Journal Club【20170607】腸管ベーチェットに対するアダリムマブの効果

『Adalimumab for the treatment of Japanese patients with intestinal Behçet’s disease.』

 

Satoshi Tanida

Nagoya City University Graduate School of Medical Sciences, Aichi, Japan

 

Clinical Gastroenterology and Hepatology

Volume 13, Issue 5, May 2015, Pages 940–948.e3

 

P:難治性腸管ベーチェット病患者

E:アダリムマブを投与する

C:(-)

O:腸管病変が改善する

 

1. セッティング:どのような場所で研究したか?

日本の12施設

2010年11月~2012年10月に患者を登録

 

2. 研究デザインの型:RCT、横断研究、前向きコホートなど

多施設、オープンラベル、非対照試験

 

3. Population、およびその定義

Inclusion criteria:

従来の治療で再発した、活動性の高い腸管ベーチェットの患者

15歳以上、回盲部潰瘍1cm以上、GI symptom score 3以上

12か月以内に再燃(ステロイド減量中に)

IFX投与され効果不十分だった患者

Exclusion criteria:

クローン病、結核、以前のADA治療、回盲部切除

潜在性結核患者は21日以上の予防投与

悪性腫瘍(既往も含める)

 

4. 主な要因、および、その定義

ADA:0週 160mg, 2週 80mg, 以後2週 おきに 40mg, 50週まで投与

8週までは医療者が投与。8週以降は希望があれば自己注射。

ステロイド、コルヒチンなどの治療は、24週まで維持され、24週以降は、減量、投与量変更が認められた。

8週以降で増悪した場合は、40mgから80mgへの増量が認められた。

 

5. Control、および、その定義

6. 主なアウトカム、および、その定義

内視鏡評価スコア、global GI symptom(症状評価質問票:下痢、腹痛、不快感、鼓腸)の複合指標において、スコアが1以下のものをmarked improvement(MI)とした。

24週時点でのMIの割合

 

7. 交絡因子、および、その定義

 

8. 解析

離散変数は95%信頼区間でカウントされた。

連続変数は記述統計により要約された。

欠損データはnonresponder imputation(NRI)、LOCF(最後に観測された値で補完)

 

9. 結果(箇条書きで、大事なところのみ)

20人の患者が登録された。

17人が試験を完了し、2人が有害事象により中止、1人が個人的な理由で中止した。

24週の時点で

MIを達成したのは、9/20(45%)。(figure 2)

GI symptom score 1以下は、13/20(65%)。(figure 3A)

内視鏡score 1以下は、12/20(60%)。(figure 3B)

腸管以外の病変についても改善が見られた。(figure 3F)

40mgから80mgに増量した症例は6人。

QOLについて、IBDQ(>16)、SF36(>3)の改善を認めた。

ADAと関連がありそうな有害事象は52週の時点で25%

増量した6人中4人が感染症を患った。

有害事象により試験中止となった患者は、回盲部閉塞を来した症例とベーチェット病悪化した症例の2名

 

10. どのように臨床に活かす?どのように今後の研究に活かす?(箇条書きにて記載。論文中の記載から抜粋、および、自分考えたものを記載)

難治性腸管ベーチェットに対して、ADAを使用する勧告を支持するものとなる。

 

11. Limitation(箇条書きで)

症例数が少ない。

プラセボ対照がない。

未承認の疾患活動性指数の使用

エンドポイントの検証の欠如。

 

12. 自分で考えた交絡因子

 

13. この論文の弱点(自分で考えたものを記載)

52週以降の再燃は不明

どこまで従来の薬を減らせているかが不明

 

14. 理解できなかった点

45%の改善でなぜ、研究が成功したといえるのか。

 

 

15. 好ましい点

腸管ベーチェットに対する治療のコンセンサスはあまりない。

腸管ベーチェットに対する、ADA投与を支持する研究となった。

 

 

担当:猪狩 雄蔵

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