全身性強皮症に伴う肺動脈性肺高血圧症におけるREVALに基づく予測式とリスクスコアの妥当性の検討

Validation of the REVEAL Prognostic Equation and Risk Score

Calculation in Incident Systemic Sclerosis-Associated

Pulmonary Arterial Hypaertension

全身性強皮症に伴う肺動脈性肺高血圧症におけるREVALに基づく予測式とリスクスコアの妥当性の検討

Christopher J Mullin et al

Arthritis Rheumatol 2019 Oct;71(10)

 

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<サマリー>

大規模PAHレジストリであるREVALのデータは全身性強皮症患者に完全には合致しない

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P:Johns Hopkins大学の症例とPHAROSの症例

E:なし

C:なし

O:1年後の生存率

 

<セッティング>

Johns Hopkins大学の117例と多施設のSSc-PAH前向き観察研究のPHAROSの175例

 

<研究デザインの型:RCT、横断研究、前向きコホートなど>

     

 

<Population、およびその定義>

Johns Hopkins大学の117例

 2000年1月1日から2015年7月1日まで心臓カテーテル検査でmPAP:25mmHg以上、

 PAWP:15mmHg以下で新規に診断された例

 除外基準として閉塞性肺疾患(FEV1:60%未満かFVC:70%未満)、間質性肺炎(予測

TLC:60%未満、HRCTで線維化所見あり)、PAH治療歴がある患者

      PHAROSの175例

       2006年から2016年5月時点で登録されていた北米の多施設共同観察研究に登録された患者

       登録基準:DLCO:55%未満、FVC/DLCO:1.6以上、TRPG:35mmHg以上のうち

       PAWP:15mmHg以上、予測TLC:60%未満、HRCTで線維化所見あり

 

<主な要因、および、その定義>

なし

<Control、および、その定義>

なし

<主なアウトカム、および、その定義>

1年後の生存率

<交絡因子、および、その定義>

なし

<解析方法>

C-index

<結果>

Figure1:予測式(A)とリスクスコア(B)によって層別化を行った生存曲線

予測式によるLow:1年生存率95%以上、Average:90-95%、Moderate:85-90%、High:70-85%、Very High:70%未満

リスクスコアによるLow:1-7、Average:8、Moderate:9、High:10-11、Very High:12以上

→実際の1年生存率はHigh群で60%台となった一方で、Very High群では他の群と比べて大きな差はつかなかった。

<結果の解釈・メカニズム>

コックス比例ハザード比と較正の共に、Very High群に対しては正確性が低い可能性があった。原因としては今回の検討に登録した患者群の方が腎機能障害(eGFR60未満)の有病率が高かったこと、BNP値よりNT-pro BNP値が用いられることが多かったことが考えられる。

REVEALの結果に比較し生存率が高い可能性があり、治療薬の進化があげられる。また、SSc患者は筋骨格系の障害により6MWTの結果が低下している可能性がある。

 

<Limitation>

REVEALではBNPでのデータ収集がされていたが、Johns Hopkins大学ではNT-proBNPが優先的に異様されていた。

現在のガイドラインではPAHの定義にPVRを用いられているが、REVEALやPHAROSはガイドライン規程前に登録が完了されていたため、今回はPVRを用いなかった。PVR:3WU以上で較正すると同様のC-indexが実証された。

右心房圧や心拍数、収縮期血圧にデータ欠損があった。心拍数や収縮期血圧を使用したハザード比や較正では大きな違いはなかった。

 

<どのように臨床に活かす?どのように今後の研究に活かす?>

初期治療選択を行う際の判断材料の一つとなりうる

 

<この論文の好ましい点>

閉塞性肺疾患の除外を正確に行なっている点

<この論文にて理解できなかった点> 

較正とコックス比例ハザード比の検証結果でVery High群の正確性が低い可能性があるとは、どういう理屈なのか?

(担当:徳永)

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