Clinical symptoms and associated vascular imaging findings in Takayasu’s arteritis compared to giant cell arteritis
Ann rheum dis. Online first http://dx.doi.org/10.1136/annrheumdis-2019-216145
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サマリー;
同じ大型血管の血管炎でも高安動脈炎と巨細胞性動脈炎では臨床、画像所見ともに異なる
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<セッティング>
・メリーランド州ベテスダで進行中のNIH前向き観察コホート研究の患者から抽出
・2014年9月~2018年9月に受診した患者
<研究デザインの型:RCT、横断研究、前向きコホートなど>
横断研究
<Population、およびその定義>
・TAK、GCAいずれも1990年のACR分類基準を満たすもの
・いずれの病期のものもエントリーしたが、可能な限り、活動期の画像と寛解期の画像検査を施行した(寛解期;PSL<10㎎/日をPSLの影響が最もすくないと判断した)
<主な要因、および、その定義>
- 画像検査時(1日前)の頸部痛・後頚部痛・側頭部および後頭部痛・上肢跛行
- 時期を問わない、ふらつき・頭位変換性ふらつき・回転性めまい・頸部痛・頭痛・視力低下・失明・失神・一過性脳虚血発作・脳卒中(stroke)
- FDG-PET CT:鎖骨下動脈・頸動脈・椎骨動脈を視覚的に肝臓の集積と比較し判断
臨床経過・MRIの情報はなしに、一人の放射線科医師が読影
- MRA: 構造異常(vascular damage)は動脈硬化・閉塞・瘤
臨床経過・PETの情報はなしに、一人の放射線科医師が読影
(血管壁と肥厚と浮腫はvascular damageととらない)
<Control、および、その定義>
なし
<解析方法>
- TAk,GCAの臨床症状と画像所見との関連:来院回数、PSL量、追加された免疫抑制剤などを一般化線形混合モデルを使用し回帰分析した
- それぞれの血管(左右の頸動脈 左右の椎骨動脈)の炎症とそれぞれの部位の痛み(前後左右)の影響を0-4か所とし順序ロジスティック回帰分析をおこなった
<結果>
-
- 110名のLVV患者がエントリー(TAK;56, GCA;56)
- TAKではFDG-PET CT施行:総計105回、MRA施行:総計102回
- GCAではFDG-PET CT施行:総計134回、MRA施行:総計129回
- GCAの56%で側頭動脈生検陽性、76%にPETもしくはMRAでLLVの病変を検出した
- ベースラン(=エントリー時)のstudy population:table1
- 72%(79/110名)は観察期間中に臨床的活動期がみられた。
- 64%(70/110名)はエントリー時にPSL<10mg/dayだった
- 臨床症状の比較(table2)
- TAKで頸部痛(21%vs0%)、ふらつき(30%vs9%)、CNSイベント(25%vs9%)、上肢跛行(52%vs28%)が多い
- TAKでは上肢跛行が最も頻度が高く(52%)、GCAでは視力低下(37%)が最多だった。
- 画像所見の比較(table3)
- 血管の炎症(PET)はGCAでより高頻度に検出、血管のdamage(MRA)はTAKにより高頻度に検出
- 頸動脈:PETでは有意にGCAで集積がみられる。MRAではTAKで有意に異常を検出する
- 鎖骨下動脈、椎骨動脈ではTAKに比してGCAで有意なPET集積をみる。MRAでは有意差はないものの、TAKにこより高頻度に異常を検出する
- 臨床症状と画像所見
- TAKでは頸部痛は頸動脈の炎症(PET-CT陽性)に対し、感度が27%、特異度96%
|
PET positive |
PET negative |
計 |
感度=頸部痛ある人/炎症のある人 (PET-posi) =10/37=27% |
頸部痛+ |
TP 10 |
FP 7 |
17 |
|
頸部痛- |
FN 27 |
TN 166 |
193 |
|
計 |
37 |
173 |
210(105回PETの左右) |
- TAKでの頸部痛は頸動脈のdamage(MRI陽性)に対し感度11%、特異度95%
- 血管痛を示唆する痛みはLVVに対し特異度の高い所見である
- 上肢跛行は構造異常(MRI)に対し感度が少し上がる
- LVV全体ではそれぞれの臨床症状と画像所見の関連はMRIでより強い(figure2A,B)
<結果の解釈・メカニズム>
PET検査=血管の炎症を示す画像検査はGCAでより有効であるのに対し、MRI検査=血管構造異常(damage)を示す画像検査はTAKでより有効
<Limitation>
- 罹病期間が及ぼすMRI変化の考察がない。
- 診断時期、病期が統一されていない
- ステロイド(<10㎎でも)の動脈硬化性病変への関与の可能性はある
- 同時に年齢が違う=血管の加齢性変化などの影響も加味されるべき
- 1人の放射線科医での読影である点
<どのように臨床に活かす?どのように今後の研究に活かす?>
- 臨床症状に対するMRIの有効性を再認識した。炎症に関連するであろう疼痛よりも、特にめまいや視力障碍などの乏血症状でOdds比が高いことから、これら乏血症状がみられた際には、PETのみでなく、積極的にMRIを施行することも望ましい。
- 発熱やCRPなどの全身炎症所見、血圧左右差、しびれや顎跛行、側頭動脈所見など、その他の臨床経過との関連も興味深い
<この論文の好ましい点>
PET、MRIの違いを臨床症状との関係性を考察したはじめての研究
疼痛と同時(24時間以内)に画像評価ができている点
比較的症例数が多い
担当:髙橋良