間質性肺炎を合併したRAに対するアバタセプトの有効性【Journal Club 20180207】

Possible effect of abatacept on the progression of interstitial lung disease in rheumatoid arthritis patients

Tamao Nakashita, M.D.et al.
Department of Rheumatology, Kameda Medical Center, Japan

2016 Sep;54(5):376-9.

P:ILD合併のRA患者
E:アバタセプト使用
C:TNF製剤使用
O:有効性と安全性

1.セッティング:
亀田総合病院アレルギーリウマチ科(単施設)

2.研究デザインの型:
後ろ向きコホート+観察研究

3.Population、およびその定義
亀田総合病院アレルギーリウマチ科通院中のILDを合併RA患者で
アバタセプトを使用した16人
RAの診断。臨床症状によるリウマチ医の判断、病歴、検査結果を総合判断。
ILDの診断:2名の呼吸器科医
ILDのgrade評価:Nakashita T, Ando K, Kaneko N, et al. Potential risk of TNF
inhibitors on the progression of interstitial lung disease in patients with
rheumatoid arthritis. BMJ Open 2014;4:e005615.による。
RAの活動性評価:DAS28-ESRとSDAI

4.主な要因、および、その定義
アバタセプトを使用(16人)

5.Control、および、その定義
TNF製剤を使用(46人)

6.主なアウトカム、および、その定義
1年間の有効性と安全性
ILDの悪化があるか(CTでの評価)

7.交絡因子、および、その定義
年齢、性別、RAのstage, class、KL-6、PSLの使用率と使用量、
ILDのgrade

8.解析
Wilcoxon signed-rank test
使用ソフト:SPSS Version 21.

9.結果(箇条書きで、大事なところのみ)
アバタセプト使用例はILD eventsはなかった。(TNFは30.4%、p=0.013)
前後で変化なし:ILD grade, KL-6, 経口ステロイド使用量
前後で改善した:MMP-3, DAS28, SDAI

10.どのように臨床に活かす?どのように今後の研究に活かす?(箇条書きにて記載。論文中の記載から抜粋、および、自分考えたものを記載)
ILD合併のRAにアバタセプトは慎重に使用できる(かも)

11.Limitation(箇条書きで)
単施設研究
少数例での検討
呼吸機能の解析がない
肺病理の検討がない
アバタセプトをILD合併例に優先して使用している可能性

12.自分で考えた交絡因子
喫煙歴
MTXなどのDMARD使用歴、併用
アバタセプトは点滴か皮下注射か
BMI
罹病期間
ILDの種類(UIP, BO, OPなど)
他の肺疾患の合併(COPD、気管支拡張症、Tbなど)

13.この論文の弱点(自分で考えたものを記載)
Table 1はTNFとの比較をしているが、Fig 1では比較していない。
(PECOを装っているが、Cの結果がない。)
Fig 1はABTの前後比較のみ。
(TNFはdiscussionに過去の文献について述べられているのみ)
ILD悪化以外の副作用の記載がない。
アバタセプト使用群でTNF使用歴が不明
RAの診断にACR/EULAR2010が使用されていない

14.理解できなかった点
なぜ、Fig 1でTNFとの比較をしていないのか。

15.好ましい点
ILD合併RAに対するアバタセプトの有効性と安全性(とくにILDの悪化)を検証した点
ILDをgradeで評価していること。

 

担当:三輪裕介

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

私たちと一緒に学びませんか?

プログラム・募集要項はこちら


昭和大学病院
〒142-8666 東京都品川区旗の台1-5-8
アクセスマップ
電話:03-3784-8000(代表)

[初 診]月曜~土曜 8:00~11:00
[再 診]月曜~土曜 8:00~11:00(予約のない方)
[休診日] 日曜日、祝日、創立記念日(11月15日)、年末年始