Journal Club【20130313】Bio使用は悪性腫瘍riskになるか? JAMAのmeta-analysisから

 

 

「Risk of Malignancies in Patients With RA Treated With Biologic Therapy. A Meta-analysis」

Marin A. Lopez-Olivo. et al

The University of Texas MD Anderson Cancer Center, Houston

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22948700

 

 

Bio使用は悪性腫瘍riskになるか? JAMAのmeta-analysisから

 

<対象>

・RAにて生物学的製剤を使用した63のRCTsから集積した29423例

・Bioとしてinfliximab, abatacept, adalimumab, anakinra, certolizumab, etanercept, golimumab, rituximab, tocilizumabが含まれる。それぞれの使用量はRCTにより異なる。

 

 

<方法>

・コントロールをRA患者さんへplacebo投与もしくは一般的なDMARDs投与群とし悪性腫瘍の発症率を比較検討した。

 

 

<結果>

・Bio投与とMTXなどのDMARDs併用は15989例、Bio投与のみは3615例、コントロールは9819例。

・サンプルサイズは、20-1399例。

・観察期間は24w-156w。

・女性76%であり、白人79%。

・罹病期間は0.35-13年間。

・56試験にて薬剤企業がスポンサーになっていた。

・29423例中、211例で悪性腫瘍の発症が見られた

・Bio投与のみの3615例中23例、Bio+DMARDsの15989例中65例、コントロールの9819例中65例にて悪性腫瘍の発生が認められた。

・211例中、118例で固形癌(副腎、膀胱、乳房など)、48例で皮膚癌、14例で悪性リンパ腫、5例でリンパ腫以外の血液癌、26例は原発不明癌であった

・コントロール群と比較し、唯一リスク上昇が見られたのがTNFi+MTXの併用群で52週目での検討のみであった(24・104・156週目での検討では上昇なし)。 しかし、TNFi単独ではどの時点でもリスク上昇は見られなかった。

・anakinra+MTX群にてMTX群と比して、24週間の観察では有意に悪性腫瘍リスクが低下した(Peto OR 0.11)。

・癌の種類別の検討では、非メラノーマ皮膚癌でanakinraにて発症リスクが有意に低下した以外は、発症リスクの差は見られかった

 

 

<Discussion>

・最近のmeta-analysisでは、短期間でのriskは上がらないとの報告がある。また、メラノーマおよび非メラノーマ、悪性リンパ腫の発症リスクが軽度上昇するとの観察研究報告や、上がらないとする報告などが混在している。これらの相違はコントロール群の設定が異なることよ、癌の既往歴や家族歴が薬剤選択に影響していることなどが挙げられる。

・また年齢やMTX使用歴、ステロイド使用歴、COPDなどが癌発症に関連しているとの報告もある

・limitationとしては、それぞれのRCTでのバイアスを十分に検討できていない可能性があること、フランス語やスペイン語での報告の翻訳が適切でなかった可能性があること、データの抽出が盲目的でないこと、製薬企業のスポンサーを受けているstudyがほとんどあること、RCTからのデータを一般のBio使用者としてとらえてよい訳ではないことが挙げられた。

 

担当:矢嶋宣幸

 

 

**********************************************

昭和大学リウマチ膠原病内科では、毎週水曜日にJournal Clubを通じ新しい知見を得る機会を設けています。

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

私たちと一緒に学びませんか?

プログラム・募集要項はこちら


昭和大学病院
〒142-8666 東京都品川区旗の台1-5-8
アクセスマップ
電話:03-3784-8000(代表)

[初 診]月曜~土曜 8:00~11:00
[再 診]月曜~土曜 8:00~11:00(予約のない方)
[休診日] 日曜日、祝日、創立記念日(11月15日)、年末年始