RA患者に対するトシリズマブ vs 他の生物学的製剤の重症感染症のリスク【Journal Club 20190214】

Risk of serious infections in tocilizumab versus other biologic drugs in patients with rheumatoid arthritis: a multidatabase cohort study.

Pawar A et al

2019 Jan 24. pii: annrheumdis-2018-214367

P: 関節リウマチ患者
I: トシリズマブ
C: TNFα阻害剤
O: 感染症発症

<セッティング>
three large US healthcare claims databases:

  1. Medicare 2010–2015,
  2. IMS ‘PharMetrics’ Plus 2011–2015
  3. Truven ‘MarketScan’ 2011–2015

<研究デザインの型:RCT、横断研究、前向きコホートなど>
横断研究

<Population、およびその定義>
病名コードでRAを有し、一剤以上のDMARDs(86%の感度でRAと診断できる)
18才以上 入院or2回以上の通院歴を有する者
除外基準:施設入所者、悪性腫瘍既往・併存、RTX使用者

<主な要因、および、その定義> 
生物学的製剤導入後180日間の観察を行い感染症の併発の有無を調べる

<Control、および、その定義>
コントロールなし

<主なアウトカム、および、その定義>
primary outcome :細菌、ウイルス・日和見含む重症感染症
secondary outcome:
prespecified types of SIs,
serious bacterial infection, herpes zoster, opportunistic infection, pyelonephritis/ urinary tract infection, skin and soft tissue infection, tuberculosis, viral hepatitis, diverticulitis, pneumonia/upper respiratory tract infection, and septicaemia/bacteraemia.

<交絡因子、および、その定義>
年齢、性別、MTX、PSL使用の有無、抗菌薬使用の有無

<解析方法>
TCZとTNFiのベースライン患者特性を比較した。TCZおよびABTと同様に、傾向スコア(PS)マッチングの前後で、ベースライン共変量が70以上に調整
多変量解析でTCZvs othersのPS値を比較した
各データベース内
各項目の臨床診断への寄与を多変量解析
その他詳細は記載なし

<結果>
TCZ群での重症感染症:618イベント VS TNF群では1155イベント

重症感染症のIRはTCZ4.68-7.05/100person years に対しTNF2.53-7.20で重症感染症の発症は両群で差がない

TCZ VS ABTでは IR TCZ:ABT 4.51/100person-year : 3.21/100 person-year  HR 1.40でTCZで感染症リスクが高かった(table3)

Secondary outcomeでは IR/100 person-yearsはTCZ:TNF 3.95:2.97とTCZで高く、中でも皮膚感染症、軟部組織感染症、憩室炎で高く、その他の感染症に差はなかった。(table4)

<自分で考えた交絡因子>
既存の肺病変
BMI
ADL
生活環境
内服薬の詳細(PSL量、DMARDs量など)

<この論文の弱点>
コントロールがおけない
保険病名でエントリー
感染症の定義が曖昧
PSL量の考察がない
観察期間が短い(1年観察できたのは全体の1/3 2年観察できたのは9%)

<この論文の好ましい点>
データベースを使用し痔規模に行われている
OUTCOMEの明記

 

担当:髙橋良

 

 

 

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

私たちと一緒に学びませんか?

プログラム・募集要項はこちら


昭和大学病院
〒142-8666 東京都品川区旗の台1-5-8
アクセスマップ
電話:03-3784-8000(代表)

[初 診]月曜~土曜 8:00~11:00
[再 診]月曜~土曜 8:00~11:00(予約のない方)
[休診日] 日曜日、祝日、創立記念日(11月15日)、年末年始