ADAM15 adds to apoptosis resistance of synovial fibroblasts by modulating focal adhesion kinase signaling.
Böhm BB, Freund I, Krause K, Kinne RW, Burkhardt H. (Germany)
Arthritis Rheum. 2013 Nov;65(11):2826-34
【目的】
RAの滑膜線維芽細胞(RASFs)におけるADAM15のアポトーシスを抑制する作用を調べること。
【方法・結果】
Figure 1
A:siRNAでADAM15のノックダウンをimmunoblotting法で確認
(Ⅰ:ADAM15 siRNA 48h、Ⅱ:ADAM15 siRNA 72h、N:control siRNA、0:control)
B:camptothecin、FasL、TNFαでそれぞれ刺激→ADAM15-siRNAでそれぞれCaspase3/7が上昇した
C:annexin Vを用いて総アポトーシス率を調べた→ADAM15-siRNAで上昇した
(annexin Ⅴ:細胞がアポトーシスすると細胞内のホスファチジルセリンが細胞表面に露出するが、annexinⅤはこれと結合するので、それを測定することによりアポトーシス率が調べられる)
Figure 2
A:RASFsがFAKとSrcを活性化させるかどうかを調べるために、細胞をcamptothecinまたはFasLで0-60分刺激し、FAKとSrcの抗体を用いてimmunoblotting法で確認した
→刺激時間に比例し、FAKとSrcを確認できた
B:FasLで引き起こされたFAKとSrc のリン酸化のADAM15の影響を調べるために、ADAM15 siRNAを用いて、FAKとSrcをimmunoblotting法で確認した
→ADAM15 siRNAでFAK、Srcはそれぞれ活性が低下した
Figure 3
A:FasLの刺激によって引き起こされたSrcとFAKのシグナルがRASFsにおける細胞死に影響があるかについて調べるために、Src阻害薬であるPP2とdasatinibが24時間刺激され、Caspase3/7が測定された
→Caspase3/7はPP2、dasatinib投与群共に上昇した
B:FAK阻害薬であるFAK-14を投与したところ、ドナー1では2µM、ドナー2では2-5µMでCaspase3/7の上昇を認めた
C:dasatinib、FAK-14、PP2のFAKとSrcのリン酸化への影響を調べるためにimmunoblottingが行われた
→dasatinibの30-1000nMでは完全に抑制できた
FAK-14では一部できなかった
PP2では完全に抑制できた
Figure 4
FAKシグナルの阻害によるapoptosis inductionのADAM15の影響を調べるために、dasatinib、FAK-14、PP2がRASFsに投与され、Caspase3/7が測定された
→FasL、PP2、dasatinibいずれでもADAM15 siRNAの方がCaspase3/7の活性は高かった
Figure 5
ADAM15のNF-κB経路での役割をリン酸化PI3Kとリン酸化IκBαに対する特異抗体を用いてimmunoblotting法で(A)、またNF-κBの活性をELISA法で調べた(B)
A:FasLで刺激するとIκBαのリン酸化が認められた
B:FasLで刺激するとNF-κBの活性が上昇した
C:FasLで刺激後、ADAM15をsiRNAを用いてノックダウンするとcontrolに比較し活性は下がった
D:FasLで刺激後、NF-κBをELISAで測定した→control siRNAに比較し低下した
【まとめ】
★RASFsにおいて、ADAM15はFAK/Srcシグナルにおいて重要や役割を果たし、アポトーシスを抑制して
いる
・重要なポイントはどこか?
・ユニークなポイントはどこか?
FAK/SrcシグナルにADAM15が関与している可能性があること
・今後の研究展開や論文に対する検討課題
FAK/Srcシグナル経路は治療対象となるかもしれない
・自分なりの疑問点
ADAM15はRAにおいて血管新生という点からは抑制した方がよさそうだが、アポトーシスという点からは抑制しない方がよいのか。
担当:西見慎一郎