Clinicopathologic analysis of TAFRO syndrome demonstrates a distinct subtype of HHV-8-negative multicentric Castleman disease
Am J Hematol. 2016 Feb;91(2):220-6. doi: 10.1002/ajh.24242.
<セッティング>
岡山大学+USケース
<研究デザインの型>
ケースシリーズ
<Population、およびその定義>
・1999年から2013年にHHV8陰性MCDと診断され、TAFRO症候群の腫瘍症状3つを満たすもの
・岡山大学病理部ファイルから臨床チームが厳選
・2名の米国患者(ヨーロッパ系およびスリランカ系)も追加 (詳細記載なし)
<Control、および、その定義>
HHV陰性形質細胞型のiMCD患者19名を同病理ファイルより抽出
<解析方法>
臨床データの二群間の比較:Fisher exact test、およびMann-Whitney U test
<結果>
■Tabel Ⅱ
・年齢に差はない
・TAFROではより全身状態が不良(PS≧2)
・骨髄生検は16例/25例のみにしか施行されず、5徴候すべての評価ができたのは16例のみ
・16例中9例が5徴候すべてを満たした(56.3%)
・血清CRPはTAFROで有意に高い(14.9 vs 5.9)
・PAIgGはTAFROの10例(10例/25例)のみで採取され9例で上昇(90%)平均 144 (range 12.5–1,340 ng/107cells)
・ALPはTAFROで著名に上昇し、アイソザイムは肝臓
・数例のTAFROで腎障害の急速な進行があり、5例で一時的な人工透析を要した
・iMCDで著名な高ガンマグロブリン血症を呈した(17例/19例)のに比べ、TAFROでは高ガンマグロブリン血症は一例もなかった
・TAFROのリンパ節はほぼ全例、長軸方向に拡大していたが、腫大の程度はごくわずかであった(平均9mm、6-14mm)
<どのように臨床に活かす?どのように今後の研究に活かす?>
漿膜炎や血小板減少、高ガンマグロブリン血症の欠如、わずかにとどまるリンパ節腫大、PAIgGの検出 などから鑑別としてはSLEがあがる。特にANA陽性である場合、SLEやマクロファージ活性化症候群(LDHは平均では正常だが)などが鑑別上位となるため、適切なタイミングで骨髄生検やリンパ節生検を行うこと、比較的特徴的なALPアイソザイム検査などを積極的に行うべきである
<Limitationおよび論文の弱点>
・ケースシリーズである点
・コントロールがPC型のiMCDのみである点
・骨髄生検評価が一部のみな点
・リンパ節の分布、検索箇所が記載されていない
<好ましい点>
・PA-IgGの評価、PS、negativeな傾向にある所見(リンパ節の大きさなど)を評価し、臨床医目線で診断基準案を作成している
・希少疾患のまとめである点
担当:髙橋良