『Randomised controlled trial of prolonged treatment in the remission phase of ANCA-associated vasculitis.』
Karras A1,2, Pagnoux C3, Haubitz M4, Groot K5, Puechal X6, Tervaert JWC7, Segelmark M8, Guillevin L2,6, Jayne D9; European Vasculitis Society.
Ann Rheum Dis. 2017 May 25. pii: annrheumdis-2017-211123
P:寛解後のANCA関連血管炎
E:寛解後のPSL+AZPによる維持療法
C:寛解後、PSL+AZP中止した患者
O:血管炎の再燃
- セッティング:European Vasculitis Society (EUVAS)ヨーロッパ11カ国、33施設
- 研究デザイン :RCT
- 対象およびその定義
(1) MPA, GPA, renal-limited vasculitis;
(2) Renal involvement and/or other threatened loss of function of a vital organ (lung, brain, eye, motor nerve or gut) and ANCA positivity, and ANCA-negative patients were eligible for enrolment in the study only when there was histological confirmation of pauci-immune vasculitis;
(3) Remission-induction therapy with cyclophosphamide and prednisolone for at least 3 months, with or without plasma exchanges;
(4) Stable remission on azathioprine/prednisolone. They were recruited and randomised 18–24 months from commencement of therapy.
- 要因、治療プロトコール
Table 1参照
- 再燃の定義: BVAS24項目のうち、少なくとも1項目の再加点もしくは新規加点
- Primary endpoint:
Percentage of patients presenting a relapse of vasculitis, including major and minor relapses, during the study period.
Secondary endpoint:
Incidence of major and minor relapses, mortality, adverse events of therapy, rise in cumulative damage score (VDI), deterioration of eGFR, incidence of ESRD and ANCA status during follow-up
解析
- 再燃時の治療の影響、再発率: Kaplan-Meier analysis
- Adverde eventの発症率: f two-by-two tables and Fisher’s exact test.
- eGFR, VDIの値の評価: Wilcoxon rank-sum test.
. 結果(箇条書きで、大事なところのみ) ※W-group:薬剤中止群、C-group:免疫抑制剤継続群
- 最終的な対象患者数:110名 (Fig1)
- GPA: 47%, MPA: 53% (table 2)
- PR3-ANCA positive: 52%, MPO-ANCA positive: 44%, negative:4% (table 2)
- 再燃率:W-group: 62.7 , C-group: 22% RR:2.84 (Fig 2a)
- W-groupによる再燃の78%はAZP中止後に発症 同時期のC-groupでは8% (Fig 2a)
- 0ヶ月→6ヶ月時点でのANCA陽性率:W-group;56%→72%, C-group;51%→52% (p=0.04)
- 再発のRISC因子:多変量解析で免疫抑制剤の投与、割り付け時のANCA陽性率がそれぞれ単独RISC因子 (Fig 2c)
- PR3 vs MPO, GPA vs MPA, 年齢, 割り付け時の腎機能はいずれもRISC因子ではなかった
- どのように臨床に活かす?どのように今後の研究に活かす?
寛解導入後の維持療法プランの決定に向け、ANCAの測定を基準にできないか検討
今後の課題として、寛解導入療法の適正についても再度目を向ける必要がある。
- Limitation
- Open labelでプラセボがない
- RTXの普及前の研究であるため、RTXによる寛解維持療法を考慮していない
- AZPに認容性のない患者を除外している
- 重症患者、18ヶ月以内に再発した患者が除外されている
- 初期の臓器障害評価、Cy量などの詳細が不明
- 初期のPSL量、総量の詳細が不明
- この論文の弱点(自分で考えたものを記載)
- 臨床の場では初期の臓器病変、それぞれの重症度や寛解導入における治療反応性=臓器障害の改善の早さやANCAの低下の早さも長期の再燃リスクを軽減する印象もある
- 末梢神経障害や上気道の肉芽腫形成など、寛解後も器質的機能的な変化が残りうる障害はBVASの点数をあげてしまうため純粋な活動性の評価としては難しい一面もある
- 当施設と比較し、再燃率が高い、寛解後のANCA陽性率が高値な印象。寛解導入療法が長期的な維持療法の必要性や再燃率へ寄与するか否かについて検討が必要。
- 同時に、初期治療の反応性をBVAS以外の手法で数値化し、初期反応性の有無が長期的な再燃に関与するか否かの検討も必要
- おそらく本邦で多い、[AZP+PSLいずれも少量で継続する群]の再燃率、副作用の評価がない
【コメント】
l random前の状態がどのような治療をされていたのかが不明である。エンドキサンを多く使用していたら再燃はしづらい。また、元々の臓器障害部位も再燃に影響する。この2点が調整できていないため、結果は大きな影響を受けていると考えられ、この研究の最大のweak pointである。Random割付は国ごとにブロック割付してあるが、上記弱点を考えると、障害臓器か治療の強度を調整した動的割付などにてランダム化し、背景を揃えるべきであったと考える。
担当:髙橋 良