機能的に異なる関節リウマチ関連線維芽細胞サブセットの同定【Journal Club 20191023】

Functionally distinct disease-associated fibroblast subsets in rheumatoid arthritis.

2018 Feb 23;9(1):789.

Mizoguchi F et al. Division of Rheumatology, Immunology, and Allergy, Brigham and Women’s Hospital, Harvard Medical School, Boston, MA, 02115, USA.

Balckground関節リウマチ(RA)の滑膜線維芽細胞は慢性的に活性化し、アポトーシス減少によるパンヌス形成、炎症性サイトカン、ケモカインの産生、細胞外マトリックスを分解するプロテアーゼ(MMPs)の産生、軟骨への浸潤と破骨細胞の活性化などを介して、「慢性的な炎症の維持と関節破壊」に寄与しているため「新たな治療標的細胞」として注目されている。特定の細胞を標的とした治療を開発するためには病的な細胞サブセットを同定することが重要である。関節リウマチの滑膜組織より線維芽細胞を単離し、白血球のような機能的に異なるサブセットがあるかを検証した。

Methods関節リウマチ罹患関節の滑膜組織よりFLSを単離し、培養を経ずに、線維芽細胞の生体内におけるF様性と働きを、表面分子と遺伝子発現パターンに基づいて解析した。線維芽細胞マーカーとして報告されてきた様々な細胞表面分子の発現をフローサイトメトリーにてスクリーニング。トランスクリプトミクスを使用して線維芽細胞の亜集団を分類。線維芽細胞の遺伝子発現を1細胞レベルでRNA-seqにて網羅的に解析免疫染色法で滑膜組織における内層、下層、血管周囲の線維芽細胞のサブセット検証細胞増殖能、遊走・浸潤能、破骨細胞形、単球の遊走への影響、サイトカン、ケモカイン、MMPs分泌能などの機能解析を行った。

Resultsフローサイトメトリーにてスクリーニングをした結果、培養したFLSはいずれの線維芽細胞マーカーも高発現しており、均一な細胞集団である一方、滑膜組織から単離したばかりのFLSではPDPN(汎線維芽細胞マーカー)のようにほぼすべての細胞に発現が認められる分子が存在する一方で、THY1, CDH11, CD34などの発現レベルは多様であり不均一な細胞集団であることが明らかとなった。そこで汎線維芽細胞マーカーとしてPDPNを用い、さらにTHY1, CDH11, CD34の発現パターンに基づいて線維芽細胞をまずは7つの亜集団に分け、それぞれの遺伝子発現を網羅的に解析した。その結果7つのFLS亜集団は遺伝子発現の類似性から、① CD34-THY1-, ② CD34-THY1+, ③ CD34+の3つの集団に分類できることが明らかとなった。この細胞表面マーカーから分類した3つの集団がサブセットの分類として妥当であるかを検証するため、384個の滑膜線維芽細胞の遺伝子発現を1細胞レベルでRNA-seqにおいて網羅的に解析し、遺伝子発現パターンのみに基づいて細胞を分類。その結果、滑膜線維芽細胞は3つに分類され、その分類はCD34とTHY1のタンパク発現による分類と高い精度で合致し、サブセットの分類は妥当であることが示された。RAと変形性関節症(OA)との滑膜組織における差異を調べたところ、RAではCD34-THY1+サブセットが有意に多いことが示されたCD34-THY1+線維芽細胞は滑膜下層の血管周囲に増生し、その割合は滑膜組織への炎症細胞浸潤や超音波検査での滑膜肥厚と正の相関が認められた。CD34-THY1+サブセットはRANKLを始めとする様々なサイトカインやプロテアーゼを高発現しており、骨破壊や組織傷害に関与するサブセットと考えられた。

Discussionこのサブセットの制御機構を明らかにすることにより、新たな治療戦略の開発へとつながることが期待される。本手法は線維芽細胞が病態に関与する様々な疾患の病態解明に応用可能と考えられる。

 

担当:若林邦伸

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