「Anti-signal recognition particle autoantibodies: marker of a necrotising myopathy」
G J D Hengstman. et al
Department of Neurology, Neuromuscular Centre,Nijmegen University, Medical Centre Nijmegen, Nijmegen, Netherlands
Ann Rheum Dis 2006;65:1635–1638
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16679430
抗SRP抗体陽性の筋炎の臨床的特徴とは?
<対象・方法>
・欧州の数ケ国から筋炎症例417例分の血清を集め、抗SRP抗体を計測し陽性は27例であった。
・そのうち、症例の臨床情報、臨床データ、治療反応性などの情報を集積しえた23例を今回の対象とした。
・コントロールとしては、以前別のpaperにて報告した際の抗SRP抗体陰性120例を使用した。
・臨床症状、合併症、臨床データ、筋病理所見、治療反応性などを抗SRP抗体陽性群、陰性群で検討した
・後ろ向きでの検討
<結果>
・22/23例で著名な対称性の近位筋有意の筋脱力を認めた。
・すべての例が急速進行性であり約6ケ月程度で悪化が見られた。
・自施設の8例のうち、1例が寝たきり、2例が立位不可、3例がかろうじて歩行可能、1例が数100m歩行ができる程度であった。
・心筋炎や心外膜炎は1例も見られず、IPは21%で認められた。
・治療は21/23例でステロイドと免疫抑制剤の併用をしていた。
・脱力は残存することが多いが、治療への反応はかなり良い。
・再燃は70%で見られた。
・筋萎縮が70%、嚥下障害が69%に認め、有意にコントロール群より多かった(p<0.05)。
・CK値平均が6872 U/L(対照群は1535 U/L)と有意にコントロール群より高値であった(p<0.05)。
・3例は皮膚筋炎の皮疹を認め、皮膚筋炎と診断した。
・生検の所見としては、典型的な炎症性筋炎像ではなく、壊死した筋繊維の存在および炎症細胞浸潤はみられないことが多かった
<Discussion>
・筋生検にて壊死性筋症の組織像を示す。壊死性変化はしばしば傍腫瘍症候群として見られたり、心筋障害をきたす薬剤にて見られる。membrane attack complexが傍腫瘍症候群の筋障害にて免疫染色で染色されるとの報告があり、当検討でも4例で陽性であった。
・limitationとしては、欠損値が多い、筋外症状がルーチンに行われていない、筋生検が2/3でのみしか行われてない、治療反応の定義がない、ことが挙げられた。
担当 矢嶋宣幸
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