1)
・1010人および751人のベースラインは類似(Table1)
・2年間で転倒は31.4%(236人)で報告され、発生率は疲労度が大きいほど高かった(Fig2)
・SF‐36スコアとの主観的疲労度のオッズ比:1.42、95%信頼区間:1.16-1.73、p=0.001(Table2)
・mildestを基準にした場合はmild:1.60、[0.94-2.75]、p=0.084
moderate:1.87、[1.12-3.11]、p=0.017
severe:2.15、[1.23-3.76]、p=0.007
・カテゴリー分類間ではsevere群が最も今後転倒するリスクが高い(Fig3左)
・2項目Ver.の疲労度スコアとの主観的疲労度のオッズ比:1.48、95%CI:1.22-1.79、
p<0.001         (Table2)
・SF-36同様severe群が最もリスクが高く、SF-36での評価時よりもより高い(Fig3右)

<メカニズム>
・疲労は高齢者にとって重要な症状の1つであり、活動の制限や身体障害、死亡に関連する
⇒疲労の重症度が転倒の発生につながる可能性

<Limitation>
・SF-36 Vitality以外のsubscaleにて疲労感と転倒の関係性が実証できるか不明
・調整できていない交絡がある
・208人に欠損データがあり、選択バイアスがあった可能性あり
・転倒情報をアンケート形式で収集したためリコールバイアスがある可能性ある
⇒認知症に有無によってリコールバイアスが強まる可能性も

<どのように臨床に活かす?どのように今後の研究に活かす?>
・転倒に関する研究の先行研究として、outcomeを転倒とした際の交絡の調整方法など

<自分で考えた交絡因子>
・就業状況(歴)

<この論文の弱点>
・地方の小エリアの住民コホートであるため、都市部の住民と類似した結果が得られるかわからない
・合併症なしが約半数にもかかわらずBMI 25kg/㎡未満がほとんどいない
⇒診断されてない or 未治療の生活習慣病があるのでは?(地域医療の限界?)

<この論文の好ましい点>
・Primary outcomeを宣言している点

<上級医のコメント>
・論文がSTROBE声名にそって記載されており、参考になる構成である。
・1次産業がメインである地区、かつ、健診にくるような健康意識の高い群、つまり健康な
高齢者でも全体で18%もの転倒がある。我々が想像する以上に転倒は多く発生している可能性がある
・転倒の程度も重要であり、「転倒後の骨折」や「受診した転倒」なども検討することも一案で
ある

 

担当:櫻井康亮

 

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