A randomized, controlled double-blind study comparing the efficacy and safety of dose-ranging voclosporin with placebo in achieving remission in patients with active lupus nephritis
活動性腎炎合併のエリテマトーデス患者を対象としたボクロスポリンの寛解に対する有効性と安全性をプラセボと比較した無作為化比較二重盲検試験
Brad H. Rovin.et.al.
Kidney International 2019:95:219-231
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<サマリー>
活動性の高いループス腎炎に対して低用量ボクロスポリンの併用療法は、高容量群、プラセボ群と比較して優れた完全寛解率を示した。
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P:18歳以上で米国リウマチ学会のSLE基準を4つ以上満たし、腎生検でクラスⅢ以上の活動性ループス腎炎が確認された者
E:低用量ボクロスポリン(23.7㎎ 2回/日)、低用量ボクロリムス(39.5㎎ 2回/日)
C:プラセボ群
O:治療開始24週、48週目におけるCRR割合[2回連続(尿蛋白/Cr比<0.5、eGFR≧60ml/min/1.73m2、eGFRが20%以上低下していない)を満たす]
<セッティング>
MMF(2g/日)、低用量経口コルチチコステロイド投与の併用療法が行われている活動性ループス腎炎の患者
<研究デザインの型:RCT、横断研究、前向きコホートなど>
RCT
<Population、およびその定義>
・18歳以上の活動性ループス腎炎(米国リウマチ学会のSLE基準を4つ以上満たし、腎生検でクラスⅢ以上)
・クラスⅢ、Ⅳ:2回連続した尿蛋白/Cr比≧1.5
・クラスⅤ:2回連続した尿蛋白/Cr比≧2.0
・スクリーニング後3カ月以内に生物学的製剤、またはシクロフォスファミドの投与を受けていない。
・除外基準: スクリーニング時にeGFR<45 ml/min/1.73m2、血清K>5.5mmol/L
<主な要因、および、その定義>
低用量ボクロスポリン(23.7㎎ 2回/日)、低用量ボクロスポリン(39.5㎎ 2回/日)
<Control、および、その定義>
プラセボ群
<主なアウトカム、および、その定義>
・24週における完全寛解の割合。
・48週における完全寛解の割合。
<解析方法>
二重盲検試験、Kaplan-Meier解析、共分散分析、ロジスティック回帰モデル
<結果>
・24週における完全寛解率は低用量ボクロスポリン群の方がプラセボ群より優位に高かった(32.9%)(odds ratio [OR] ¼ 2.03; 95% confidence interval [CI]: 1.01– 4.05; P ¼ 0.046)。
・高用量ボクロスポリン群でプラセボより優位に高かった(27.3%)(OR ¼ 1.59; 95% CI: 0.78–3.27; P ¼ 0.204)。
・低用量・高用量ボクロスポリンでの完全寛解率は48週においても維持されていた。
・低用量・高用量、両群ともに重篤な有害事象が多く、低用量ボクロスポリン群で死亡率が多かった(11.2%,1.1%,2,3%)。
・ボクロスポリンで治療された群では尿蛋白/Cr比が統計学的に優位に減少し、血清アルブミンが増加した。
・クラスⅤに分類された患者ではボクロスポリンによる治療効果が得られなかった。
・抗dsDNA抗体、補体は、低用量・高用量群では優位な改善がみられた(P<0.01)。
・抗dsDNA抗体はプラセボ群では7%、低用量では51%、高用量群では38%低下した。
・48週の時点でプラセボ群では半数以上の被験者(53.4%)にSELENA-SLEDAIスコア>6がみられたが、低用量群では29%、高用量群では40.9%であった。
<結果の解釈・メカニズム>
ボクロスポリンは分子アミノ酸-1上の官能基が修飾されていることが特徴的で、この変化により代謝暴露量が減少することによりこれまでのCsAと比較して効果が倍増することが知られており上記寛解率の要因となっていると考えられる。
<Limitation>
・歴史的に治療反応性が低い黒人、ヒスパニック系の対象者の割合が少なかった。
<どのように臨床に活かす?どのように今後の研究に活かす?>
・MMF(2g/日)、低用量経口コルチチコステロイド投与の併用療法が行われているが活動性を示すループス腎炎に対しての追加投与
<この論文の好ましい点>
低用量と高用量での比較もなされていること
<この論文にて理解できなかった点>
・低用量の方が重篤な副作用の出現が多く、死亡率も高かったこと。
担当:郡司 竜太郎