RA患者さんにて生物学的製剤にて悪性腫瘍は増加するのか?【Journal Club 20171011】

Malignant Neoplasms in Patients With Rheumatoid Arthritis Treated With Tumor Necrosis Factor Inhibitors, Tocilizumab, Abatacept, or Rituximab in Clinical PracticeA Nationwide Cohort Study From Sweden

HjalmarWadström, MD; Thomas Frisell, PhD; Johan Askling, MD, PhD; for the Anti-Rheumatic Therapy in Sweden (ARTIS) Study Group

Clinical Epidemiology Unit, Department of Medicine Solna, Karolinska Institutet, 171 76 Stockholm, Sweden

2017 Sep 18. doi: 10.1001/jamainternmed.2017.4332

 

P:RA 

Etocilizumab, abatacept, rituximab, TNFi 一般健常人

C:csDMARDS

O:悪性腫瘍の発症

 

1.背景

TNFの悪性腫瘍の検討は、1stbioでの検討が多く、また10年前での検討であり、updateが必要と考える

nonTNFでの検討は多くない。

 

2.セッティング

2006年から2015年のスウェーデンの the public health care systemを使用

以下のレジストリーを突合

the Swedish rheumatology quality of care register(SRQ)

Anti-Rheumatic Therapy in Sweden

the nationwide Swedish Patient Register

the Swedish Cancer Register

the Prescribed Drug Register

the Causes of Death Register

 

 

3.研究デザインの型

a national register–based prospective cohort study

followup:bMARDs中止後90日間、2015/12/31、死亡、Sweden以外に移住、臓器移植。

 

4.Population、およびその定義

2006-2015年にRAと診断された2回以上外来受診した。そのうちの1回は、リウマチ専門医か、内科受診であることが条件。

2回目の受診日がinclusion日

JIA、SLE、PsA、SPA患者は除外

 

5.主な要因、および、その定義

①tocilizumab, abatacept, rituximab:以前のbDMARDsの投与の有無にかかわらずnon-

TNFiを投与された人

②TNFi・・・1stor 2nd TNFiを開始した人

③一般人(bDMARDs群と年齢、性別、居住地をマッチ、1:5にて抽出)

 

 

6.Control、および、その定義

csDMARDs:bDMARDsを開始したか、元々投与されている人で少なく1つcsDMARDsが投与され

ている人。csDMARDsはLEF、AZP,MTX,CyA、HCQ、SASP、gold

 

7.主なアウトカム、および、その定義

①浸潤固形癌or血液腫瘍(メラノーマ以外の皮膚がんは除く)

②浸潤固形癌(メラノーマ以外の皮膚がんは除く)

③浸潤血液腫瘍

④浸潤皮膚扁平上皮癌

  1. 浸潤悪性黒色腫

 

8.交絡因子、および、その定義

すべてHR:年齢、性別、登録年

bDMARDS vs csDMARDs:上記+教育、合併症、入院回数、入院日数、登録時のPSL・登録時

のNSAIDs

bDMARDS vs bDMARDs:前回のbDMARDs、RF,DAS28、HAQ、ESR、CRP、RA罹病期間

csDMARDsと一般人:年齢、性別、登録年、居住地域

 

9.解析

多変量解析:COX比例ハザード解析

欠測対処:記載なし

 

10.結果

  • 1st TNFi or 2nd TNFiは、15129人、non-TNFiは6358人、obDMARDs, csDMARDは46610人。
  • 平均年齢は 58 から64歳、女性は71%から80%。(table1)
  • 悪性腫瘍の発生率は、10万人年で以下の通り。HRはcsDMARDsをrefとして計算。(table2)2nd TNFiでは917人(adjusted HR 0.89,95%CI 0.76-1.04)abataceptでは1026人(adjusted HR 0.88,95%CI 0.68-1.14)一般人では953人(adjusted HR 0.90,95%CI 0.82-0.99)
  • rituximabでは1074人(adjusted HR 0.86,95%CI 0.73-1.03)
  • tocilizumabでは959人(adjusted HR 0.89,95%CI 0.67-1.18)
  • 1st TNFiは978人(adjusted HR 0.93,95%CI 0.85-1.01)
  • 浸潤固形癌(メラノーマ以外の皮膚がんは除く)、浸潤血液腫瘍、浸潤皮膚扁平上皮癌、浸潤悪性黒色腫に分けての検討でも、1つの検討を除き有意差はなし
  • 差があったのは、abataceptでの皮膚扁平上皮癌が10万人年で266人(adjusted HR 2.15,95%CI 1.31-3.52)。
  • 治療を開始してからの年数で層別解析にて、2年以内の1st TNFiでは悪性腫瘍の発生率はadjusted HR 0.83, 95%CI 0.71-0.99と低下。(table3)
  • TNFi-とnon-TNFiでの検討では、abataceptでの皮膚扁平上皮癌にて上昇がみられた。

 

 

11.Limitation

  • non-TNFiが比較的最近の販売開始のため、follow期間が短いこと。
  • 背景の癌発生のリスクを調整しているものの、調整しきれていない可能性があること
  • non-TNFiの80%が以前にTNFiの投与を受けており、両剤のそれぞれの影響を分けることは困難であること

12.どのように臨床に活かす?

  • 3-5年間程度のfollowでの各bDMARDsでの検討であり短期間での検討結果として考える
  • abataceptでの皮膚扁平上皮癌については、RA全体での皮膚がんの頻度が高いことも併せて考えると、注意しながら使用すべきと思われた。

13.自分で考えた交絡因子

  • 家族歴、喫煙歴、シェーグレン症候群

14.この論文の弱点

  • やはりレジストリ研究であり情報の精度がどこまでかが不明
  • 多重解析の論理にて、ABTと皮膚扁平上皮癌との関連性を否定したが、TNFiとnonTNFiでの検討でも差が見られており、偶然として対処してよいのかが疑問。

 

15.好ましい点

      • 有意差がつかなかったことで結果は何も言えないが、95%CIの上限値が、臨床上大きな影響をきたさない程度のものであると議論している点

 

担当:矢嶋宣幸

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