ステロイド性骨粗鬆症において薬剤師の介入は予防効果を増やすことができるか【Journal Club 20181010】

Increase in prophylaxis of glucocorticoid-induced osteoporosis by pharmacist feedback: a randomised controlled trial

C. Klop (Utrecht Institute for Pharmaceutical Sciences, Division of Pharmacoepidemiology & Clinical Pharmacology, Utrecht University, The Netherlands)

2014 Jan;25(1):385-92

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<サマリー>
本研究は薬剤師が医師へステロイド性骨粗鬆症治療対象患者をフィードバックすることで骨粗鬆症予防が促進されるかをみた

結果として全体のビスフォスホネートの処方率は有意に増加しなかったが、男性及び高齢者では増加した


P:ステロイド性骨粗鬆症への予防(治療)未介入の患者
E:薬剤師から医師へのフィードバックあり
C:なし
O:ビスフォスホネートの処方率 

<セッティング>
オランダ国内29の薬局(薬局は公募にてエントリー、非系列)
研究参加薬局の全患者調剤データをベースラインで収集(データ抽出日、2005年1月~5月)

<研究デザインの型:RCT、横断研究、前向きコホートなど>
RCT

<Population、およびその定義>
・ベースライン90日以内に1回以上ステロイドが処方されている
・ベースラインの180日以内にプレドニゾン換算総量675mg以上でビスフォスホネートが併用されていないステロイド投与患者
・除外基準:ベースライン前投薬記録が6ヶ月未満の患者

<主な要因、および、その定義>
研究者側にて介入群に割付けられた患者
研究者側から薬剤師へ割付け情報が送られ、受け取った薬剤師が、患者のかかりつけ医へオランダのGIOPガイドラインと介入してほしい患者リストを渡す

<Control、および、その定義>
かかりつけ医への積極的介入はなし

<主なアウトカム、および、その定義>
・全患者をベースラインから骨粗鬆症予防が開始されるまでもしくは研究終了までのどちらか早い方まで観察
・主要アウトカム:ビスフォスホネートの導入
・副次アウトカム:他の骨粗鬆症治療薬(VitD、カルシウムサプリ)の導入
・複合エンドポイント(Bis VitD、カルシウムサプリの内の最初の薬剤)

<交絡因子、および、その定義>
なし

<解析方法>
・二群をカテゴリー変数としてそれぞれのサンプルを連続変数としてベースラインの差を決めるために、カイ二乗検定、フィッシャーの正確確率検定を使用
・Cox比例ハザードモデルにて観察期間のハザード比を推定
・性別、年齢(70歳以上/未満)ベースライン前6ヶ月間のプレドニゾン量でサブグループ解析
・カプランマイヤー法にてBis開始までの時間と研究期間中に新規介入される患者割合をみた

<結果>
・735人がエントリーされ695人をランダム化し、介入群343人、対照群(非介入群)352人に割り付け。 各群とも全症例解析(Fig 1)
・介入群の方が対照群に比べて年齢は若く、ベースラインでのヒドロコルチゾン使用量が多かった
性別、その他のステロイド使用率および使用量、併用薬等に差はなし(Table 1)
・平均観察期間は6.2ヶ月で主要エンドポイントであるBisの処方率は介入群39例(11.4%)
対照群28例(8.0%)と処方率は介入群が高いものの有意な差は認めなかった(Table 2)
・副次アウトカムであるBis以外の治療薬処方率も同様の結果だった
・Bis開始までの期間は介入群の方が短い(Fig 2)
・メイン解析では対照群と比較して介入群のBis処方率の有意な増加は認めなかったが、サブ解析では性別(男性)、70歳以上の高齢者にて新規Bisないし新規骨粗鬆症薬で有意な差を認めた(Table 3)

<結果の解釈・メカニズム>
・薬局側が治療介入すべき患者リストをかかりつけ医に伝えたが、リストに含まれていない患者に対しても必要と気づいた医師がいれば、処方率に差は出にくくなる
・ベースラインの6ヶ月前までにBisの投与歴がある患者も含まれているが、過去の投与歴は有害事象にて中止されている可能性があり、必然と処方されない状況となる
・男性は女性に比べて骨粗鬆症予防を見落としされがち

<Limitation>
・薬剤師がどのように介入したかがわからない(処方医とのコミュニケーションレベルが影響する)
・骨粗鬆治療の開始にあたっての処方医と患者とのやりとりがわからない

(患者が治療を断った場合もある)
・DEXAの結果や骨折歴が不明
・治療対象になるべき患者がオランダ版GIOPでは除外される症例があった可能性がある
・両群とも約1割でステロイドの投与がstopしているが、その患者背景が不明(ステロイド治療が不必要となったのか、ステロイド治療そもそもができなくなったのか、予定が元々なかったのか)

<どのように臨床に活かす?どのように今後の研究に活かす?>
・薬剤師が医師と患者に直接介入することでさらに治療率のupは見込めるのではないか⇒三者間でのしっかりとしたコミュニケーションが必要であり、薬剤師も患者のステロイド治療をはじめとした病態・予後の理解をする必要がある(=フィードバックの質を上げる)
・患者に不利益がない(小さい)RCTのため、比較的安価にできるRCTの参考となりうる

<この論文の好ましい点>
・患者、医師にGIOPの重要性を説明しておらず、薬局もガイドラインを受けて渡すだけなので、リアルな医療の現状がみえる

 

担当:櫻井 康亮

 

<上級医のコメント>
医師の処方行動に関する研究です。
このように医師の処方行動に関する問題はQIにて評価がされるものであり、今後pay for performanceにも反映されうるために注目すべきものです。
デザインでのもっとも大きな問題は、医師への薬剤師による教育介入を見たいのに割付を患者としている点であると思われます。

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