2019年EULAR勧告に基づく全身性エリテマトーデスの品質指標【Journal Club 20210818】

Quality indicators for systemic lupus erythematosus based on the 2019 EULAR recommendations: development and initial validation in a cohort of 220 patients
Katerina Chavatza et al

Rheumatology and Clinical Immunology, Medical School, National and Kapodistrian University of Athens, “Attikon” University Hospital of Athens, Athens, Greece
Ann Rheum Dis 2021;0:1–8. doi:10.1136/annrheumdis-2021-220438

P:(「Attikon」ループスコホートの患者)
E:(なし)
C:(なし)
O:QI順守率

<セッティング>
・専門家パネル(欧州5カ国のリウマチ専門医9名と腎臓専門医3名)と患者代表1名

<研究デザインの型:RCT、横断研究、前向きコホートなど>
・QI研究

<Population、およびその定義>
・QIの初期検証を行うために、西アッティカ最大の三次病院を拠点とし、SLE患者の紹介センターとされている
「Attikon」ループスコホートの患者を使用した。
・(1)EULAR/American College of Rheumatology(ACR)2019年および/または2012年の
Systemic Lupus International Collaborating Clinics(SLICC)分類基準を満たす患者
・(2)少なくとも1年間の追跡調査
・(3)過去1年間に少なくとも4回の受診があった患者

<主な要因、および、その定義>       
・(1)再燃(大規模再燃を含む)(治療介入につながる測定可能な疾患活動の増加と定義)
・(2)SLE damage index (SDI)増加(観察期間中のSDIスコアの増加)
・(3)グルココルチコイド(GC)に関連する有害転帰(GCに関連する合併症)
・(4)入院を必要とする心血管イベントまたは重篤な感染症
・(5)複合有害転帰(CAO)
(以下のうち少なくとも1つの発生と定義)が含まれました。
複合有害事象(CAO)とは、再燃、入院、SDIの進行のうち、少なくとも1つが発生した場合と定義

<Control、および、その定義>
・(QI研究であり、記載なし)

<主なアウトカム、および、その定義>
・??

<交絡因子、および、その定義>
・(QI研究であり、記載なし)

<解析方法>
・アドヒアランスのグレードを評価するために、各QIのパフォーマンスを「充足」、「非充足」、「欠落」のいずれかで評価した。
ほとんどのQIは複数の要素で構成されているため、「充足」はすべての要素が満たされていることを示し、「不充足」は対応するQIの少なくとも1つの要素が満たされていないことを示し、「欠落」はデータがチャートに記録されていないことを示している。
・連続変数には記述統計を用い、必要に応じて平均値/SD値または中央値/IQR値を算出した。
・各QIに対するアドヒアランスは、指定されたケアを受けた患者数(分子)をそのQIの対象となる患者数(分母)で割って算出した。
・患者ごとの平均スコアは、「満たされた」QIの数を各患者の対象となるQIの数で割って算出しました
・各領域の平均的な提供されたケアは、推奨されたケアがうまく提供されたケースを、各領域内の適格イベントの数で割った複合スコアとして算出されました。
・患者のサブグループ間のアドヒアランスの違いを検出するために、3つの基準を適用しました。

(1)罹患期間(診断から2年未満 vs 2年以上)
(2)重症度パターン(軽症 vs 中等症 vs 重症)
(3)コホートの起源(発症 vs 有病者)
・異なるカテゴリー間の平均値や分布の均等性を比較するために、一元配置分散分析とノンパラメトリックなKruskal-Wallis検定を適宜使用しました。
・ロジスティック回帰モデルを用いて、QIの遵守と、2つの異なる時間枠(全追跡期間中および追跡期間最後の1年間)に発生した有害疾患の転帰との関連を推定した。すべてのモデルは、年齢と罹患期間で調整しました。
・使用した統計ソフト:STATA/MP V.13.1(StataCorp)

<結果>・44件のQI候補のうち、有効性/実現性スコアの中央値が低かったため,3件が削除、10件で不合意。
結果、4つのQIがそのまま採用され、4つのQIが編集されて維持され、17つのQIが7つのQIに統合され、
6つのQIが却下されました。意見が一致しなかった10個のQIのうち、1個はそのまま、2個は編集を加えてそのまま、
4個は除外、3個は以前に作成された2個のQIに統合されました。その結果、18個の候補となるQIが修正された。
・最終的に選ばれた18のQIは、3つに分けられた。
(1)スクリーニング・診断関連(QI 1-5)
(2)治療関連(QI 6-10)
(3)モニタリング(QI 11-18)
・QIへのアドヒアランス
・最終的に作成した18項目のQIは、対象となる患者全員(N=220)を対象に、その遵守状況を確認した。
・特定のQIの遵守状況と転帰との関連性についても検討しました。持続的寛解またはLLDAS(Lupus Low Disease Activity State)を達成した患者(QI13)、ワクチン接種に関するQI16を満たした患者、低用量GCを投与した患者(QI7)は、観察期間中に再燃する確率が低かった(それぞれ、OR 0.15、95%CI 0.07~0.31 OR 0.46、95%CI 0.21~0.98、OR 0.23、95%CI 0.05~0.94)。
・寛解/LLDASに関するQI13とワクチン接種に関するQI16を満たした患者では、最後の1年間の追跡調査でCAOのリスクが低い(それぞれOR 0.09、95%CI 0.04~0.18、OR 0.52、95%CI 0.28~0.99)。
・持続的寛解またはLLDAS(QI13)を達成した患者は、観察期間中の被害発生の確率が低かった(OR 0.35、95%CI 0.14~0.84)。
・SDIの発生(QI12)とCVDリスクの層別化(QI4)を評価された患者は、いずれかのCAOを示す確率が高かった(それぞれOR 2.62、95%CI 1.18〜5.71、OR 1.77、95%CI 1.01〜3.12)

<メカニズム>
・??

<Limitation>
・フォローアップの期間が短い
・単一の施設
・研究サンプルが220例と比較的少ない

<どのように臨床に活かす?どのように今後の研究に活かす?>
・患者さんの治療方針の参考にする。
・外来診療のチェックリスト

<自分で考えた交絡?因子>
・国、人種、使用可能は治療薬(国によって異なる)、保険制度、専門医へのアクセスしやすさ

<この論文の弱点>
・単一施設。ギリシア。

<この論文の好ましい点>
・SLEのQI研究で臨床現場での検証を行っていること。
・タスクフォースがある程度多国籍(ギリシア、イタリア、ドイツ、ベルギ、イギリス、スウェーデン)

<この論文にて理解できなかった点> 
・QI研究の方法論、解析方法

担当:三輪裕介

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