自己免疫性炎症性リウマチ性疾患患者におけるCOVID-19に関連する入院の危険因子【Journal Club 20201223】

Risk factors for hospital admissions related to COVID-19 in patients with autoimmune inflammatory rheumatic diseases

自己免疫性炎症性リウマチ性疾患患者におけるCOVID-19に関連する入院の危険因子

著者 Dalifer D Freites Nunez et al. 1Rheumatology Department and IDISSC, La Fundacion para la Investigacion Biomedica del Hospital Clinico San Carlos, Madrid, Spain

Ann Rheum Dis 2020;79:1393–1399.

P:リウマチ性疾患患者でCovid-19感染症になった人。 


O:背景因子の探索

<セッティング>
・スペイン、マドリッド、クリニコサンカルロス病院(人口40万人の医療圏)

<研究デザインの型:RCT、横断研究、前向きコホートなど>
・前向きコホート。

<Population、およびその定義>
・16歳以上のリウマチ性疾患患者
全身性自己免疫疾患(リウマチ性多発性筋痛症、混合性結合組織病、全身性硬化症、シェーグレン症候群、血管炎、レイノー症候群、多発性筋炎、多発性軟骨炎、サルコイドーシス、抗リン脂質抗体症候群、自己炎症性症候群および全身性エリテマトーデス)
慢性炎症性タイプの関節炎(関節リウマチ、炎症性多発性関節炎、若年性特発性関節炎、乾癬性関節炎、軸性脊椎関節炎、血管炎および炎症性腸疾患)
・Covid-19-PCR陽性 or 臨床歴にCovid-19感染症と判断される患者
・実施期間 2020/3/1-2020/4/24

<主な要因、および、その定義>       
・入院した

<Control、および、その定義>
・入院しなかった

<主なアウトカム、および、その定義>
・背景因子の検討

<交絡因子、および、その定義>
・年齢、性別、罹病期間、原疾患、喫煙歴、合併症(高血圧、脂質異常症、うつ病、糖尿病、慢性腎障害、肝疾患、呼吸器疾患(COPDとIP)、甲状腺疾患、心疾患、虚血性血管疾患)、治療薬(ステロイド、NSAIDs、csDMARDs、HCQ, 免疫抑制剤、bDMARDs, JAK

<解析方法>
・単変量解析:入院する背景因子の解析
・多変量ロジスティック回帰モデル:年齢、性別、併存疾患で調節した入院に対する背景因子

<結果>
・表1。全体の背景。入院54人、非入院69人。
・表2。入院患者の背景。12人が死亡(死亡率22.22%)
・表3。入院した51人の患者の背景因子の解析。単変量解析。高齢、全身性自己免疫性疾患(OR:2.65; 95%CI 1.22–5.7、p = 0.014 )、高血圧、糖尿病、肺疾患、心疾患、ステロイド使用 がハイリスク。女性、NSAIDs使用、TNF使用は低リスク。
・表4。入院する背景因子の解析。多変量解析。年齢 (OR : 1.08; 95%CI 1.04-1.13)、全身性自己免疫性疾患(OR : 3.55; 95%CI 1.30-9.67) がハイリスク。DMARD使用はリスク因子に入らず。

<メカニズム>
・入院患者の特徴として、高齢者、基礎疾患あり、全身性自己免疫性疾患であった。
・既報と同様に、Dダイマー上昇、IL-6上昇、CRP上昇、リンパ球数減少があった。

<Limitation>
・単一の病院での研究
・入院を必要としないCOVID-19の全患者のうち、3分の1がリウマチサービスに連絡して病気を報告し、残りはプライマリケア医に送られたCOVID-19退院報告によって行われた。
・入院した患者のほぼ20%はPCR検査未施行

<どのように臨床に活かす?どのように今後の研究に活かす?>
・RAなどの関節炎疾患よりもSLEなどの自己免疫性疾患に注意
・高齢者に注意

<自分で考えた交絡因子>
・ステロイド量
・国別(日本とスペインでは医療事情、死亡率などが異なる)

<この論文の弱点>
・nが小さい、単施設研究、予備的研究
・これまで報告されている糖尿病、ステロイド使用などの因子が多変量解析で落ちたこと
・そもそも入院の基準が不明

<この論文の好ましい点>
・全例の詳細なる調査を行っていること(カルテベースではあるが)
・コロナ流行中で大変な状況にも関わらず、このような研究を行ったこと
・DMARDS使用はリスク因子にならないことを示したこと

<この論文にて理解できなかった点> 
・女性がリスク因子になっていること。(他の研究では男性がリスク因子)。

担当:三輪裕介

 

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