Immunogenicity and safety of anti-SARS-CoV-2 mRNA vaccines in patients with chronic inflammatory conditions and immunosuppressive therapy in a monocentric cohort
単施設コホートにおける慢性炎症性疾患と免疫抑制療法患者に対するSARS-CoV-2 mRNAワクチンの免疫原性と安全性
Ulf M Geisen et al
Department for Rheumatology and Clinical Immunology, University Medical Center Schleswig-Holstein Campus Kiel, Kiel, Schleswig-Holstein, Germany;
Ann Rheum Dis 2021;0:1–6. doi:10.1136/annrheumdis-2021-220272
P:ドイツキール大学医療センターとその周辺の病院の医療従事者
E:慢性炎症性疾患、免疫抑制療法中患者(CID)
C:健常人
O:SARS-CoV-2 mRNAワクチンの免疫原性と安全性
<セッティング>
・ドイツキール大学医療センターとその周辺の病院
<研究デザインの型:RCT、横断研究、前向きコホートなど>
・観察研究
<Population、およびその定義>
・キール大学医療センターとその周辺の病院の医療従事者で慢性炎症性疾患、免疫抑制療法中患者26人
・除外基準:ドイツ連邦規制に従って早期にワクチン接種を受ける資格のない人
<主な要因、および、その定義>
・PfizerまたはModernaのmRNAワクチン
・35日間隔で2回。80歳以上の患者は21日間隔で2回施行。
<Control、および、その定義>
・キール大学医療センターとその周辺の病院の医療従事者で健常人42人
<主なアウトカム、および、その定義>
・SARS-CoV-2 IgG抗体(EUROIMMUN QuantiVacに従ってELISAで測定)
・SARS-CoV-2 IgA力価(Aeskulisa, Aeskulap)
・中和抗体(cPassシステム、medacから提供)
・疾患活動性の評価(DAS28か患者全般評価)
・副作用(ワクチン接種から14日間)
<交絡因子、および、その定義>
・(観察研究であり、記載なし)
<解析方法>
・抗体価の測定は二次免疫の日である0日目と7日目に測定
・統計解析。GraphPad Prismを使用し、マンホイットニー検定を施行
<結果>
・対象患者数。対照群は平均年齢37.5歳(女性69.2%)、全員が医療従事者。CIDは平均年齢50.5歳(女性64.3%)、大多数が医療従事者。ワクチン接種前にSARS-CoV-2に感染した人はいない。
・疾患の詳細はTable 1
・Figure 1A SARS-CoV-2 IgG抗体価。CID群は健常人に比較して力価が低い。
・Figure 1B 2回目のワクチン接種から7日後の抗体価はほぼ全員カットオフ値以上に上昇
・Figure 1C 中和抗体阻害活性レベル。CID患者は健常人より低いが、平均レベルは87.42%。
・Figure 1D 2回目のワクチン接種から7日後の中和抗体阻害活性レベルはほぼ全員で上昇。
・Figure 1E SARS-CoV-2 IgA抗体価。CID群は健常人に比較して力価が低い。
・Figure 1F 2回目のワクチン接種から7日後の抗体価はほぼ全員で検出された。
・副作用(Table 2) 両群ともにこれまでの報告と比較して目立つものなし。
・疾患活動性 DAS28、患者全般評価ともに変化なし(Figure 2)
<メカニズム>
・慢性炎症性疾患と免疫抑制療法は抗SARS-CoV-2抗体を破壊しない
・2回目のワクチン接種から7日後にはかなりのレベルの中和抗体もできる
<Limitation>
・コホートが小規模
・B細胞枯渇療法、ミコフェノレートモフェチル、シクロフォスファミド使用中の患者がいない
(B細胞枯渇療法はワクチン接種反応を劇的に減少させることが知られている)
<どのように臨床に活かす?どのように今後の研究に活かす?>
・リウマチ膠原病患者さんに対するワクチン接種の是非を議論する資料となる
<自分で考えた交絡因子>
・国、人種、疾患、合併症など多数
<この論文の弱点>
・ワクチンの効果を免疫原性から評価しているが、疾患の発症、重症化の抑制を見ているものではない。
<この論文の好ましい点>
・速報性
<この論文にて理解できなかった点>
・無
担当:三輪裕介