抗CXCL5治療はIL-17 induced関節炎を改善させる【Journal Club 20180711】

Anti-CXCL5 therapy ameliorates IL-17-induced arthritis by decreasing joint vascularization.

Pickens SR1, Chamberlain ND, Volin MV, Gonzalez M, Pope RM, Mandelin AM 2nd, Kolls JK, Shahrara S.
Author information

1Division of Rheumatology, Department of Medicine, University of Illinois at Chicago, MSB 835S Wolcott Ave., E807-E809, Chicago, IL 60612, USA.

2011 Dec;14(4):443-55

Introduction/Objective
IL-17は主に活性化T細胞より産生され、線維芽細胞や上皮細胞、血管内皮細胞、マクロファージなど細胞に作用して炎症性サイトカインやケモカイン(特にCXCケモカイン)、細胞接着因子などを誘導して炎症を誘導する。以前の研究でCXCL1,2,3,5,6はRAの関節炎に重要な物質であることが示されている。今回著者らはIL-17にmediateされた関節炎とケモカイン、血管新生との関連を調べた。

【Methods and Results】
Figure 1
RA fibroblastまたはMacrophagesをIL-17、TNF-αで刺激し、CXCL1の発現を確認した。A、D
RA fibroblastsまたはMacrophagesを50ng/mlのIL-17で刺激し、0h、2h、4h、6h、8hにおけるCXCL1を測定した。4-8h後に有意差をもって上昇した。
B
RA fibroblastsを50ng/mlのIL-17または10ng/mlのTNF-αまたはその2つを合わせたもので刺激し、CXCL1のmRNAレベルを測定した。それぞれ有意差をもって上昇したが、2つ合わせると単体で刺激したときより有意差をもって上昇した。
C、E
IL-17がどのシグナル伝達の経路を介して、CXCL1の発現を導くかを調べるために、RA fibroblastsまたはMacrophagesをPIK3、ERK、JNK、p38の阻害剤と50ng/mlのIL-17で刺激し、CXCL1を測定した。RA fibroblastsに関してはPIK3、Macrophagesに関してはPIK3とERKの阻害剤を入れたときにCXCL1の産生は抑制された。

⇒CXCL1はRA fibroblastまたはMacrophagesよりIL-17、TNF-αの刺激で発現し、RA fibroblastに関してはPIK3経路、Macrophagesに関してはPIK3経路とERK経路を介してCXCL1が産生されることを確認した。

Figure 2
Figure 1の内容と同じことをやり、CXCL5について調べた。
A、D
RA fibroblastsまたはMacrophagesを50ng/mlのIL-17で刺激し、0h、2h、4h、6h、8hにおけるCXCL5を測定した。6-8h後に有意差をもって上昇した。
B
RA fibroblastsを50ng/mlのIL-17または10ng/mlのTNF-αまたはその2つを合わせたもので刺激し、CXCL5のmRNAレベルを測定した。それぞれ有意差をもって上昇したが、2つ合わせると単体で刺激したときより有意差をもって上昇した。
C、E
IL-17がどのシグナル伝達の経路を介して、CXCL5の発現を導くかを調べるために、RA fibroblastsまたはMacrophagesをPIK3、ERK、JNK、p38の阻害剤と50ng/mlのIL-17で刺激し、CXCL5を測定した。共に、PIK3とERKの阻害剤を入れたときにCXCL5の産生は抑制された。

⇒CXCL5はRA fibroblastまたはMacrophagesよりIL-17、TNF-αの刺激で発現し、RA fibroblast、Macrophages共にPIK3経路とERK経路を介してCXCL5が産生されることを確認した。

Figure 3
A、B
RA滑膜組織(A)とIL-17-induced モデルマウス(B)にて、IL-17によって調整されている血管新生誘導因子を同定するために、100ng/mlのIL-17で刺激24時間後のRA滑膜組織と、IL-17で刺激10日後のC57/BL6マウスでのCXCL1、CXCL5、FGF2、VEGFをELISA法で測定した。
→共に、CXCL1、CXCL5、FGF2で有意差をもって上昇していた。
C、D
上記のマウスの刺激4日後と10日後の足関節で測定したCXCL1とCXCL5。
→共にコントロールに比べ、IL-17を投与した際の方がそれらの濃度が有意差をもって上昇していた。

⇒CXCL1とCXCL5はRAにおけるIL-17由来の関節炎に重要な役割を果たすかもしれない。

Figure 4
マウスの関節において、IL-17とCXCL1、CXCL5の関係を調べた。
A
マウスにIL-17+IgG control or anti-CXCL1 or anti-CXCL5 or anti-CXCL1+CXCL5 (30ng/ml)を投与し、関節周囲径を測定した。
→day 10の時点では、IgG controlとanti-CXCL5で有意差があった。
B、C
day11でそれぞれのマウスの関節をHE染色で観察し、炎症の程度、滑膜の厚さ、骨びらんの程度が評価された。
→IgG controlに比べ、anti-CXCL5、anti-CXCL1+CXCL5で有意差をもって低下していた。
D
マウスにanti-CXCL1 or anti-CXCL5 or anti-CXCL1+CXCL5を投与し、関節液中のTNF-αを測定した。
→IgG controlに比べ、anti-CXCL5、anti-CXCL1+CXCL5で有意差をもって低下していた。

⇒IL-17由来の関節炎にCXCL5は重要な役割を果たしているかもしれない。

Figure 5
anti-CXCL5薬の効果は、強力な血管新生促進因子を下げる独立したものであることを確認するために、IL-17にinduceされたマウスにIgG control or anti-CXCL1 or anti-CXCL5 or anti-CXCL1+CXCL5を投与し、関節液中のFGF2(線維芽細胞増殖因子)とVEGFの濃度をELISA法で測定した。
A
FGF2の濃度に変化は認めなかった。
B
VEGFの濃度に変化は認めなかった。
D
血管内皮の指標であるVon willebrand因子はanti-CXCL5とanti-CXCL1+CXCL5で低かった。

⇒CXCL5の中和(抑制)はIL-17由来の関節炎の血管新生を抑制するかもしれない。

Figure 6
A
IL-17由来の関節炎がanti-CXCL1 and/or anti-CXCL5の投与により全身に影響するかどうかを、マウスの白血球数、好中球数、単球数を測定することにより調べた。
→抑制するものの種類によらず、白血球数、好中球数、単球数に変化は認められなかった。
B
CXCR2とCXCL1、CXCL5の関係を見るために、内皮細胞中のanti-CXCR2をブロックし、中和させ、CXCL1とCXCL5の反応をみる内皮ケモタキシスを施行した。
→HMVECにおけるCXCR2の中和はCXCL1を50%、CXCL5を40-50%低下させた。

⇒CXCL1、CXCL5のmediateにCXCR2が必要

Figure 7
内皮の移動に関して、CXCL1とCXCL5とシグナル伝達の関係を調べるためにHMVECにCXCL1またはCXCL5とそれぞれのシグナル伝達の経路の抑制薬(NF-κB:MG-132、p38:SB203580、PI3K:LY294002、ERK:PD98059)を投与した。
A、B
抑制薬を使うとPI3Kで活性が低下した。
C、D
抑制薬を使うとNF-κBで活性が低下した。

⇒内皮の移動に関して、CXCL1とCXCL5とシグナル伝達の経路は異なっている。

・今後の研究展開や論文に対する検討課題
・自分なりの疑問点。
なぜCXCL1ではなく、CXCL5がIL-17 induced関節炎で重要かのメカニズムが不明(シグナル伝達の経路が異なるからか??)。

 

担当:西見慎一郎

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