過去に治療歴がほとんどない、または全くない日本人の関節リウマチ患者に対するフィルゴチニブの有効性と安全性の検証

Efficacy and safety of filgotinib alone and in combination with methotrexate in Japanese patients with active rheumatoid arthritis and limited or no prior exposure to methotrexate: Subpopulation analyses of 24-week data of a global phase 3 study (FINCH 3)

Tatsuya Atsumia et.all  Modern Rheumatology, 32, 2022

〈サマリー〉

過去に治療歴がほとんどない、または全くない日本人の関節リウマチ患者に対するフィルゴチニブの有効性と安全性の検証。

 

〈背景〉

P:日本人の関節リウマチ患者

I:フィルゴチニブの投与

C:MTXの投与

O:24週のACR20の20%改善率

 

〈セッティング〉

FINCH3試験から抽出した中等症から重症の20歳以上の日本人の関節リウマチ患者71名

 

〈アウトカム〉

・有効性→24週目にACR20を達成した患者数の割合(ACR50%や70%を達成した患者も含まれる)

(その他の副次的項目でShort Form Health Survey36や慢性疾患治療機能評価法の疲労度スコアも含まれる)

・安全性→有害事象および臨床検査値で評価

有害事象はMedical Dictionaryを使用してコード化

臨床検査値は血液検査、身体検査、バイタルサイン(収縮期血圧、拡張期血圧、脈拍、呼吸数、体温)および12誘導心電図(ECG)を実施

 

〈研究デザインの型〉

他施設共同のランダム化二重盲検比較試験

条件を満たし、書面による同意が得られた患者を2:1:1:2の割合でフィルゴチニブ200mg+MTX、フィルゴチニブ100mg+MTX、フィルゴチニブ200mg単独、MTX単独投与群に無作為に割り付けた(MTXの最大投与量は15㎎、10㎎以下の少量PSLであれば併用可能)

 

〈解析方法〉

フィッシャー検定

MMRM(反復測定混合効果モデル)

 

〈結果〉

図1→総数1252人のうち日本人が71人おり、その方々を無作為に23名、11名、12名、25名(=フィルゴチニブ200mg+MTX、フィルゴチニブ100mg+MTX、フィルゴチニブ200mg単独、MTX単独)に割り付け

 

Table1→日本人患者の特性は、治療グループ間で類似していた

 

4名が途中で脱落

フィルゴチニブ200㎎+MTX群3名→肺炎、肝機能障害、慢性胃炎

フィルゴチニブ200㎎群1名→骨髄抑制

 

表2→投与24週目におけるACR20奏功率(主要評価項目)は、82.6%、90.9%、90.5%、80%(=フィルゴチニブ200mg+MTX、フィルゴチニブ100mg+MTX、フィルゴチニブ200mg単独、MTX単独)だった

 

図2→

a:ACR20奏効率の経時的変化

2~8週目という早い段階で、MTX単独投与と比較するとACR20達成率はフィルゴチニブを使用している群で高かった

b: DAS28-CRP <2.6達成率

フィルゴチニブを使用している群はMTX単独群より達成率は高かった

24週でフィルゴチニブ200mg+MTX群69.6%、フィルゴチニブ100mg+MTX63.6%、フィルゴチニブ200mg単独50%、MTX単独40%

 

表2→ベースラインから24週目までのSF-36 PCSスコア(short form 36 health survey=非疾患特異的HRQOL尺度=身体的、精神的健康度の尺度)

11.0、11.3、11.2、9.8(=フィルゴチニブ200mg+MTX投与、フィルゴチニブ100mg+MTX投与フィルゴチニブ 200 mg 単独、MTX単独)

ベースラインから24週目までのFACIT-Fatigueスコア(=簡易倦怠感尺度 軽症1~10重症)の推移

7.4、8.8、10.0、10.0 (=フィルゴチニブ200mg+MTX投与、フィルゴチニブ100mg+MTX投与フィルゴチニブ 200 mg 単独、MTX単独))

図3a,b→4週目、8週目、12週目においてのACR50およびACR70の奏効率

フィルゴチニブを投与された群の人たちがMTX単独群よりも相対的に達成率が高い

c→DAS28-CRPの24週目までの変化

上記と同様にフィルゴチニブを投与された群の人たちがMTX単独群よりも改善率が高い

 

図4→ACRの7つの構成要素の変化

2週目から24週目にかけてフィルゴチニブ投与群でより改善がみられた。

 

表3→日本人における24週目までの有害事象

(19例がフィルゴチニブ200㎎+MTX、10例フィルゴチニブ100㎎+MTX、10名フィルゴチニブ200㎎、19名MTXで発症)

主には嘔気、鼻咽頭炎、腹部不快感、口内炎、膀胱炎、肝・腎障害など。

重篤な副作用を発症したのは

気管支喘息既往75歳女性(フィルゴチニブ200㎎+MTX群)グレード3の肺炎を発症

50歳女性(フィルゴチニブ100mg+MTX 群)グレード2の帯状疱疹を発症

悪性腫瘍や心血管有害事象などは認めなかった。

また、L/Dでは、重篤な副作用としてフィルゴチニブ200㎎投与群でグレード4の汎血球減少が起こした1名が脱落した。

 

〈結果の解釈・メカニズム〉

日本人患者でもフィルゴチニブ投与群で有効性のエンドポイントを達成した患者の割合が高かった。

(逆にMTX単独群はフィルゴチニブ投与群に比べて奏功までに時間がかかった。)

日本人のRA患者でも有効性と安全性は全体集団の結果と一致しており、日本人においてもフィルゴチニブが有効な治療の選択肢となりうる。

 

〈limitation〉

サンプルサイズが小さいこと

52週の中間解析のため長期的な安全性有効性の結論は得られていない

 

〈今後の展望〉

今後、RA患者を対象とした市販後調査や追加の臨床試験でさらにフィルゴチニブの安全性有効性を長期的に調査する

 

〈理解できなかった点〉

併用されているPSLの影響

(担当:河森 一毅)

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