乾癬性関節炎に対するトファシチニブの効果【Journal Club 20180926】

Tofacitinib or Adalimumab versus Placebo for Psoriatic Arthritis

Philip Mease, M.D., Stephen Hall, M.D., Oliver FitzGerald, M.D., Désirée van der Heijde, Ph.D., Joseph F. Merola, M.D., Francisco Avila-Zapata, M.D., Dorota Cieślak, Ph.D., Daniela Graham, M.D., Cunshan Wang, Ph.D., Sujatha Menon, Ph.D., Thijs Hendrikx, Ph.D., and Keith S. Kanik, M.D.

Swedish Medical Center and University of Washington, Seattle, Washington, USA.

2017 Oct 19;377(16):1537-1550

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<サマリー>
csDMARD無効の乾癬性関節炎患者に対するtofacitinibの効果を検討した
プラセボと比較しtofacitinibはACR20改善、HAQ-DIの減少に効果を認めた。
安全性について、tofacitinibは感染症や悪性腫瘍の発症に関与する可能性が示唆された。

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P:csDMARD無効の乾癬性関節炎患者
E:tofacitinib 5mg or 10mg 投与
C:プラセボ
O:3か月後のACR20改善、HAQ-DIの減少

 <セッティング>
126施設
2014年1月から2015年12月まで試験が行われた。

<研究デザインの型:RCT、横断研究、前向きコホートなど>
ランダム化プラセボ対照二重盲検、第Ⅲ相試験

<Population、およびその定義>
■inclusion
18歳以上、CASPAR分類基準を満たす乾癬性関節炎患者
診断から6か月以上経過
activeな関節炎と尋常性乾癬
csDMARD 無効、TNF阻害薬未使用
TNF阻害薬以外のbio製剤を使用した場合は、6ヵ月以上休薬していること

■exclusion
重篤な臓器障害:心、肺、腎、肝、血液、内分泌、神経
結核感染(潜在性含む)
帯状疱疹
試験開始6か月以前に入院での非経口抗生剤投与を要した
PsA以外のリウマチ膠原病疾患

<主な要因、および、その定義>
登録された患者を2:2:2:1:1にランダムに割り付け
1. tofacitinib 5mg 1日2回 経口内服
2. tofacitinib 10mg 1日2回 経口内服

<Control、および、その定義>
3. adalimumab 40mg 2週に1回 皮下注射
4. プラセボ投与3か月後にtofacitinib 5mg 1日2回 経口内服
5. プラセボ投与3か月後にtofacitinib 10mg 1日2回 経口内服

<主なアウトカム、および、その定義>
■primary end point
試験開始3か月、12か月時点のACR20改善、HAQ-DIの減少

■secondary end point
PASI75、Leeds enthesitis index score、dactylitis severerity score、SF36、FACIT-F、ACR50、ACR70、modified total sharp score
有害事象の検討

<交絡因子、および、その定義>
なし

<解析方法>
全ての患者はランダム化され、tofacitinib、adalimumab、placeboの投与を少なくとも1回受けた患者は統計に含まれた。
Adalimumabはactive controlとして位置づけされ、tofacitinibとの比較は行わなかった。
5%レベルのタイプ1エラーをコントロールするためにsequential hierarchical testingを行った。

<結果>
422人がランダムに割り付けられ373人が試験を完遂した。

【primary end point】

■試験開始3か月時点のACR20改善
5mg tofacitinib グループ:50%(P=0.01)
10mg tofacitinib グループ:61%(P<0.001) プラセボグループ:33%

■試験開始3か月時点と開始時のHAQ-DIの差
5mg tofacitinib グループ:-0.35(P=0.006)
10mg tofacitinib グループ:-0.40(P<0.001)、プラセボグループ:-0.18
※adalimumab:ACR20 52%、HAQ-DI -0.38

【secondary end point】

■試験開始3か月時点のACR50改善
5mg tofacitinib グループ:28%(P<0.001)
10mg tofacitinib グループ:40%(P<0.001) プラセボグループ:10%
プラセボ vs tofacitinib 10mg
Dactylitis Severity Score、FACIT-F、SF-36の変化はプラセボと比較してprimary end pointと同様の方向であった。これらの結果の有意性については検討されていない。
12か月まで観察されたsecondary end pointのベースラインからの変化は3か月目の数値と同じであった。

■安全性
3か月間の観察で有害事象の割合
5mg tofacitinib 39%、10mg tofacitinib 45%、adalimumab 46%、placebo 35%
12か月間の観察で重篤な有害事象の割合
5mg tofacitinib 7%、10mg tofacitinib 4%、adalimumab 8%
帯状疱疹、悪性腫瘍の発生はいずれもtofacitinibを投与された患者によるものあった。

<結果の解釈・メカニズム>
Tofacitinib 5mg, 10mgによる治療効果をプラセボと比較することによって、csDMARDで治療効果がなかったPsAに対するtofacitinibの有用性が示された。
安全性について、tofacitinib群で帯状疱疹、悪性腫瘍の発症がみられたが機序は不明である。

<Limitation>
他の生物学的製剤との比較
TNF阻害薬の効果が乏しい症例に有効かどうか

<どのように臨床に活かす?どのように今後の研究に活かす?>
既存のcsDMARDで治療効果のないPsA患者に対してtofacitinibは治療選択となる可能性がある。
しかし、帯状疱疹、悪性腫瘍の発症リスクがあがることについては注意を要する。
Tofacitinib投与群のなかで感染症の発症に寄与する因子の検討

<この論文の好ましい点>
End pointの明記
治療効果だけではなく安全性にも注目した点

 

担当:猪狩雄蔵

 

<上級医コメント>
PsAに対するJAKの治療効果についての論文。primary endpointであるACR20達成は50-61%で有意差はついている。しかしACR50 28-40%、ACR70 14-17%とあり実際の現場での感覚としては物足りない。JAKのpaswayが乾癬のその他の障害部位(皮疹、付着部)などに対して効果が異なる可能性があるかもしれない。また、ほぼ白人が対象である解析結果であるため、アジア人には外的妥当性が高いとは言えない。解析に関しては、経時的なデータをmix modelを使っての解析や、sequential hierarchial testing method, など目新しいキーワードがあり刺激になる。
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