Ann Rheum Dis 2016;0:1–7. doi:10.1136/annrheumdis-2015-208426
Comparison of adding tocilizumab to methotrexate with switching to tocilizumab in patients with rheumatoid arthritis with inadequate response to methotrexate: 52-week results from a prospective, randomized, controlled study (SURPRISE study)
Kaneko Y, et al.
RA患者にトシリズマブを使用する際にはMTXを継続すべきか。
背景と目的
MTXにて効果不十分なRA患者にトシリズマブを使用する際には、MTXからswitchするのがよいのか、add onがよいのかを調べる
方法
・デザイン :RCT
・対象患者 :RA(233人)
・RA診断基準 :1987 ACR
・組入れ基準 :RAで中等度〰高疾患活動性、20-75歳
・primary endpoint :24週でのDAS28寛解
・secondary endpoint :他の臨床指標(X線含む)、安全性
・内服基準 :MTX≧6mg/w
・除外基準 :PSL>10mg
・振り分け :ランダム2群(add on vs. switch)
・対象施設 :多施設共同(11施設)
・評価項目 :DAS28, mTSS
・実施期間 :2年間(2009.11-2012.3)
・観察期間 :52週
・統計解析 :χ2、student’ t test
・倫理規定 :各施設による。NCT:01120366, UMIN:000002744に登録
結果
・83%の患者は52週まで継続できた
・24週 DAS28寛解率 70%(add on), 55%(switch), p=0.02
52週 DAS28寛解率 72%(add on), 70%(switch), p=0.86
・52週 mTSS≦0.5 66%(add on), 64%(switch), p=0.92
・CRRP(ΔmTSS≧3)15%(add on), 7%(switch), p=0.07
(CRRP: clinical relevant radiographic progression:臨床に関連するX線の進行)
・CRP 0週と24週、0週と52週では差がある。24週と52週では差がない
・安全性 ほぼ同等
議論
・これまで、MTXで効果不十分なRAに対するTCZ治療は、add onかswitchで議論あり。
ACT-RAY studyでは、1年間では両者に差はない。(1年でしか評価していない)
CHARISMA studyでは、add onのほうがDAS28寛解率で評価した場合に有効性が高い。
・Limitation ①二重盲検ではない。②adverse eventを評価できる症例数ではない。③MTX使用量が欧米諸国と比較して少ない。
結論
・MTX効果不十分例に対するTCZ add onは、switchと比較して、早期に炎症を改善させ、関節破壊の進行を抑制する。
・しかし、52週になると臨床的有効性の差は乏しくなる。
担当: 三輪 祐介
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