Journal Club【20121205】

「European League Against Rheumatism recommendations for monitoring patients with systemic lupus erythematosus in clinical practice and in observational studies」

M Mosca,1 C Tani,1 M Aringer,et al

Ann Rheum Dis 2010;69:1269–1274.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19892750

 

   
1. 活動性(SLEDAI), 臓器障害, QOL/VAS,   合併症, 薬剤毒性 5,D
2.年1回心血管リスク評価(ステロイド内服者はより頻回に(期間未記載))(喫煙、血管イベント、身体機能、経口避妊薬、ホルモン療法、家族歴,コレステロール値、血圧BMI)一般人口に対し非喫煙者が多いにも関わらずHT,DM,肥満のリスクが高い。ステロイドの影響か。 1b,B
3. その他の共存疾患①骨粗鬆症:カルシウムビタミンDの摂取状況、運動と喫煙 定期的な骨密度検査(特にPSLなど骨代謝に影響する場合)②癌:子宮頸のスメアを含む標準的な癌検診脊椎骨折の罹患率:7.6-37%血液腫瘍、子宮頸がん、乳がん、肺がんのリスクが高い 2b,C2b,C
4.感染症のリスクHIV、HCV、HBV、(リスク評価と薬剤導入前の検査)、結核CMV:selected   patients(ステロイドパルス、IVCY)には治療期間中、検査を繰り返すワクチン:①不活化ワクチン:SLE患者、特にIS使用者は必須(非活動期に行う)②その他のワクチンrisk/benefitを考慮し患者ごとに評価し施行感染症のリスクは毎回チェックすべき(期間記載なし)好中球<500、リンパ球<500、IgG<500CMVは経過中18-44%で検出される。ステロイドパルス、IVCY患者で高率CMV感染の表現型はSLEの活動期の病態に似ており、ステロイド大量療法中患者には必須検査 2b,C5,D
5.活動性や臓器障害がなく、合併症のない患者は6-12か月おきの予防的検査を行う 5,D
6.血液検査①免疫学的検査治療前:ANA, dsDNS抗体,SS-A/SS-B抗体,RNP抗体, Sm抗体, リン脂質抗体, C3, C4,妊娠前:抗リン脂質抗体を再検新たな神経症状、血管病変:妊娠前に抗SS-A/SS-B抗体dsDNA抗体,C3,C4は活動性の指標となる②非活動期は6~12か月おきに血算、CRP、Alb、Cr or eGFR、尿検査(尿タンパク/Cr比)活動性がなく抗ds-DNA抗体高値の患者の加療は必要ない(進展予測の検討はほぼない) 2b,C5,D
7.皮膚症状LE特異的、非特異的、類似皮疹、薬剤性皮疹(CLASIなどの指標で評価)病型が多く、様々な皮疹との鑑別は時に困難皮疹の形状の変化や治療に抵抗性であれば繰り返す生検を行う 5,D
8.腎病変①尿検査異常の持続、血清Cr上昇があれば24時間尿蛋白、尿タンパク/Cr比を測定し、尿沈渣、腎超音波、腎生検を考慮する②腎病変診断後2-3年間は尿タンパク/Cr比、尿沈渣、免疫検査(C3,C4,AdsDNA)を3か月おきに測定する③慢性腎臓病(eGFR<60,タンパク尿>0.5mg/24h)を有する患者では慢性腎臓病ガイドラインに沿ったfollowを行う血清Cr、尿沈渣、尿タンパク、血圧が腎病変の存在、予後、再発を予測する 1b,B
9. 神経病変①closeな病歴から神経病変(痙攣、感覚異常、しびれ、脱力、頭痛、うつ)などの存在を確認する②注意力、言語力、記憶力などを評価し認知機能をチェックする認知機能異常があれば更なる精査が必要 2b,D
10. 眼病変①ステロイド薬、抗マラリア薬投与前の眼科診察②抗マラリア薬内服で眼リスクが低ければ内服開始5年は検査は不要 その後は1年1回の眼科検索③眼リスクが高い患者は年1回の眼科検索リスク因子:≧60歳、斑変性、網膜障害、肥満、肝疾患、腎障害、罹病≧5年、クロロキン>6.5mg/kg/日、 2b,D

 

<Limitation(Disccusion)>

1. 検討項目が十分でなく、パネリストの見解で検討課題から外されたものや十分な同意が得られなかった項目は除外している。

2.ほとんどのrecommendationが直接的なエビデンスによらない。

3.重要な項目(たとえば血圧側的)と必須でない項目(ステロイド非内服患者の血糖測定)が混在し重みづけが出来てない。

 

担当:高橋 良

 

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「Adherence With Bisphosphonate Therapy in US Veterans With Rheumatoid Arthritis」

J. STEUART RICHARDS, et.al

Arthritis Care & Research 2012;64:1864–1870

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22740421

<背景>

ビスフォスフォネート製剤(Bis)にて内服コンプライアンスと骨折の関連性が言われている。だいたいの報国が閉経後女性を対象としたものである。今回はRA患者を対象としたBisのコンプライアンスについての検討を行った。

 

<対象方法>

退役軍人のRA患者にてbisの内服コンプライアンスをみたコホート研究。Bisの継続内服期間とMPR(処方された内、どれくらい服薬されたかを示す指標であるという指標)を用いて評価された。MPR<0.8をコンプライアンス不良とし、性別、年齢、人種、教育、DAS−28、MDHAQ、RA罹病期間、PSL使用の有無、、Bis使用期間、DEXA施行の有無にて関連性を検討した。

観察終了は、Bisが90日以上処方されていない、もしくは中止とされた時点とした。

 

<結果>

1372人の対象のうち、573人でBisを内服していた。そのうち男性が約10%であった。内服期間は36.2±31.4か月。32か月以上の内服継続していた群では、①70歳以上②高卒以上③DEXA施行あり、が有意差を持って多かった。

また、MPRは0.69±0.258であり、ほぼ半分の例がMPR<0.8であった。MPR<0.8群では、①非白人②高卒以下③長期のRA罹病期間④32か月以上のBis内服歴あり、が有意差を持って多かった。Bisが90日以上処方がされていない群を除外した検討では、MPRは0.90±0.13であった

 

<discussion>

この検討では、女性が男性と比べコンプライアンスが悪い傾向、また一般RAの男女比と大きく異なり男性が90%を占めており性差に関してはに限定的な結果と考えたほうがよい。また他の報告では見られない非白人にてコンプライアンスが不良であったことについては、白人が多く対象に含まれていることも影響していると考えれた。

骨粗鬆症は、症状もなく患者さんに骨折のリスクや治療の重要性を理解していただくのは困難であるかもしれない。また、使用方法や副作用もBisのコンプライアンスに影響しているかもしれない。

 

<limitation>

①   対象者で男性がかなり多く、これを全てのRAの患者としてとらえて良いか

②   MPR法が直接薬数を数える方法ではなく過大評価している可能性もある

③   2つの医療機関で診療を受けており、把握していない処方が存在しうる

④   骨折のデータとのリンクがないため、RAにてBisのアドヒアランスが悪い事が骨折に関連しているとは言えない

⑤   副作用を抽出していないため、アドヒアランスが悪い事が副作用によるものの可能性についての検討がなされていない

 

担当:矢嶋宣幸

 

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「Ovarian reserve diminished by oral cyclophosphamide therapy for granulomatosis with polyangiitis (Wegener’s)」

  1. Megan E. B. Clowse, et al
  2. Arthritis Care Res. 2011;63:1777-81
  3. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22127969

     

<対象>

   GPAに対するETN治療にエントリーした患者より血清を抜き出してリスト。42人を対象とし、24人はCYC治療歴あり。

<方法>

  CYCは2mg/kg/day。ただし、メドロキシプロゲステロンやGnRHアナログ治療を受けている。AMHを測定した。

<結果>

  CYC治療を受けるとAMHは低下し、FSHは上昇する。CYC治療前後でAMHは低下する。投与量が多いとAMHは低下する。

<考察>

  健常人の平均閉経年齢は51歳、CYC治療者は41歳(10歳早く閉経する)。

<限界>

  卵巣保護のため、経口避妊薬やGnRHアナログを使用している。FSHは月経周期で変動するが、考慮されていない。

 

担当:三輪 裕介

 

 

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