「Cardiac involvement in Churg-Strauss syndrome: impact of endomyocarditis.」
Medicine (Baltimore). 2009 Jul;88(4):236-43
Neumann T, Manger B, Schmid M, Kroegel C, Hansch A, Kaiser WA, Reinhardt D, Wolf G, Hein G, Mall G, Schett G, Zwerina J.
Department of Internal Medicine, University of Jena, Jena, Germany.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19593229
【背景・目的】CSSにおける心病変は生命予後を規定する主要因である(CSSの死亡の約50%は心病変が原因で診断後はじめの数ヶ月で起こる)。本研究ではCSS患者における最新の心臓障害の有病率と臨床的影響を後ろ向きに多角的断面解析を行い調査した。心電図、心エコー、心臓MRIと心筋生検を含む心臓の検査を施行した。
【方法】1982-2008年の期間を後ろ向きにカルテベースで検討。ACR/Chapel Hillの診断基準を満たす、49人のCSS患者が登録され、診断時の患者背景、各種検査、病理組織学的検査の結果が登録された。急性心不全の臨床的兆候、心筋逸脱酵素の上昇、心エコー、心臓MRIでの異常所見をみとめた症例はCSSの心病変ありとした。心病変精査のため全ての患者は診断時にCKの測定とECGが施行され、CK上昇があればトロポニンIが測定された。心機能障害が疑われた症例は全例心エコーを施行した。再燃は免疫抑制剤の増量とステロイド加療に免疫抑制剤を再導入が必要とされることにより定義した。
【結果】49人のCSS患者を解析し、22人患者(45%)において心病変を認めた。心臓Gd造影MRIは12人の患者で施行された、心筋生検は11人で施行された。心病変の無いCSS患者において、ANCA陰性(p<0.001)で、好酸球増多(9947 vs. 3657/μL p<0.001)は有意に多かった。これら心病変を有する患者において左室機能低下(50%)、中等度から高度の弁閉鎖不全(73%)、心嚢液貯留(41%)が全体としてよくみられた。心臓MRI検査、心臓内血栓形成、心内膜心筋生検で証明された心内膜心筋炎(endomyocarditis)は13人(53%)に認められ、心機能障害と関係していた。平均47ヶ月の観察をした結果、ほとんどの患者は良好な心機能を回復もしくは維持した。全ての患者は当初高用量ステロイドで加療されたが、42人(85.7%)は免疫抑制剤(22:CYC、13:AZP、6: MTX、4: MMF、14: IFNα、2: RTX、2血漿交換)を併用した。免疫抑制剤はFFS0の患者(17/22Pt)よりFFS≧1の患者(25/27pt)で多く使用されていた。心内膜心筋炎を有する患者の予後はより厳しく、2人は重症心筋症と心不全のため死亡(診断後61ヶ月、99ヶ月で死亡)した。FFSについては、FFS0の患者22人(44.9%)は予後良好でFFS≧1の27人(55.1%)は予後不良であった。重症の再燃は11人(22%)に認められたがFFSで評価されるCSSの診断時の活動性とは関係がなかった。心嚢液貯留のみで左室機能低下がなかった患者の予後は良好で心機能も維持された。
【考察】CSSにおいて心病変は一般的な臓器障害であり、ANCA陰性と著明な好酸球増多と関係する。心病変は心外膜、心筋、心内膜組織に影響を与え、左室機能障害を引き起こす。心内膜心筋炎は最終的に致死的結果をもたらす最も重症な兆候を意味するかもしれない。心エコーやMRIを含む心臓の臨床的評価は心機能と心内膜心筋の異常を的確に確認できる検査である。特に遅延造影心臓MRIはエコーでは描出できない、活動性のある心内膜心筋炎と心内膜心筋線維症(心尖部と心室中央における冠動脈支配領域に一致しない造影剤の停滞)の存在を示すのに有用である。3人の心内血栓を認めたことは好酸球増多症と関係する古典的なLoffler心内膜炎と似ている所見であった。心内膜心筋炎を有するCSS患者への早期からの積極的な加療が望まれる。
担当:若林 邦伸
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