シェーグレン症候群に対するianalumab皮下注射の安全性と効果:a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 2b dose-finding trial

Safety and efficacy of subcutaneous ianalumab (VAY736) in patients with primary Sjögren’s syndrome: a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 2b dose-finding trial

著者, Simon J Bowman et al.

掲載雑誌/号/ページ Lancet.2022 Jan, 399(10320): 161-171

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<サマリー>

中―高疾患活動性のSjSに対してianalumabを使用し、24週目のESSDAIを改善することができた。

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<背景>

P:中―高疾患活動性のSjS患者

I:ianalumab投与

C:プラセボ投与

O:24週時点でのESSDAI

<セッティング>

2017年6月~2018年12月の期間に、19ヵ国56施設(日本含む)

<population およびその定義 >

18-75歳のACR/EULARによる原発性SjSの分類基準を満たしており、ESSDAI 6点以上、ESSPRI 5点以上の患者

・抗SS-A抗体陽性

・刺激での唾液分泌が0.1ml/min以上

 

除外基準

・他膠原病、重症疾患、感染症、最近の悪性腫瘍の合併 

・background therapyの変更、生物学的製剤、妊娠中

 

<主なアウトカム、および、その定義>

ベースラインから24週目のESSDAI変化量

 

<研究デザインの型:RCT、横断研究、前向きコホートなど>

多施設2重盲検化RCT。第2b相試験

1:1:1:1にランダムに割り付けし、Ianalumab投与群(5,50,300mg)とプラセボそれぞれ4週ごとに投与

<解析方法>

multiple comparison procedure with modelling analysis

<結果>

190名中102名で最低一回以上のプロトコールからの逸脱を認めた(placebo 52 % vs ianalumab 59 %)。主要な理由は治療の逸脱であり、他理由としてGood Clinical Practice guidelineの逸脱があった。

【table1】患者情報

ESSDAIで10以上の症例が多かった。

【table2】

Multiple comparison procedureでの5つのモデル中4つで満たしており、用量依存性であることが分かった。

【table 3】

placeboとianalumab300mgでの比較では、補正ESSDAIはianalumabで-1.92 point減っている。

【fig3】データの変化

50mgの時点でB細胞はほぼ枯渇していた。

【table4】副作用一覧

差はなし。4人は非重症有害事象で使用中断(リンパ球減少:1人、注射部位反応:1人、感染症:2人).

Ianalumab群では鼻咽頭炎がやや多かった。他尿路感染、上気道感染、副鼻腔炎はIanalumab群でプラセボ群より少なかった。注射部位反応はあっても軽度であり、回数を追うごとに減っていった。

重症な副作用は感染症が多かった。

Ianalumab300mgでは虫垂炎+卵管・卵巣膿瘍、聴覚障害(関係ないと判断)

<結果の解釈・メカニズム>

IanalumabはBAFF受容体に対するモノクローナル抗体。抗体依存性細胞障害によるB細胞直接溶解とBAFF受容体をブロックすることによりBAFFが仲介するB細胞の成熟、新生、生存のためのシグナルを妨害する。

Ianalumabで用量依存性にESSDAIを改善する可能性が示された。

刺激唾液量は有意に改善した。涙液量も300mgで改善認めているが有意ではなかった。

患者報告の評価(ESSPRI,FACIT-F,SF-36)では有意な反応を認めなかった。

 

<Limitation>

プラセボ効果によりESSPRI, FACIT-F, SF-36といった患者報告型の評価項目が過小評価になった可能性がある。

注射部位反応が用量依存性に出るため盲検が解除される可能性があるが今回のデータは以前の単回投与試験と同様であるため結果を変える可能性は低い?

今回中―高疾患活動性の患者が対象である点

 

<この論文にて理解できなかった点> 

B細胞の枯渇は50mg時点で生じているが300mgまで用量依存性に効果が見られたこと。

(担当:林)

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