サイトメガロウイルス感染はAOSDの発症または再燃のトリガーかもしれない【Journal Club 20190515】

Cytomegalovirus Infection May Trigger Adult-Onset Still’s Disease Onset or Relapses.

Jia J1Shi H1Liu M2Liu T1Gu J1Wan L1Teng J1Liu H1Cheng X1Ye J1Su Y1Sun Y1Gong W1Yang C1Hu Q1

2019 Apr 24;10:898. doi: 10.3389/fimmu.2019.00898.

<セッティング>
Shanghai Jiao Tong University

<研究デザインの型>
横断研究

<Population、およびその定義>
山口診断基準を満たす
感染症、悪性腫瘍、膠原病の合併は除外
Acrive AOSD:発熱 and/or 関節炎 and/or 皮疹 and/or 咽頭痛を有するもの
New-Onset AOSD:新規発症、過去に治療歴を有さない者(ステロイドおよび抗リウマチ薬)

<検査>
Anti-viral(CMV、HSV1、HSV2、EBV)by ELISA kits
Real-time PCR (CMV) by NAQD kit
DNA sensore( 採取できた40名 AOSD=20 HC=20 のみ)
蛋白発現 IFI16 (皮膚生検を施行した AOSD:4 HC:4)

(IFI16:マクロファージ細胞内における IFN 誘導型の DNA と結合する宿主因子)
TNFα、IL-1β、IL-6、IL-18(MSD)

<Control、および、その定義>
ヘルシーコントロール:年齢・性別をマッチさせた自己免疫疾患ふくめ既往歴のないもの

<解析方法>
2群間比較 正規分布:t 検定
ノンパラ:mann-whitney U検定
3群間以上の比較 one-way analysis of variance , Wilcoxon rank-sum検定
臨床症状とCMV抗体、CMB-PCRとの相関 spearman順位相関係数

<結果>
■Tabe1
AOSD: N=100( active 69 : in-active 39), HC: N=70
69人の活動性AOSDの臨床症状:
Spike fever : 89.9% , 一過性皮疹:86.7%, 咽頭痛: 66.7%, 関節痛:79.7% (table1)

■Figure1A
CMV IgM/IgG抗体価はいずれもHCに対しAOSDで優位に高値(P<0.0001)
HSV1/2, EBV抗体価は有意差はないがAOSDで高値

■Figure2
CMV抗体価は活動性の高いAOSDでは活動性の低いAOSDに対し優位に高い(P=0.0112) 

■Figure3
発熱、咽頭痛をゆうするAOSDではCMV-IgMが有意に高い

■Figure4
CMV未治療の活動性の高いAOSD患者69人(新規発症38人、再発31人)では活動性の低いAOSD(31人)と比較したところ、血清CMV-DNAが有意に高値だった

■Table2
CMV-DNAは発熱、皮疹、咽頭痛、関節痛と関係が高い

■Figure5
CMV-DNA値は白血球増加、ESRとCRP高値と相関が高い
CMV-DNA値はTNFα高値と相関するが、IL-β、IL-6、IL-18との相関はなかった

■Figure6
DNAセンサー因子
IFI16mRNA, AIM2mRNAの2つの因子がHCと比較しAOSDで有意に高値
DDX41 mRNA, GAS mRNAの2つの因子がHCで有意に高く、AOSDで抑制されている可能性がある
AOSD皮膚(4人)よHC皮膚(4人)の比較ではAOSDの皮膚組織でIFI16、AIM2の発現が高かった 
仮説:ウイルスDNAは宿主の微小環境内で内因性リガンドとして、免疫抑制、自己免疫誘導、炎症惹起などの一連の反応を引き起こすのではないか。という仮説のもと、DNAセンサーを測定した。

<どのように臨床に活かす?どのように今後の研究に活かす?>
AOSD様のMAS病態ではCMV感染症の可能性を考え評価すべき
MASの病態下ではCMV抗体価は交叉反応により偽陽性を呈しやすいため、本研究で用いた、DNA-PCR測定がより特異的ではないか(実際の臨床でCMV抗体陽性は少ない)
抗ウイルス治療も選択しになり得る

<Limitationおよび論文の弱点>
抗体価偽陽性の可能性の考察
DNAセンサーを活動性のあるvsなし、新規発症vs再発でわけて考えていない
CMV感染症の症状(消化器症状や眼内炎などについての考察がない)
再発者の治療経過が不明 

<好ましい点>
CMVのDNA測定、DNAセンサーを測定し、DNAウイルスの宿主微小環境での仮説を検証している点

 

 

担当:髙橋良

 

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