「The characterisation and determinants of quality of life in ANCA associated vasculitis」
Basu N, et al.
Ann Rheum Dis 2013 Jan 25.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23355077
<目的>
・ANCA関連血管炎のQOLの特徴を調べる。
<方法>
・UKの 11施設共同AAVケースコントロール研究。
・対照は一般大衆群と慢性疾患群との3群。
・身体的と心理的QOLをbio-psychosocial(生物・心理・社会的)な立場で調べた。
・16歳以上のGPA、MPA、EGPAなどが含まれる。
・一般対照コントロール群はcommercial online sampling frameというネットのサイトから使用した。2729人からマッチさせた470人を使用。
・慢性疾患群は性別、年齢(±5歳以内)をマッチさせた炎症性関節炎、CKDの患者。564人からマッチさせた318人を使用。
・質問はSF-36を使用。MCSとPCSに分けた。他、社会背景因子として性、喫煙歴、雇用形態、抑うつ状態と不安感の調査として、HADS、睡眠の質は、睡眠問題質問紙を使用、疼痛はここ1か月に1日以上疼痛があったか、倦怠感はCFSを使用、コーピングは14領域の慢性疾患によるものを使用。
・臨床的評価はBVAS, Vasculitis Damage Index, Charlson Index、ANCA、eGFR, CRPを使用。
<結果>
・症例は410人(GPA:265人、MPA:95人、EGPA:44人など)。
・慢性疾患群ではphysical QOL: OR 0.7, 95% CI 0.4 to 1.1; mental QOL:OR 1.1, 95% CI 0.8 to 1.6、対照群ではphysical QOL: OR 7.0, 95% CI 4.4 to 11.1; mental QOL OR 2.5, 95% CI 1.7 to 3.6であった。
・AAV患者では、PCSとの関連では、倦怠感、睡眠障害、疼痛、PSL5㎎以上の既往であった。またMCSとの関連では、倦怠感、自己注意散漫、低アルブミン血症などが高リスクであった。
<discussion>
・これまでAAVの大規模QOL研究はなく、とくに臨床と生物・心理・社会的関係を明らかにした研究はない。
・特にPCSもMCSも倦怠感との関連が大きいことが明らかになった。
・問題点としては、①交絡因子が多数ある。②横断研究である。治療効果などとの関連は見ていない。③1/4のデーターが統計処理過程のステップワイズ法にて解析されていない。
<結論>
・AAV患者は一般大衆と比較してQOLが悪いが、他の慢性疾患とは大差ない。
・臨床的疾患活動性とbio-psychosocialとは密接に関連している。
担当:三輪裕介
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