Simultaneous Treatment with Subcutaneous Injection of Golimumab and Intra-articular Injection of Triamcinolone Acetonide (K-Method) in Patients with Rheumatoid Arthritis Undergoing Switching of Biologics: Retrospective Case-Control Study
Katsuaki Kanbe et al. Department of Orthopedic Surgery, Tokyo Women’s Medical University Medical Center East
Clin Med Insights Arthritis Musculoskelet Disord. 2016. Apr 4;9:45-9.
Background:
早期関節リウマチのADAの効果を検討した試験(OPERA試験)においてトリアムシノロン関節内注射を併用すると寛解率、機能障害、QOLを改善することが示されているが、投与のタイミングや高疾患活動性のスイッチ症例での報告はされていない。本論文では高疾患活動性のBio-DMARDsのスイッチにおいて、その反応性はBio-naïve患者より劣ることが報告されていることを背景に、トリアムシノロン関節内注射+Bio-DMARDs切り替え導入を同じ日に行う治療(K法)の効果を検証した。
P: 高疾患活動性、Bio-DMARDsスイッチ症例
E: Bio-DMARDs切り替え導入
C: トリアムシノロン関節内注射+Bio-DMARDs切り替え導入(K法)
O: 24週時のLDA(DAS28CRP<3.2)を達成した患者の割合
- セッティングと研究デザインの型:後ろ向きケースコントロール研究
- Population、およびその定義
1987ACRの改定分類基準を満たすRA患者20人(K法群10人、対照群10人)
高疾患活動性(DAS28CRP>5)
GLM以外のBio-DMARDs使用歴
全ての患者がGLMへの切り替えだった
除外基準:LDA、Remission、Bio-naïve - 主な要因、および、その定義: K法群
Bio-DMARDsからGLMへのスイッチにケナコルト関節注射を併用
GLM投与と同じ日に、1mLケナコルト(40mg/mL)を2mL1%キシロカインとともに、最も腫れているもしくは痛い大関節(膝、肩、肘、手関節、足関節のどれか片側1つ)に関節内注射
手指の関節には合計3mL(1mLケナコルト+2mLキシロカイン)を最大3カ所に分けて関節注射 - Control、および、その定義: Bio-DMARDsからGLMへのスイッチ
- 主なアウトカム、および、その定義:
【主要評価項目】 24週時のLDA(DAS28CRP<3.2)を達成した患者の割合
【副次評価項目】 DAS28CRP
DAS28寛解(DAS28CRP<2.6)を達成した患者の割合
Good/ Moderate response (ACR/EULAR)
投与1日でのDAS28CRP,CDAI、SDAI、EULARresponce, 寛解率 - 交絡因子、および、その定義: なし
- 解析:Wilcoxon signed-rank test、Fisher’s exact test and the Mann–Whitney U test.
- 結果
患者背景(Table1)
K法群 10人(2013.9-2014.6)(ETN4, TCZ3, ABT3)からGLMへのスイッチ
対処群 10人(2012.9-2013.8)(ETN3, TCZ3, ABT3, IFX1)からGLMへのスイッチ
両群ともに70%の患者はGLM100mgを投与主なアウトカム、および、その交絡因子、および、その定義: なし結果
DAS28CRP値の変化(Figure1)
両群ともDay1から24週までのどの時点でもベースラインより有意な低下を認めた。
Day1における比較(Table2)
K法群でDAS28CRP値、CDAI、SDAI、CRP値、圧痛関節数、腫脹関節数、PtVAS、DrVASは有意に低くかった。K法群で30%が寛解、50%でLDA、80%でEULAR good/moderate responseを達成した。
12 週における比較(Table3)
K法群でDAS28CRP値、CDAI、SDAI、圧痛関節数、腫脹関節数、PtVAS、DrVASは有意に低くかった。K法群で50%が寛解、80%でLDA、90%でEULAR good/moderate responseを達成した。
24週における比較(Table3)
K法群でDAS28CRP値、CDAI、SDAI、圧痛関節数、腫脹関節数、PtVAS、DrVASは有意に低くかった。K法群で60%が寛解、80%でLDA、80%でEULAR good/moderate responseを達成した。24週でのGLM中止はK法群で0%、対照群で30%。有害事象:どちらの群でも発生しなかった
- 考察
GLMへのスイッチにケナコルト関節注射を併用することで、速やかに疾患活動性を低下させ、関節注射後も長く持続するブースター効果によってGLMへの反応性を促進する。
局所の滑膜炎症は全身性病態に重要な役割をはたす可能性がある。担当:若林 邦伸