Soluble E-cadherin in systemic lupus erythematosus
Tao Jin 1 , Katarina Almehed, Yihong Zhu, Hans Carlsten, Helena Forsblad-d’Elia
1 From the Department of Rheumatology and Inflammation Research, Institute of Medicine, Sahlgrenska Academy; and the Department of Obstetrics and Gynecology, Sahlgrenska Cancer Centre, Institute of Clinical Sciences, University of Gothenburg, Göteborg, Sweden.
The Journal of Rheumatology. 2013;40;10
【背景・補足】
・cadherinは、膜貫通糖タンパク質の一群であり、細胞接着に関連する。
・古典的cadherinとしてE-、N-、P-、R-、B-cadherinがある。
・E-cadherinはCDH1 cadherinとも呼ばれ、ほとんどの上皮組織の細胞表面に発現し、上皮細胞の増殖・分化・生存の調整に関わる。
・欠損すると腫瘍の浸潤性が高まるとされている。
【目的】
(1) SLE患者において血中sE-cadherinの濃度を比較すること。
(2) SLE患者において血中sE-cadherinと疾患と関連する因子との関係を調べること。
【方法と結果】
・Table 1
・背景
・SLE患者は150人、健常者は31人
・年齢はSLE群が20~60歳代、健常群が20~70歳代
・年齢の平均は共に40歳代で有意差なし
・血中のsE-cadherinはSLE群で有意差をもって高かった(ELISA法で測定、t検定使用)
・背景追記(Tableに記載なく本文に記載されているもの)
・57%がDMARDsの投与を受けていた(内容詳細不明)
・53%がPSLの投与を受けていた(平均3.28mg/日)
・SLEDAI平均値 6.7
・SLICC平均値 2.9
・平均血清Cr 94.3µmol/l(≒1.07mg/dl)、43.3%血清Cr 90µmol/l(≒1.02mg/dl)
・平均GFR 73.2ml/min(1人だけendstage)
・6.1%が尿中蛋白質 >3,5g/日
・Table 2
・Spearman順位相関係数検定を用いて、女性のSLE患者における血中sE-cadherin値とSLE関連の症状所見との関係を検討した
・年齢 r=0.25、p<0.01
・罹病期間 r=0.24、p<0.01
・SLICC r=0.21、p<0.01
・ESR r=036、p<0.0001
・血清Cr r=0.42、p<0.0001
・GFR r=-0.53、p<0.0001
・Table 3
・多重段階的回帰分析(Multiple stepwise regression analysis)を用いて、血中sE-cadherin値と年齢、血清Cr、ESR、中性脂肪の関係を検討した。(R2=0.543)
・Figure 1
健常者およびSLE患者における血中Cr、GFR、腎障害で分類したときの血中sE-cadherin値をELISA法で測定した。
・A:血中Cr
血中sE-cadherinの濃度は健常者および血清Cr≦90µmol/l(≒1.02mg/dl)に比較し、血中Cr>90µmol/lの方が有意差をもって高かった。
・B:GFR
血中sE-cadherinの濃度は健常者およびGFR≧50ml/minに比較し、GFR<50ml/minの方が有意差をもって高かった。
・C:腎障害
血中sE-cadherinの濃度は健常者および腎障害のないSLEに比較、腎障害のあるSLEの方が有意差をもって高かった。
・重要なポイントはどこか?
・ユニークなポイントはどこか?
・IL-6などの炎症性サイトカインの影響により産生されたMMP-3などの酵素がE-cadherinの細胞外ドメインを切断することにより、血中sE-cadherinの濃度が上昇したと考えられる。E-cadherinは上皮細胞の中でも尿細管上皮に優位に発現しており、今回腎障害と関連したと考えられる。
・今後の研究展開や論文に対する検討課題
・主に治療中の患者データを使用しており、PSLや免疫抑制薬がそれぞれの測定値に影響している可能性がある。
・腎障害については血清Cr値、GFR値で評価しており、腎生検の結果の記載がない。
・疑問点
・Table 3の解釈(Multiple stepwise regression analysisの結果の見方)
担当:西見 慎一郎